私は学生時代は電車通学で、学校帰りは駅前の書店で三国志関連の本を物色してから帰宅するのが日課でした。先日、久しぶりにその書店をのぞいてみたところ、当時三国志関連の本が並んでいた棚には日本の戦国時代の本ばかりが並び、三国志の本は一冊もありませんでした。
書店の方に聞くと、三国志は流行っていないから置いていないとのことでした。むむぅ、流行ってなくても一冊くらい置け!と怒ってもしかたないので、三国志が流行っていない理由を考えてみました。
三国志の作品は続々と出ているが……
三国志に興味のなかった人が三国志にはまるきっかけとなりそうな有名なエンタメ作品の過去五十年分の年表を作ってみました。
1971年~1987年 横山光輝「三国志」(漫画)
1982年~1984年 NHK人形劇「三国志」(テレビ)
1985年 歴史シミュレーションゲーム「三國志」(ゲーム)
(※当時は歴史シミュレーションゲーム自体が珍しかったため大いに話題になった)
1995年 中国ドラマ「三国志演義」がNHK衛星第2で放送される(テレビ)
1994年~2005年 「蒼天航路」(漫画)
2008年 「レッドクリフ PartI」(映画)
2009年 「レッドクリフ Part II -未来への最終決戦-」(映画)
2011年 中国ドラマ「三国志 Three Kingdoms」の日本での放送が始まる(テレビ)
これを見ると、三国志のことを大勢の人に知ってもらう機会となるような作品はコンスタントに出ているようです。いつ頃から流行らなくなったんでしょうかね……。
三国志はいつでも流行っている!
いえいえ、三国志はいつでも流行っています。三国志ファンの間では三国志は常にホットでございます。しかし世間との温度差を感じるんですよ……。中国ドラマ「三国志演義」が日本で放送された頃(1995年)は三国志は大いに盛り上がっていたように思います。(NHK総合テレビで連日予告編を放送していたので嫌でも目に入る)
その後いつの間にか三国志の話題をあまり耳にしなくなり、映画「レッドクリフ」が放映された時は久しぶりに三国志の話題を聞いたなという印象で、これでまた三国志ブームが来るかな~と思ったのですが、意外に流行らなかったなという印象です。あんなイケメンぞろいの大がかりな映画を作ったのにブームに火がつかないってどういうことなんでしょう!?
三国志の入り口が複雑になっていた!
例えば、金城武でも見てやろうと思って「レッドクリフ」を見に行った人が、ところで三国志ってなんじゃらほいと思った時に、そういえば三国志好きの友達がいたなーと思ってそのお友達に「三国志を読んでみようと思うんだけど」と相談したら、相手はどういう反応をするでしょうか。
「え、うーん、どうしようかな……。じ、じゃあとりあえず横山光輝の漫画でも読んでみれば?で、次は三国志演義読んで、
そのあと蒼天航路読んで、次は正史を読んだらいいんじゃないかな」
「え。三国志ってそんなに面倒くさいんだ。じゃあやっぱいいや」
「あっ、ああっ……!」
蒼天航路(正史寄り)後の世界は複雑になりましたね。それより前は、吉川だろうが横山だろうが人形劇だろうが中国ドラマだろうが、ぜんぶ三国志演義ベースだったので、それさえ読んでおけば「三国志を読みました」って胸を張って言えたんです。歴史シミュレーションゲームをやっていた人は「演義はこうなってるけど正史では実はね……」と言っていましたが、それだってあくまでも世間での三国志の基本的な理解が演義ベースであるという前提に基づいての豆知識程度でした。
現在は、演義と正史と両方見ていないと三国志の話題について行きづらいことが多いので、ちょっととっつきづらくなっているのではないでしょうか。だから流行らなくて書店から消えたのかな~と思っておりますが、どうでしょうか。
でも楽しい三国志
昔のシンプルな時代を懐かしんでいてもしかたないので、これから先のことを考えたいと思います。そもそも、書店に行って本を買うという時代でもありませんしね。(書店や紙の本にはもちろん特有の魅力がありますが!)
現在の三国志は百花繚乱ですから、その様相をありのままに楽しむのが今どきの三国志入門にふさわしいのかな、と思います。“三国志ってなんかいっぱいありすぎて全然わかんないけど、いろんなこと言ってる人がいてみんなそれぞれ楽しんでるから面白そう!“ と思ってもらって、ご自分の好きなところから気軽に三国志に入ってきてもらえるような環境が整えば、また三国志が流行るかな~と思います。
三国志ライター よかミカンの独り言
あ~~~、なんか、すっごいいやらしいまとめ方をしちゃいそうで嫌です!「三国志ファンの交流掲示板【はじめての三国志コミュニティ】がみんなのいろんな三国志の楽しみ方を交換し合える場になるといいですね!」みたいな宣伝くさいことを書いちゃいそうで嫌ですよ!あああ~、めっちゃ嫌っすわ、そういうの。だからもう黙る。
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