ぜんぜんフレンドリーじゃない宣教師 フランシスコ・カブラル

2022年12月27日


 

 

フランシスコ・ザビエル

 

 

戦国日本にやってきてキリスト教を布教した宣教師としてはフランシスコ・ザビエルが有名です。ザビエルは日本人にすぐれた資質を認め、キリスト教の布教は可能として、以後、多くの宣教師が日本に渡ってきます。しかし、中には全然フレンドリーじゃなく本当に布教する気があるのか分からない宣教師もいました。

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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頑迷固陋な元軍人カブラル

ガレオン船(世界史)

 

 

カブラルはスペイン貴族の子で宣教師になる前は軍人でした。神の教えを説くというより大航海時代の冒険者の典型という男で考え方も柔軟性を欠き、日本人に対してもヨーロッパ人に比較して下等で悪徳に塗れ、不安定で傲慢、貪欲、欺瞞的な連中と悟空に負ける前のベジータが地球人を見下すような偏見を持っていました。

 

 

適応主義のトーレスの指示で軌道に乗る布教

ルイス・フロイスの書き残した日本史

 

 

カブラルの前任者は、コスメ・デ・トーレスという人物でザビエル同様に日本人を評価、力で押し付けても聡明で勇敢な日本人は反発して布教が妨げられるとして、宣教師達に日本語を習得し、日本の慣習に慣れるように命令を出していました。これを適応主義と言います。

 

にぎわう市(楽市・楽座)

 

 

当時、宣教師は清貧を強調するために、あえて貧しい身なりをするのが普通でしたが、トーレスは「日本人は身なりを重んじるので清潔な良い服を着ないと侮られる」として宣教師にも絹の衣服を身につけさせ、その甲斐もあり布教は次第に成功していきます。

 

 

すべてをぶち壊すカブラル

 

 

このトーレスの後を継いで日本にきたのがカブラルでした。もちろん、日本人を下等生物と蔑むカブラルが適応主義を評価するわけはありません。「下等人種である日本人の野蛮な文化に我々が合わせるより、連中を進歩的なヨーロッパの文化に慣れさせるべきだ」として、宣教師には従来通りの粗末な衣服を着せると、宣教師たちが日本語を習得する事を禁止。さらに、スペイン語やポルトガル語を日本人に教える事も禁止します。「日本人が我々の言葉を覚え、我々の会話を理解したら我々を尊敬しなくなる」というのが理由でした。

 

 

ヴァリリャーノによりあっさり解任

君主論 マカベリ

 

 

カブラルのやり方で布教が進んだら正に奇跡でしたが、当然、結果は日本人信者と宣教師の間に溝が生まれて大失敗でした。カブラルは自分のやり方が悪いとは微塵も思わず、視察にきた上司のアレッサンドロ・ヴァリニャーノに「日本での布教は絶望的です」と報告します。当初はカブラルの報告を信じ絶望に目がくらむヴァリニャーノでしたが、畿内に滞在して素晴らしい日本のキリシタンと出会い、交流するうちに「カブラルがオカシイんじゃね?」と思うようになり、カブラルを布教の責任者から解任してしまいました。

 

いっそ清々しいカブラル

 

 

日本を去ったカブラルは1583年にインドのゴアに渡り、そこで教官区長として布教につとめ、1609年にゴアで死去しました。確かに日本人への悪意に満ちたカブラルですが、ここまであしざまにボロクソに叩かれると返って清々しささえ覚えます。個人的に付き合う分には裏表がない、いいやつだったんじゃないですかね?カブラル

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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