ウクライナへのレオパルド1戦車大量供与[一喜一憂の背景]

2023年8月18日


 

ウクライナは、南部での6月からの反転攻勢で厳しい戦いを強いられ、多くの戦車と装甲車を失いました。しかし、喜ばしい知らせが舞い込んできました。ドイツ、デンマーク、オランダ、ベルギーの欧州諸国が、ウクライナに向けて200両ものレオパルド1戦車を提供する予定です。しかし、ウクライナには喜べない理由も存在します。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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現役のレオパルド2が提供されず

紅茶一揆(イギリスの紅茶文化と戦車)

 

ウクライナがレオパルド1戦車供与に対して微妙な反応を示すのは、レオパルド1が旧式の戦車であるためです。欧州諸国では現在、レオパルド2が主力として活躍しており、ウクライナもこれを希望していますが、NATO諸国は慎重な姿勢を取っています。自国の防衛力低下を懸念して、現役の戦車を提供することに消極的なのです。最低限、アップグレードされた後のレオパルド2が提供されることを望む声があります。

 

 

厳しい状況下でのレオパルド2の被撃破

爆死する松永久秀

 

レオパルド2戦車すら、南部の反転攻勢中においてロシア軍のT-90戦車に少なくとも10輌が破壊されました。このような状況下で、装甲板がわずか70ミリしかないレオパルド1は、ロシア軍の強力な火力に対して紙のように脆弱であり、実戦で有用性を発揮するのは難しいでしょう。

 

 

創意工夫による旧式戦車の活用

戦車隊を率いて活躍する夏侯嬰(かこうえい)

 

ただし、ウクライナに供与されるのはレオパルド1だけでなく、アメリカ製のM-1エイブラムス戦車も含まれています。M-1エイブラムスは旧式ではありますが、分厚い装甲と120ミリの滑腔砲、コンピュータ制御の射撃などによって、ロシアのT-90を上回る性能を持っています。合計31輌のM-1エイブラムスが供与される予定であり、これを最前線で運用し、背後をレオパルド1で支援することで、まだ戦闘での有効性を維持できる可能性があります。

 

 

ウクライナ軍の創意工夫の限り

飛行機(プロペラ)に乗るkawausoさん

 

ウクライナ軍は国土を守るために全力を尽くしており、旧式戦車でも歓迎される理由は、どんな戦車であっても「無いよりはまし」だからです。ウクライナのエンジニアは過去にも、旧式のソ連製爆撃機を改良してイギリスの巡航ミサイルを搭載したり、奇想天外なアプローチで旧式兵器を最新のものに変えてきました。今回も大量のレオパルド1戦車が、創意工夫によって新たな力を発揮するかもしれません。

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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