日本国憲法は改正の為に、国会で衆参各議院の総議員の2/3以上の賛成を経た後、国民投票によって過半数の賛成を必要とすると定めています。そのため改憲のハードルが高い硬性憲法と言われていますが、ドイツでは同じ2/3ルールながら、これまでに60回以上も憲法が改正されています。その理由を調べると目からウロコでした。
ドイツでは与野党合意で憲法を改正する
ドイツでは改憲のハードルが高いのに60回以上も憲法の改正が出来たのか?これはとても簡単で、与野党が合意して憲法を改正するからです。これなら2/3ルールでも問題なく改憲ができるわけで、ドイツでは改憲が与党の専売特許ではないんですね。
改憲できないのは議論も拒否する野党のせい
こうしてみると、日本で改憲が出来ない理由がハッキリします。日本では憲法改正を唱えてるのが与党自民党のみで野党は改憲論議そのものを拒否するからです。野党としては、憲法改正論議に応じて9条が改正されてはたまらないという逃げ腰なのでしょうが、憲法改正以外にも日本国憲法には変えないといけない部分があります。
問題が多い日本国憲法
例えば、日本国憲法には政府が憲法違反をしてもそれを違反とする憲法裁判所がありませんし、婚姻についても憲法24条1項が両性の同意が必要としているので同性婚を認めていません。例えば憲法裁判所は、憲法76条2頂の特別裁判所の禁止に抵触し、81条でも違憲審査の最終的権限を最高裁に与えているので憲法を改正しないと憲法裁判所を設置できないのです。
また、総理大臣は憲法68条2頂により国務大臣を任命し、また任意に罷免できるとしていて、登用するのもクビにするのも総理の専権事項です。その為、国務大臣の任免をチラつかせ特定の行政庁に圧力を掛ける事も出来てしまいます。これは行政庁の独立を阻むものなので、罷免については理由を明らかにし議会の承認を得るなど内閣総理大臣の権限を制限する必要があります。
これらの事を考えると、改憲はしない、議論もしない野党はとんでもない不勉強であり、憲法9条は置くとしても、どうしても必要な部分の改正については改憲論議に応じるのが国民の為でしょう。
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国民の期待を失った憲法は実質死んでいる
日本人の中には日本国憲法を聖典とし、9条を世界遺産に等と運動する、なかなかアレな人もいますが、憲法は日本国民の権利を権力から守り、より幸福に暮らせるために制定されたもので時代に合わせ、国民の幸福についての考え方が変化すると共に変わるのが普通です。
それをしないで、ただ憲法を有難いと拝んでいるだけでは、国民は憲法に期待しなくなり、実質権力を握り政策を立てる政権与党にのみ依存するようになります。自公政権一強が続く本当の理由は、自分達の暮らしの役に立っていない憲法の理念を国民が見限った結果かも知れないのです。憲法を殺さないために憲法のアップデートをしませんか?
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