曹操孟徳特集
朝まで三国志悪




はじめての三国志

menu

三国志の雑学

なんで関羽の顔は赤いの?京劇が関係している?

この記事の所要時間: 559




関帝廟 関羽

 

関羽(かんう)の外観上の特徴と言えば、真っ赤な顔と長いヒゲです。

 

桃園の義兄弟をビジュアル化したイラストや映像を見ると、

劉備(りゅうび)張飛(ちょうひ)のイメージは描く人によって結構幅がありますが、

関羽だけはほとんどブレがない。

 

真っ赤な顔に長いヒゲ、そして緑色の着物。

どんなイラストを見ても、ほぼそのイメージは一致しています。

 

あ、関羽を女性キャラ化した某コミックは?

……というツッコミは無しの方向で(自爆

 

それにしても……。

関羽の顔はどうして真っ赤っ赤、なんでしょうか?

オサルノカオモマッカッカ……。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:蜀ファンに衝撃!実は関羽は劉備の部下ではなく群雄(同盟主)だった!?




もとネタは『三国志演義』

ロボ 関羽

 

三国志演義』に、関羽の容姿を描写した一文があります。

 

『身の丈九尺、髯の長さ二尺

顔色は熟した棗の如く、唇は朱をぬったよう、

声はわれ鐘の如く切れ長の目、太く濃い眉』

 

身長 217.8cm

ヒゲの長さ 48.4cm

熟したナツメのような顔色で唇は朱色

割れた鐘のように響く大声で、切れ長の目と太くて濃い眉毛

 

ここでの身長とヒゲの長さは三国時代の一尺=24.2cmを元に計算しています。

三国志演義』の元ネタとなる『三国志平話』は宋の時代に成立した読み物ですから、

長さの単位も宋の時代に合わせるべきかな、とも思えるのですが、

それだといささかおかしなことになってしまいます。

 

宋の時代の一尺は現代の単位にして31.2cmであったとされています。

これを元に「九尺」あった身長を換算すると、280.2cm!!

これは現代でもちょっと考えられない身長です。

まさに、巨人!!

 

え、別におかしくないんじゃないかって?

どうせフィクションなんだから、大げさに語られてもいいんじゃないか?

 

……まあ、確かにそれも一理あるんですが。

しかし、他の登場人物の描写を見ても、宋代の単位を基準に考えるのは不自然なんですよ。

 

関連記事:悲しみの巨人、兀突骨(ごつとつこつ)は実在してた?

関連記事:三国志平話って何?三国志演義の元ネタ

 

曹操の身長だと分かりやすい

曹操 弱点 蟻

 

わかりやすいのが曹操(そうそう)です。

演義では曹操のことは「身の丈七尺」と表記されてるんですが、

宋代の尺で計算すると、身長218.4cmもあったことになってしまうんです。

身長約2m20cmとは、現代でも相当の大柄、

バスケットボールの選手並みです。でかいですよね?

 

曹操は一般的に「短身痩躯」(チビでヤセッポチ)というイメージで語られているのは

みなさんご存知の通り。それを考えるとやっぱりおかしいんですよ。

 

三国時代の尺で換算すれば曹操の身長は169.4cm。

まあ、現代でもそこまで極端に小さいわけじゃないですが、

戦場を駆ける武将の身長としては、十分小柄なイメージにおさまります。

 

ということで、『三国志演義』劇中における「尺」は三国時代基準であることに決定!!

 

関連記事:曹操には弱点はないの?

 

関羽の真っ赤な顔は何色?

夏目 wiki

 

閑話休題(と書いて、それはさておき、と読む)

 

……って、話がだいぶ逸れてしまいました。(自爆

ここで重要なのは、身長の話ではなく、関羽の顔の色に関する描写でしたね。

 

……コホン。

それでは話を戻しまして、関羽の顔の色についてのお話。

 

「熟した棗色」

 

棗(なつめ)……現代の日本ではあまり馴染みのない果物ですね。

棗は英語で「Chinese Date」と呼ばれます。

Dateとは、デーツ=ナツメヤシのこと。

つまり、棗とは中国デーツ、ということですね。

 

 

赤い、というよりは赤黒い、といったところでしょうか?

 

ちなみに、『熟した棗』の表記は原文では『重棗』と書かれているのですが、

これには「熟した棗」という訳の他に『いぶした棗』という訳も存在しています。

いぶした=燻製にされた棗、ということでしょうか。

 

いずれにせよ『真っ赤』より『赤黒い』といった方がイメージに近いことは確かです。

 

ババアにボコられ、ツバつけられた関羽涙目

関羽神様

 

関羽の顔が赤く、長いヒゲを生やしていた理由を語る民間伝承に、こんな話があります。

 

関羽は元の名前を常生(じょうせい)と言いました。

あるとき、常生の親友の許嫁が誘拐されるという事件が発生。

泣きべそかいて現れた親友が

 

「常生ぇも~ん、ボクの許嫁がとられちゃったよぉ!!」

 

……と訴えたかどうかはわかりませんが、

 

「よくも俺の親友を泣かせたな!! 許さん!!」

 

まあ、そんなわけでとにもかくにも、

義理人情に厚い常生は親友の許嫁をさらった誘拐犯を見つけて殺してしまいます。

 

無事、許嫁も戻ってめでたし、めでたし……となれば良かったのですが、

常生は人殺しの罪で手配犯となってしまい、彼は致し方なく故郷を逃げ出しました。

 

それにしても、なんて薄情な親友でしょうか?

自分のために殺人犯した親友を弁護しないなんて、ありえません。

 

……ともあれ、追手に迫られた常生、

思い余って、近くの川で洗濯していた婆さんにかくまってくれと頼みます。

 

ところが。

その婆さん、なにを思ったか、手にしていた洗濯棒を振り上げると、

突然常生に殴りかかったのです。

 

あっけに取られた常生が反撃に出る間もなく、

婆さんは洗濯棒で彼の顔面をフルボッコ!!

常生の顔は真っ赤に腫れあがってしまいます。

 

更に、婆さんはとんでもない怪力で常生の髪の毛をひきむしると、

べろべろとそれを舐め回してたっぷりツバつけて、常生の顔に貼り付けました。

貼り付けられた髪の毛は、まるで長いヒゲのように見えます。

 

突然の展開にがく然として途方にくれていた常生。

そこに、追手に追いつかれてしまいます。

ところが……。

 

「違う!! 常生のヤツはこんなに赤い顔はしてないし、ヒゲだってこんなに長くない!!」

 

ババアの暴行によってすっかり人相が変わってしまった常生の正体に、

追手は気がつくこともなくどこかへ去ってしまいました。

 

ふと、常生が気づくと、婆さんの姿はどこにもありません。

そして、自分の人相が赤く、長いヒゲが生えたまま、

元に戻らなくなっていることに彼は気づきました。

 

あれはきっと、神様だったんだ……。

 

常生は婆さんに感謝すると、名前を関羽と改め、新たな人生を歩んだということです。




でもなんで、赤くしなきゃいけなかったのさ?

京劇 wiki

 

神様なら、人相を自在に変えることもできそうなのに、

どうして件の婆さんは関羽の顔を赤くしたのでしょうか?

 

どうにもこれが良くわからない。

関羽の「赤い顔」と言えばまず思い出すのが京劇。

 

 

京劇が関羽の顔色と関係している

関羽 京劇

 

京劇では、顔に塗る色にも役柄と密接に関係する意味があります。

例えば、曹操は京劇においては青白く塗られますが、

これは陰険な性格を意味しています。

 

関羽の顔色である赤は英雄や偉大な存在を意味する色。

じゃあ、京劇の影響で三国志演義でも赤いと表現されたのか、

 

……と思いきや、さにあらず。

 

京劇は、『三国志演義』が成立してからずっと後の、

清王朝の時代に確立された演芸です。

むしろ、京劇における英雄のイメージ=赤 は、

関羽の顔の色から取られたと考えるのが妥当でしょう。

 

……で、いろいろ調べた結果、

どうやら陰陽五行説が元になったのではないかと推測してみました。

 

陰陽五行説は諸子百家のひとつ、陰陽家の中心思想で、

世界が5つの元素、「木」「火」「金」「土」「水」でできており、

その元素が循環し、関係しあうことで成立するとする考え方です。

 

5つの元素には、その字が示す意味以外にも、さまざまな意味が付与されています。

例えば色です。

 

「木」は青、「土」黄色、といった具合に、5つの元素にはそれぞれ色が割り当てられます。

関羽の顔は「赤」……「赤」の意味を持つ元素は「火」です。

 

実は「火」につけられた色以外の意味の中に「羽(鳥)」があります。

もしかすると、関羽の名前である「羽」が「火」につながり、

そこから「赤」という顔の色につながったのでは、ないでしょうか?

 

関連記事:誘引の計にかかった関羽、ブチ切れる。

関連記事:赤兎馬ってどんなウマ?呂布も関羽も愛した名馬

 

三国志ライター 石川克世の懺悔

石川克世

ここに著したのは、すべて筆者の勝手な想像(妄想)です。

関羽の顔色には、実はまったく違う意味があるかもしれないので鵜呑みは禁物です。

 

それと、「関羽」と「色」つながりで、どうにもわからなかったことが

もう一点あったことを告白し、ここに懺悔します。

 

それは関羽の着物の色。

なぜ、関羽の衣装は必ずと言っていいほど「緑色」なのでしょうか?

五行説による仮説も、この色に関する説明としては成立しづらく、

それを説明する民間伝承も見つかりませんでした。

 

赤と緑は色彩学的には補色関係にありますので、

顔の赤と合わせて緑になったのかなぁ……とも思ったりするのですが。

 

これについては、いずれ有力な仮説が見つかりましたら、

また記事にしてみたいと思います。

 

それでは、次回もお付き合いください。再見!!

 

(2018-01-14 追記)

 

関羽の衣装の色についてですが、

その後、この件に関する確定的な情報を得ましたので

ここでご報告させて頂きます。

 

関羽の衣装が「緑」であるという元ネタはなんと、

『三国志演義』にありました。

 

『三国志演義』第八十三回、九十四回に

 

「綠袍金鎧」(緑色の着物に金色の鎧)

 

という表現を見ることができます。

 

また、水滸伝にも関羽の描写として「金甲綠袍」

といった表現が見られます。

 

よりにもよって、

『三国志演義』にちゃんと描写されていたとは

灯台下暗しにも程がありますね。

なんたる不覚、ライターとして反省するばかりです。

 

読者の皆様にお詫びしますとともに、報告とさせて頂きます。

 

はじめての三国志:全記事一覧はこちら

関連記事:もし関羽が曹操の元に留まり劉備の元に戻らなかったらどうなっていた?

関連記事:周倉(しゅうそう)と関羽はどんな関係だったの?三国志の上司と部下事情

 

■古代中国の暮らしぶりがよくわかる■

 




 

石川克世

石川克世

投稿者の記事一覧

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、
兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。

好きな歴史人物:

曹操孟徳
織田信長

何か一言:

温故知新。
過去を知ることは、個人や国家の別なく、
現在を知り、そして未来を知ることであると思います。

関連記事

  1. 五丈原の戦いの裏側で活躍した魏の満寵とは?前編
  2. 大学者鄭玄の下女達の会話は高学歴だった
  3. 平安京・平城京の原点は三国志の魏の都とされた鄴都だった!?
  4. 洛陽に続き、長安でも好き放題をした董卓
  5. 自称皇帝、袁術のトホホな部下列伝 Part.4
  6. 大都市西安の碑林博物館をよかミカンが見学したよ
  7. 2分で分かる合肥の戦い その4 張遼の猛攻
  8. 【魏の歴史事件簿】曹魏の4代皇帝曹髦の時代起きた事件をざっくりご…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 【軍師連盟】司馬懿は簒奪をいつから狙っていたの?
  2. 孝明天皇はどんな人?毒殺されたって本当なの?
  3. 軍略にも才能を発揮した蒋済(しょうさい)の進言集
  4. 橋本左内とはどんな人?西郷どんが生涯尊敬した越前の天才
  5. 【三国志刀剣乱舞】三国志武将が持っていた名刀・名剣を紹介するよ
  6. 【キングダム】楊端和(ようたんわ)は実在した女将軍?史実を元に徹底解剖

三國志雑学

“はじめての三国志150万PV" “広告募集"

はじめての三国志 書籍情報

朝まで三国志 三国志最強のワルは誰だ (桃園出版 三国舎)

著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

70話:孫権、父(孫堅)の弔い合戦を始めるよ。黄祖討伐編 周舒(しゅうじょ)とはどんな人?預言書に記されていた「漢に代わる者は当塗高」の見解を示した蜀の学者達 【実録】今川義元にいじめられ続けた井伊家と松平家 【週間まとめ】はじめての三国志ニュース21記事【10/17〜10/23】 権力に執着した曹操が魏王になるまでに荀彧と荀攸との間に亀裂が生じる 正史『三国志』と言うけれど、正史って、なに? こっそりお教えします!NHK大河ドラマの通な見方。歴代大河ドラマも徹底紹介! はじめての三国志 4コマ劇場 「祝融夫人の日常」

おすすめ記事

  1. 小栗忠順にも弱点があった?策におぼれた小栗に訪れた結末とは?
  2. 【三国志演義】孔明が残した錦嚢策(きんのうのさく)って一体なに?
  3. 【キングダム羌瘣】超絶かわいい暗殺者の新たな夢ってなに?羌瘣の魅力に迫る!
  4. 鮑勛(ほうくん)とはどんな人?自分の意見をまっすぐに答え曹丕に恨まれてしまった政治家
  5. 盧毓(ろいく)とはどんな人?魏の逃亡兵を規制する法律に「待った」をかけた政治家
  6. こんなに厳しい!三国志の時代の宴会のマナーが超複雑
  7. 江戸城オフィスを大公開!大名の争いは部屋取りゲーム?
  8. 東方明珠のへなちょこ長安旅行記 その4

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“西遊記"
PAGE TOP