三国志の英雄の一人として名高い劉備、彼の人望に惹かれて多くの仲間たちが集っていく三国志演義では前半から中盤までの多くは彼の生涯を追っていくように描かれていると感じます。
しかしそんな人望がある心優しい仁君とは仮の姿、劉備の実像はそれとは全く違った姿であり、三国志演義から三国志を見始めた人はショックを受けることも。そこで今回は劉備の実像に触れつつ、そんな劉備の新しい魅力を追っていきたいと思います。
「劉備 実像」
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三国志演義の印象が強い劉備
一般的な劉備という武将のイメージは、仁徳の人でしょう。民衆を大事にして、弱者の味方であり、どこか頼りないものの数多くの味方たちが彼に惹かれて集まって、一勢力となっていく……悪い言い方をすれば成り上がりでもありますが、成長を感じさせてくれる人物です。
始めは力のない人物が、最終的に一つの国を持つまでに成長していくというのはドラマを感じますし、見ていてとてもワクワクしますよね。しかしこれらのイメージはあくまで三国志演義でのイメージ。つまり現在でも劉備のイメージというと三国志演義でのイメージが強いのです。
劉備の実像をはっきりと簡潔に言うと
では正史の劉備のイメージは、というとこれは三国志演義とはがらりと変わってきます。
……オブラートに包まずに一言で言うなら「裏切り者」でしょうか。
劉備は国を持ちません。元々は傭兵をやっているようなものなのです。
なので色々な人に仕えていきますが、その先々で世話になったはずの人物から離反していきます。そうして最終的には何やかんやで乗っ取った国のトップになる……世渡り上手というか、上手くやった呂布と見るべきか……この劉備が後世で仁徳の人となるのは、もしかしたらものすごい魅力とかがあったのかもしれません。
ただし筆者は、正史の劉備は決して無能とは思いません。寧ろこの劉備は新しい魅力を持っているとまで思っています。
劉備の新しい魅力を開いてみよう
確かに正史の劉備を見ていると、三国志演義の劉備とは全く人物像が違います。しかし正史の劉備には、正史の劉備の魅力があるのです。
その最大の魅力が「機を見る才能」であると思います。その時期、瞬間にどう動くべきか、何をするべきか、何処に向かうべきか、それを見極める才能が劉備にはあるのです。だからこそ初期は誰に仕えるべきかを見極め、つまり同盟者や頼るべき人物をすぐに変えるので裏切り者として見えてしまうのではないかと思います。
しかしこれは乱世に置いて、才能と言うべき能力です。時勢が読めない人物たちがどうなってしまうか、それは正史も三国志演義でも同じですよね。劉備はこれに対して非常に有能です。この才能は劉備の新しい魅力とは言えないでしょうか?そして同時に劉備は義に厚い、という面も確かにあるのです。それについて紹介しましょう。
実像の劉備の魅力
劉備は関羽や張飛とは正史では義兄弟ではありません。桃園の誓いはあくまで三国志演義での出来事です。
しかし正史では「先主與二人寢則同牀、恩若兄弟」という文章が出てきます。これは「劉備と関羽張飛は寝る時も一緒で、まるで兄弟のようだ」ということで、三人が義兄弟とは言わずともずっと一緒にいた、良い関係であったことを窺い知れる文章だと思います。
だからこそ劉備は関羽や張飛の死に憤り、最終的に国を傾けることになったとしても行動をした……つまり時勢を読む才能に長けて居ながら、義にも厚い、そんな人物像が見えるのです。時勢を読む才能に長けている、そして情に流されずにその時勢に乗ることができる。
しかしその一方で長い付き合いだった人物たちの死に怒ることのできる、血の通った人間。それこそが劉備の実像であり、新しい魅力だと筆者は思うのです。
三国志ライター センのひとりごと
劉備の実像、いかがだったでしょうか。
三国志を読んでいると三国志演義の劉備が胡散臭く感じてしまうように、三国志演義を読んでからだと衝撃を受ける劉備の実像。しかしその劉備の姿もまた、魅力溢れる人物像であると筆者は思います。
皆さんはどちらの劉備が好きでしょうか?
参考文献:関張馬黄趙伝
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