センメルヴェイス・イグナーツとはどんな人?人類の恩人は何故迫害された?

2020年7月5日


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センメルヴェイス・イグナーツとはどんな人?(1P目)

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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手指の消毒により死亡率0%を成し遂げる

院内感染予防の父 センメルヴェイス・イグナーツ

 

センメルヴェイスは、自身の仮説の正しさを証明すべく、解剖室の仕事と妊婦検診の合間に次亜塩素酸カルシウムを使い手を洗浄する消毒法を提示します。

 

どうして、センメルヴェイスが次亜塩素酸カルシウムを選んだのかというと、産褥熱遺体を取り扱った後の解剖台(かいぼうだい)の臭いを消すのに塩素消毒が最も効果的であった為で、次亜塩素酸カルシウムには、死体の有毒で汚染された粒子を消す働きがあるのではないかと考えた為でした。センメルヴェイスの試みは、産婦を苦しめた産褥熱から女性を救う福音でした。

 

1847年4月の時点で18.3%だった第一産科の死亡率は、センメルヴェイスの手洗い消毒が導入されたのちの6月には2.2%、7月には1.2%、8月には1.9%と劇的な死亡率の低下をもたらしたのです。さらに、解剖の場にも指導が入った事で、翌年には2回も月間死亡率0%を達成する快挙を成し遂げました。

 



人類の恩人の悲惨な最期

 

センメルヴェイスの仮説は、突き詰めると清潔さこそが産褥熱を撲滅する唯一の鍵というもので、それは、次亜塩素酸カルシウムによる消毒作業の結果起きた産褥熱死亡率の激減で証明されました。

 

しかし、センメルヴェイスの新説は四体液説が主流で、病気は血液、粘液(ねんえき)黄胆汁(おうたんじゅう)黒胆汁(こくたんじゅう)、4種類の体液バランスが崩れる事で起こされると信じられた当時の医学の世界では、受け入れられる余地がありませんでした。当時の病気の主な治療法は瀉血(しゃけつ)で、血を抜く事で体液のバランスが取れるというものだったのです。

 

それ以上に、当時の医師の反感を買ったのは、医師の手が微粒子で汚染されて不潔であるというセンメルヴェイスの発言によるものでした。

 

社会的にエリートの地位にある自分達の手が、微粒子とかいう病気の媒介をしているというモノ言いに医師たちは感情的に反発したのです。また、時代の制約でセンメルヴェイスは、産褥熱を引き起こす微粒子が確かに存在するという科学的な証明は出来ないという致命的な弱点を抱えていました。

 

センメルヴェイスの微粒子説を批判する医師たちには、微粒子がオカルトや魔術の類と変わらない中世への逆行に見えていたのです。反微粒子説の医師もまた、感情的な批判や無理解だけでなく、実証主義の見地からセンメルヴェイスを批判していました。

 

センメルヴェイスも闘争心旺盛な人で、自分をバカにし批判し、こき下ろす医師や医学者に、質問状を叩きつけて論争しましたが、病院の職を失い非難が殺到するに従い精神のバランスを崩して奇行が増え、1865年に無理やりに精神病院に入れられました。

 

そして、病院からの脱走を図って数人の衛兵に発見されてひどく殴られ、さらに拘束衣を着せられて暗闇の独房に監禁されるなどし、右手の傷の壊疽(えそ)が元で47歳で死去します。人類の恩人のあまりにも報われない最期でした。

 

世界史ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

もう少しセンメルヴェイスが長生きしていれば、彼が微粒子と名付けた存在が細菌と証明され、消毒という感染症に対する有効な手段を産み出した人類の恩人として世界中の賞賛を浴びたでしょうに運命は残酷でした。

 

しかし、センメルヴェイスの業績は現在の医学にも受け継がれ、私達は消毒という方法で、恐ろしい感染症の恐怖から逃れられるようになりました。この事実こそ、センメルヴェイスが本当に願った研究の成果なのです。

 

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塩と人類の歴史

 

 

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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