諸葛亮の特徴と言えば、皆さんはどんなイメージ像を描くでしょうか?
やはり白い服を着て、何だか丸まったような帽子をかぶり、そして最大の特徴として「羽扇」を持っていると想像する人が多いでしょう。今回はその諸葛亮の特徴の一つである羽扇について色々なことをお教えしたいと思います。
諸葛亮の見た目の特徴である羽扇
さて諸葛亮の見た目の特徴は、『初学記』にまず載せられています。それによると諸葛亮は「白い輿に載って頭巾をかぶり羽扇を手に持って軍を指揮した」とあります。
これを更に膨らませて描写したのが三国志演義で、綸巾をかぶって羽扇を手にしている姿が描かれることになりました。また四輪車に載っているイメージは諸葛亮の発明の一つとも言われる運搬アイテム木牛、流馬に起因するものと思われます。
ここで気になるのがこの羽扇、諸葛亮のイメージとも言える羽扇は他の人たちは使っていなかったのでしょうか?もしかしてオンリーワンアイテム?と思われるかもしれませんが、この羽扇に近いものは実は日本にもあったのです。
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羽扇は日本にもあったのか?
どうやら調べてみたところ、この羽扇は諸葛亮を始めとする策士たちの間では良く持たれていたようです。この羽扇は軍配羽扇とも呼ばれ、指揮の際に用いられるだけでなく、儀式や祈願、占いなどに幅広く使われているアイテムだったようですね。
そしてこの軍配は、今の日本にも存在しています。相撲で行司が使うのがそれですね。あれは判定指示に使われていますが、元々は戦の場で使用されていました。これを使用している人物は軍配者とも呼ばれ、方角・日時を見極め、天文を読んで軍陣を適切に配置する仕事を担っていたのです。
因みに有名な武将、武田信玄もこれを使用していて、一人で軍深くまで乗り込んできた上杉謙信の一撃をこの軍配で受け止めたシーンが有名ですね。
中国と日本の軍配の違いと、諸葛亮の羽扇の伝説
日本の軍配の多くは木材、鉄などを利用して作られていました。革を利用したり、木材に漆を塗って作られたものもあります。対して中国の軍配は軍配羽扇の呼ばれ方通り、鳥の羽を利用して作られています。
特にガチョウの羽を使って作られた「鹅毛扇」が一般的なものだったようです。
しかし諸葛亮の羽扇は一味違います。なんと諸葛亮の羽扇は巨大な怪鳥を退治して作られたものだという伝説があるのです。この怪鳥を退治したことにより諸葛亮は未来を見通す力を授かったという……まぁ、こちらはあくまで伝説でしょう。
それでもこんな伝説が生まれるほど諸葛亮が人間離れしたような才能を持っていた、そしてその羽扇は諸葛亮にとってのトレードマークでもあるというイメージなのでしょう。
大きく爪痕を残した孫呉の虎たち
最後にちょっと、とある成語を紹介しましょう。羽扇と言えばガチョウの羽を使った鹅毛扇が一般的でした。そして羽扇は諸葛亮だけでなく、軍師たちのトレードマークでもあったと思われます。
それを裏付けるのが「摇鹅毛扇(鹅毛扇を揺らす)」という成語です。これは「策士の陰謀」という意味です。
軍師が羽扇を揺らしているその様が何やら企んでいるように思われたのか、それとも羽扇で口元を隠し上司に耳打ちをする……その際に怪しく揺れはためいている羽扇を陰謀とイメージしたのか……真相までは定かではありませんが、確かに想像してみると何やら陰謀渦巻くダークな雰囲気が漂っていますね。
もしかしたら策士の愛用している羽扇は、それだけでただ物でない雰囲気を醸し出しているアイテムだったのかもしれません。
三国志ライター センの独り言
なお、現代でも諸葛亮に憧れる人が多いのか、この羽扇を手に入れることができます。
それこそ大手通販サイトでも取り扱っているので、気になる人はチェックしてみてはいかがでしょうか?羽扇を手に持って不敵に微笑み、諸葛亮になったつもりで策略を巡らせてみるのも面白いかもしれませんよ。
参考:
「三国志外伝―民間説話にみる素顔の英雄たち」立間祥介・岡崎由美共訳
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