投資漫画の金字塔「インベスターZ」が現在無料でyoutube配信をしています。しかし、その動画の中の「つまらない映画を最後まで観てはいけない理由。成功したければ「損切り力」を身につけろ!」というタイトルの回で、面白くない映画を最後まで見る人は投資の才能が無いと断言するような場面があり、前提が違う映画と投資を混同したような表現に疑問の声が出ています。
動画の内容
動画の内容は、道塾学園の投資部に所属する主人公の財前が投資部の先輩と共にラーメンを食べにいくシーンから始まります。しかし、先輩たちはラーメン屋ではなく映画館に財前を連れて行き、特定の映画を自腹で視聴するように指示します。財前は見たくない映画を1人で見せられるのですが、その映画が退屈で仕方なく、結局、視聴から21分で映画館を出てしまいます。財前が映画館を出ると、そこに先輩の1人が待っていて、財前の記録を21分と記録し、携帯で投資部の面々を呼び集めます。そして、今回、財前に映画を見せたのは、財前が何分で映画館から出てくるのかの賭けの為であり、予想から一番遠い部員が全員分のラーメンを奢る決まりになっていると明かしました。財前がどうしてこんな事をしているのかと先輩の神代に聞くと、これは投資の損切りをしっかり実行できるかどうかを見極めるためだと答えます。投資の損切りとは、価値が低下した株に見切りをつけて売却し損失を最低限に抑える技術ですが、つまらない映画をお金を支払ったからとだらだらと見続ける人は、投資においても損切が出来ずにお金を無駄にすると断言しました。
投資と映画は同じではない
インベスターZは、為になる事も多い漫画ですが、この映画と投資を一緒くたにした説明はかなり強引すぎる印象を受けました。そもそも映画は投資と違い、支払ったお金は戻ってきません。投資のように価値が増減する事はないのです。そのため、映画視聴を途中で切り上げようと最後まで見ようと支払ったお金が帰ってこない点は同じで、投資金額の被害を最小限度にする損切りの説明とは一致しません。また、この回の動画自体にも矛盾があり、財前が映画館を出てくる時間を89分と予想し全員分のラーメンを奢る事になった渡辺という先輩部員は自分が見た映画は結構面白かったと答えています。では、この渡辺の場合、株の損切りと映画の見切りの説明をリンクして説明しても、映画を面白いと感じた渡辺は納得しなかったのではないでしょうか?完全な数字である投資を感性で見る映画に例えて説明する事には土台無理があると言えるでしょう。
映画は視聴して5分で分るという傲慢
また、投資部の先輩で切れ者の神代の映画についての見方もとても傲慢で浅薄でした。神代は映画は最初の5分で分ると断言し、カネより時間が大事と21分で気づいた主人公に投資部部員の資格はあると言いますが、これも随分と傲慢な物言いで、映画には最初から最期まで面白いモノもあれば、途中から面白くなるモノや、最初は面白いのに終盤退屈するモノもあります。そのような事は一切無視して映画は最初の5分で分るというのは、個人の主張としてはそれでもいいでしょうが、映画好きに対して納得させられる内容ではないでしょう。また、神代は映画館でつまらない映画を見る観客の心理として、折角お金を払ったのだから、最後まで見ないと損をするという経済観念だけで時間を無駄にしていると断じますが、実際にはそれだけが理由ではなく、つまらない映画の中に面白さを見出そうとしたり、観客の礼儀として最後まで映画を見た上でボロクソ批判してやろうと考える人もいます。言いにくい事をズバッと言ってのける爽快感がインベスターZの売りでもあるので、つまらない映画を最期まで見る人=決断力がなく投資の才能もない凡人と意図的に一括りにしたいだけかも知れませんが、私には、神代という思い上がった痛い高校生が上から目線で他人を揶揄しているだけにしか見えませんでした。
株の損切りについてはその通りだと感じる
つまらない映画を見る事を途中で辞める事と株の損切りを同一で語るやり方は強引すぎて納得できませんでしたが、純粋に株の損切りについての説明はそうだと納得できました。賛否両論はあるでしょうが視聴して面白いインベスターZは、こちらのリンクから無料で視聴できます。視聴した上で内容に突っ込んでみるのも面白いのではないでしょうか?
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