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シーランド公国焦土と化す
2006年6月23日、シーランド公国の老朽化した発電機から火災が発生し公国が半焼します。幸い、この時、ロイ・ベーツは国外に住んでいて無事でしたが、国土は壊滅状態に陥りました。
同年6月25日にはベーツ夫妻が国土に戻り、私財を投じて国土再建を開始、7月末には発電機や焼失した配線系統が復旧し公国の存続が実現します。この再建計画には、売りに出した爵位などの売上金が助けになったようです。
2007年の1月8日付のイギリスのデイリー・テレグラフ紙によると、シーランド公国が6500万ポンドで売りに出された事が報じられました。ただ、主権は売買できる性質のモノではないので、シーランド公国側は譲渡という言葉を使っています。
これを受け、スウェーデンでビットトレントのトラッカーを扱うwebサイト「パイレート・ベイ」が買収に名乗りを挙げますが、シーランド公国が拒絶して断念した経緯があるようです。初代シーランド公ロイ公殿下、ロイ・ベーツは2012年の10月9日に91歳で薨去。同日に「摂政」を務めていたマイケル・ベーツ公世子が父の後を継いで2代目シーランド公国公に即位しています。
シーランド公国は国家なの?
では、そもそもシーランド公国は国家なのでしょうか?
現在、国家を構成する要件は3つあり、領土、領民、それに実効支配が挙げられ、それらの一つが欠けても国家とはみなされません。シーランド公国は領民と実効支配は満たしていますが、領土という点に問題があります。
領土とは島、または大陸の全部か一部と定義されますがシーランド公国は全体が人工物で島でも大陸でも大陸の一部でもないのです。この点から考えると外国が承認する以前の問題として、シーランド公国は国ではない事になりますね。
世界史ライターkawausoの独り言
イギリスの領海の少し外に建国された国シーランド公国。でも、こんな事、日本人でやる人はいなさそうですね、法律論うんぬん以前に、国に迷惑を掛けてはいけないという情緒的な空気で潰されてしまいそうです。
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