4年前にキングダム予想で書いた悼襄王の最期がブーメラン的に命中し、少し鼻高々なkawausoですが、今回の悼襄王殺害の犯人も予想という程の事もなくわかりました。それは、佞臣の郭開で、その顛末は漫画にちりばめられたヒントから容易にたどる事が可能です。同時に李牧も恩赦により助命される流れが分かってきました。
この記事の目次
キングダム予想 悼襄王は皇太子を公子嘉に変更しようとした
キングダム644話で、息子である公子嘉の右耳を咬みちぎった後、悼襄王は愛妾の江姫に命じて、郭開と英書記官という人物を呼ぶように命じていました。中国では古来より、書記官に国の歴史を記させていましたが、それは趙でも同じです。実際、史記の趙世家は趙の歴史書を元にして司馬遷が書いたものです。
書記官が記録に残すのは戦争の勝敗や王の言動など色々ですが、特に重要なのは後継者を記す事です。例えば、趙世家の悼襄王の9年(紀元前236年)には、こう書かれています。
九年、趙、燕を攻め貍・陽城を取り、兵、未だ罷めず。秦、鄴を攻め之を抜く。
悼襄王卒し子の幽繆王遷立つ。
こういう記録を残すのが書記官ですが、悼襄王は気まぐれで自分の後継者を公子遷から、公子嘉に変更しようと考え、その後見人になる郭開と英書記官を立ち会わせたのです。
キングダム予想 歪んだ王がまともな判断を下したから毒殺した
キングダム644話の冒頭で、郭開は李牧に言い残す事はないか?と尋ねていますが、結局、その遺言を握りつぶして誰にも伝えないと言い、バカ真面目に遺言を伝えようと考えていた部下を裏拳で張り倒していました。郭開はそれをまともに悼襄王に伝言したら、自分も粛清されると知っています。それはオフ王にとっては暴言であり、公子嘉のような息子でも右耳を咬みちぎられたのです。
むしろ、今まで郭開は何一つ、まともに物事を伝えなかったからこそ自分が悼襄王の寵愛を得たのだとよく知っています。見た目と違い、郭開はアホではなく保身には長けているのです。しかし、そんな悼襄王が、突然、まともな事をやり出しました。アホな皇太子の遷から、李牧も忠誠を尽くしている賢い公子嘉に皇太子を変更しようというのです。
公子嘉が即位すれば郭開は破滅する
全てにおいて歪んだ王にあわせて、歪んだ政治を続けて来た郭開が、全てにおいて正しい公子嘉が即位した趙で今までのように活躍できる可能性は1%もありません。それは、郭開にとって重大な王の裏切りであり、許す事ができない事でした。ただ、それを悼襄王に諫言しても無意味な事を郭開はよく知っています。
「王に口ごたえするな!無礼者めが」
こう言われて鼻を削がれるか、耳をちぎられるか、殺されるかでしょう。言い出したら聞かないから、クソ王なのであり、そんなヤツに諫言するヤツはアホです。ならば、いっその事毒殺して書記官に記録を書きなおさせ何も知らんふりをするのが一番簡単です。
李牧は大赦により助命される
古代中国では、新しい王の即位の祝賀で大赦をした事例が出てきます。新しい王の政治手腕は未知数であり、国内の人気を勝ち取る名目で罪人の刑期を減じたり、あるいは刑の執行を停止して、自由の身にするなど措置をしたのです。
日本でも、新天皇の即位に従い、恩赦という刑の減刑が行われた事が記憶に新しいのではないでしょうか?これも中国由来の慣習です。キングダムに戻って考えてみると、すでに李牧処刑を命じた悼襄王は死んでいて、新しく即位する幽繆王の権力基盤は不安定ですから、李牧の処刑を強行すると国が分裂する恐れが出て来ます。そこで、郭開は幽繆王の恩赦として李牧の死罪を減刑して、雁門にでも左遷するのではないかと考えられるのです。
【次のページに続きます】