横浜や神戸の中華街にも「関帝廟」があるおかげで、中国の民間信仰では関羽は「神様」にまで昇格していることは、日本でもよく知られていることと思います。
歴史上の人物が死後に民衆から慕われて神様として祀られるようになるというのは、日本でもよくある話で、同じ東アジアの文化として親近感すら湧きますよね。
ところが実際に中国や台湾を訪問して、地元での関羽信仰を覗いてみると、日本で伝えられている関羽像とはかけはなれた「スーパーな」関羽像に出くわすことがあり、びっくりする場合があります。
てっきり武術の神様や勝運の神様かと思いきや、商売繁盛の神様となっている場合もあり、さらには学問の神様として「お受験の際には関羽様にお参りに行こう」となっている場合もあるのです!
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この記事の目次
台湾にある巨大関羽像も手に持っているのは武具ではなくて「書物」!
ひとつ、台湾の例をあげましょう。
台北からデイトリップで行ける場所に金瓜山(ジングアーシー)という土地があります。
ここの勧済堂というところにはなんと10メートルを超える巨大な「関羽像」があり、訪れる人々を圧倒的な迫力で見下ろしているのですが、これだけ威風堂々とした関羽様が手に持っているのは、青龍偃月刀ではなくて、書物なのです!
まるで二宮金次郎の如く書物を開いて手に持っている、筋骨隆々の豪傑とは!文武両道の極みと言いますか、読書中の姿勢でありながらどこか豪放と言いますか。
関羽は確かに読書人だった?『春秋左氏伝』を暗誦できたというその実力!
ちなみにこの台湾の巨大関羽像が持っている書物は、『春秋左氏伝』です。中国の古典として有名な歴史注釈書であり、古代世界から「読書人がたしなみとして読んでおくべき名著」として受け継がれてきました。
巨大関羽像がこの本を持っていることにはちゃんと由来があります。『正史』に伝えられるところによると、関羽は確かに学問にも熱心で、「春秋左氏伝を暗誦できるほどであった」そうなのです。
それにしても三国志の登場人物の中で軍師や参謀の役回りのキャラクターが「古典の本をまるまる暗誦できた」と伝えられているとシックリくるのですが、関羽のような一騎当千の武将の逸話として伝えられているとなると、ずいぶん印象が違ってきます。
体を鍛えたり、黄巾賊を討伐したりで、キャリアの若いうちから関羽はかなり忙しかったはずなのですが、いつ『春秋左氏伝』のような書物を暗誦するまで読み込んでいたのでしょうか?
さりげなく書かれている「春秋左氏伝を暗誦できた」というエピソード、冷静に考えるとなるほど超人的な話であり、関羽が現代でも大忙しな「万能神」状態になるのも、さもありなん、という気になってきます。
まとめ:たしかに受験にはご利益がありそう!受験生の方は中華街の関帝廟を訪れてみては?
ちなみに関羽は、台湾では受験の際にご利益があるともいわれているそうです。
『春秋左氏伝』をマスターしていたという逸話を知らないと、「関羽が受験の神様?なんで?」と戸惑ってしまうかもしれませんが、この逸話を一度知ってしまうと、なんだか納得感が生まれてきますよね。
暗記モノの学問にも強かったらしい関羽がついてくれているなら、「学問効率 + 勝運」の二重のご利益があって、たしかにどんな難関受験でも突破できそうな、勇ましい気持ちになってくるのではないでしょうか。
三国志ライター YASHIROの独り言
受験中の学生さんで、いまいち「地元にはよい受験祈願の寺院や神社がない」という方がいらっしゃいましたら、いっそのこと受験祈願には中華街の関帝廟を訪れてみてはいかがでしょうか?
特に『三国志』ファンの学生さんならば、「関羽がついてくれているのだ」と思えば、なんだか勝てる気持ちも湧いてくるはず!
関羽のパワーをもらって、どんな難関校への入試であろうと、顔良や文醜のようにズバッと秒殺してしまってください!
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