三谷幸喜の細かすぎて伝わらない三浦義村、先輩風を吹かす義村は史実に根拠あり?

2022年12月31日


 

何を考えているのかわからない 智謀の士・三浦義村

 

2022年12月18日でフィナーレを迎えたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」その最終話で山本耕史さん演じる三浦義村が承久の乱の途中「うるせえんだよジジイ」と北条朝時に陰口を叩かれ「今言ったのは誰だぁ!」と体育会系風にブチ切れる演出がありました。あれを見て、あれ義村って先輩風を吹かすヤツだっけ?と意外に思った人は多いのではないでしょうか?実はあれ山本さんのアドリブでも三谷幸喜氏の創作でもなく、それなりに根拠がある話なのです。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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上下関係にこだわる三浦義村の逸話

京都御所

 

それが鎌倉時代前期に活躍した橘成季が編纂した世俗説話集「古今著聞集」に出てきます。ある年の正月、将軍御所の侍の間の上座に座っていた義村。そこに下総国の若い武士、千葉胤綱がやってきて義村より上座に座りました。それを不快に感じた義村「下総の犬は座る場所もわからんようだな」と呟くと胤綱も負けずに「三浦の犬は共食いするそうだ」と切り替えしたのだそうです。ここからは義村が武士社会の序列を気にする人物である。つまり今風に言う体育会系の人物である事が見て取れます。

 

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若い頃にジジイを軽んじた義村への当てつけ

脳卒中で急死した71歳の三浦義村

 

脚本の三谷氏は、この「古今著聞集」に着目し義村を序列にうるさい体育会系の人として性格付けすると同時に、若い頃の義村を先輩をジジイと軽んじる序列を無視する性格として描いたようです。それにより若い頃にはジジイを軽んじていた義村が自分が年を取ると、若い北条朝時に「ジジイ呼ばわり」され軽んじられる皮肉を描きました。

 

 

細かすぎて伝わらない三谷氏のキャラ付け

千葉常胤 鎌倉

 

このように深くこだわったキャラづけをする三谷氏ですが、視聴者の感想では、若い頃に佐々木秀儀や千葉常胤をジジイ呼ばわりした義村が自分がジジイになって意趣返しされたというものが多かったようです。体育会系義村が「古今著聞集」を根拠にした裏付けがあるものだと気づいた視聴者は、あまり多くないのではないでしょうか?その意味では三谷氏のキャラ付けは細かすぎて伝わらなかったと言えるでしょう。

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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