大人気春秋戦国時代漫画キングダム、主人公を置いてけぼりで戦いが続いていた、ある意味攻めている歴史チャンバラアクション漫画キングダムですが、錯綜しそうに見えた月知平原の戦いは、ファルファルが楚の本陣の寿胡王を捕えた事で何故か終結。
満羽、千斗雲、玄右の什虎3将軍は、項翼や白麗と共に、すでに陥落させられた什虎城に退却するというマヌケな状態になっていきました。しかし、そんな中でキングダムのラスボスは昌平君に違いないという事実も浮かび上がってきたのです。
この記事の目次
キングダム660話休載SP「最期は身内が敵という王道」
漫画の中で主人公の背中を押していた存在が、最期には敵になるというのは、それこそ巨人の星の星飛雄馬・星一徹の父子の戦い以来の王道パターンです。
それ以外にも、幼馴染がラスボス、血を分けた兄弟がラスボス、行方不明だった父親が実は悪の組織のラスボスだった、このような展開は、具体名を挙げなくても想像がつきます。
しかし、ベタなだけに「ああ、身内が敵ね、はいはい」で読者に飽きられてしまう可能性も高いのですが、そこは、特盛の人間関係汁で溢れるキングダム
ええええ!!昌平君がラスボスぅ!そんなの嫌だァ!!
みたいな展開になる事は請け合いです。どうして、そうなるのかと言えば、これまでの戦いの中で培った絆が切れてしまう心の痛みによるものです。
キングダム660話休載SP「満羽を使う事でラスボスは昌平君と暗示」
主人公不在の月知平原の戦い、それを650話から659話までおよそ2カ月も引っ張ったのは何故でしょうか?
それは、什虎4将というトリックスターを漫画内に放つ事と、身内に裏切られて虚無を背負った満羽というキャラクターを蒙武に対峙させる事で、将来に起きる昌平君と蒙武の関係の崩壊、そして、事実上、最期の戦いとなる紀元前223年の対楚戦を暗示させる為に、他ならないと思います。
幼馴染であり、共に中華統一を誓った男が、お前の前に立ちはだかる最後の敵になる。満羽は、その語り部役を果たす為に登場したのです。マチガイナイ!
キングダム660話休載SP「寿胡王が話すのは心構え」
ところで、騰に軽々と捕まってまで、蒙武に満羽について語りたがっている寿胡王は何を話すのでしょうか?
これは、満羽にも蒙武のように幼馴染がいて、それに裏切られてしまった経緯を説明するのだと思いますが、恐らく、満羽は裏切られたその幼馴染を斬殺してしまい、その虚無感から現在の、正露丸を飲み過ぎた顔になってしまったのでしょう。
いみじくも満羽が断片的に蒙武に語ったように、人を信じるならたった1つ、裏切られる事を覚悟しろという事を寿胡王の口を通して語るのかも知れません。
「満羽は、ああなってしまったが、蒙武、貴様はそうなってくれるな。麻の如く乱れる、この乱世を終わらせる為に、貴様は、その痛みを乗り越えねばならぬ」
寿胡王は、そのように熱く語るのかも知れません。
キングダム660話休載SP「死んで名を残すグハ!」
寿胡王は、それだけ告げると、すでにお茶に仕込んでいた毒により、グハア!となり、「返事がない、ただの屍のようだ」になるのです。
こうする事で寿胡王は、軍師と言う割に、特になにもしないで死んだという汚名で終らず、中華の未来を見据えていた藺相如なみの頭脳派軍師に早変わりですね。なーんちゃって
キングダム660話休載SP「史実の昌平君は李信に牙を剥く」
あくまでもWikipediaの記述で、秦始皇本紀には見出せませんが、史実の昌平君は、秦王政が李信と蒙恬に楚攻略を命じた時に、秦王政が王翦を罷免した事に抗議して怒りを買い、丞相をクビになったようです。
その後の昌平君は、旧韓で起きた反乱を鎮圧し、さらに、旧楚の領地であった郢陳の動揺を抑える為に派遣されたのですが、紀元前225年、李信が蒙恬と楚で快進撃をしている途中に、郢陳で反乱が起き、急遽反乱鎮圧を命じられた李信は、敗走する形になり、そこを項燕に襲撃されて大敗したとなっています。
つまり、昌平君が最初に牙を剥くのは李信で、おそらく軍師としてついている河了貂も相当なショックを受けるでしょう。
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