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消費税増税で大手輸出企業が大儲けする[仕組み]が腹立たしい

2023年12月20日


編集長kawauso日記02 kawausoさん

 

 

日本経済が不景気感を増している中、トヨタや日産、本田技研などの大手輸出企業20社が国から合計で1兆9千億円もの消費税還付金を受け取っていることが明らかになりました。円安で過去最高益を出している大手輸出企業が巨額の消費税還付金を受けているのは、増税に苦しむ庶民から見れば、理不尽で腹立たしい話ですが、その前になぜ大手輸出企業だけがこのような膨大な還付金を受け取れるのでしょうか?考えてみましょう。

 

参考:22年度 トヨタなど輸出大企業20社に消費税還付1.9兆円

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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 ゼロ税率と仕入れ税額控除方式

日本史01 煙を吐く工場

 

大手輸出企業が1兆9千億円もの消費税還付金を受け取れる理由は、輸出ゼロ税率と税額控除方式によるものです。この2つの仕組みはフランスで生まれましたが、簡単に説明すると、輸出企業は商品の売上に応じて消費税を支払います。しかし、この時、輸出企業から、仕入れや外注費などの経費にも消費税が加算されるのに、商品を売上げた時にも課税されるのは税金の二重払いになると不満が出されました。政府はこの問題に対応し、消費税に輸出ゼロ税率を設定し、輸出産業が支払った仕入れ費用や外注費などの消費税を輸出分については全額控除し還付金として返還することにしました。また、この還付金は世界貿易機関の規定により政府が自国の輸出産業に補助金を出せなくなった為の代替政策でもあります。

 

 

トヨタのケースを見てみると

そろばんを叩く関羽

 

消費税還付金がどのように還付されるのか?トヨタの例で見てみましょう。トヨタの2022年度の輸出売上は約10兆6千億円です。この10兆6千億円に消費税0%をかけると消費税額はゼロ円になります。ただし、輸出売上には国内販売分の3兆5千億円が含まれるため、ここには通常の10%の消費税がかかり、消費税額は3500億円です。さらにトヨタは輸出以外にも8兆8千億円の仕入れ費用や外注費、経費があり、この部分の消費税10%の8800億円が控除されます。こうして国内販売分の売上にかかる消費税額3500億円から仕入控除額8800億円を差し引くと、合計はマイナス5300億円になります。トヨタが税務署に支払う消費税はマイナスになり、逆に税務署から還付金として5300億円が支払われるのです。

 

 

 輸出企業が還付金をもらうのは当然?

編集長kawauso日記03 kawausoさん、おとぼけさん

 

大手輸出企業が巨額の消費税還付金を受け取るのは当然だという声もあります。なぜなら、これらの還付金は大企業が下請け企業に支払った消費税であり、その分が控除され還付されるのが当たり前だと言うのです。しかし、この主張は消費税の性質を誤解しています。大手輸出企業が下請けに支払っているのは税金ではなく物価の一部です。また、親会社と下請けの関係を見ても、価格を決める力は親会社にあり、自社に有利な金額を指示して消費税分を請求書に書くことも可能です。それに消費税は個別の取引で10%ずつ加算するわけではなく、会社が一年分の売り上げから仕入れ費や外注、経費に10%掛けて申告するもので、消費税=親会社から預かった金額ではないのです。誰が支払ったかあやふやな消費税を輸出企業が自分が払ったと主張して受け取るのは税金の横領ではないでしょうか?

 

 

 

医療機関は消費税還付金を貰えない

東京大学 kawausoさん

 

また、同じ企業でも医療機関は輸出産業とは異なり、仕入れにかかった金額が非課税で控除対象にならず、消費税還付金をもらえません。さらに近年では相次ぐ診療報酬の減額もあって経営が困難になり、政府に対し輸出産業と同じゼロ税率と税額控除方式を求めています。一方で輸出産業は円安の影響で輸出も好調で2022年には過去最高益を叩きだす業者もあり、消費税還付金で政府が保護する必要もありません。輸出産業に関しては消費税還付金を停止し診療報酬の減額にあえぐ医療機関に消費税還付金を適用する方が、遥かに有益だと思われます。

 

 

消費税が上がると消費税還付金は増える

内容に納得がいかないkawauso様

 

経団連など大手輸出企業が組織するロビー団体は毎年、消費税の増税を推進しており、最近では段階的に20%まで引き上げる提言もしています。では、なぜ経団連は消費税増税を望んでいるのでしょうか?その理由は、消費税が増税されれば0税率と税額控除で還付される消費税が増えるからです。統計によると、日本の中小企業の支払った消費税額の20%が、大手輸出企業の受け取る還付金として戻ってくるそうです。つまり消費税が増税されれば、大手輸出企業の還付金が増額される仕組みです。私はこれが何かおかしいと感じますが、皆さんはどう思いますか?

 

 

まとめ

オンライン授業の講師を務めるkawauso編集長

 

ゼロ税率と消費税還付金の制度は、消費税増税の度に大手輸出企業に大きな利益を与える構造になっています。しかもこれは輸出企業だけの優遇策であり、それ以外の企業には適用されない極めて不公平な制度なのです。消費税の性質や影響を正しく把握し、公平かつ適切な分配が行われるよう議論されることが重要ではないでしょうか?

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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