ルソーの社会契約論とは?民主主義の聖典は独裁の教科書でもあった!




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フランス革命

 

近代民主主義の教科書と言われ世界史の教科書で必ず顔を出すルソーの社会契約論(しゃかいけいやくろん)。とっても有名な書物ですが、実は読んだ事がない人は多いのではないでしょうか?

 

今回のまるっと世界史では、民主主義、さらに独裁の教科書と言われる社会契約論について、分かりやすく解説します。




社会契約論のテーマ

水滸伝って何? 書類や本

 

最初に社会契約論のタイトルでもある社会契約について解説します。

 

ルソーは人類が誕生した当初から長い間、自然状態にあったと規定しています。自然状態とは、全ての人間がお互いを尊重し愛情をもって平和に暮らしていた時代です。そんな理想郷が存在したかどうかは証明されていませんが、1つの仮定として考えて下さい。

 

しかし、科学が進歩して人間が増加すると人々は富を獲得。やがて貧富の格差が開き、持てる者と持たざる者が生まれ、社会は貧しく不安定になり貧しい者も富める者も個人間で争いごとが絶えない悲惨な状態が誕生しました。こうして万人が自分の外にいる人間を敵として自衛のために武器を持ち戦争を続ける状態をルソーは「戦争状態」と名付けました。

 

三国志のモブ 反乱

 

悲惨な戦争状態は際限なく続きますが、これは人間が自分の愛する者や富を守ろうとする気持ちから発生しています。つまり個々人が愛を持つが故、外に存在する敵を憎悪し、愛する者を守る為、武器を取り戦いを繰り返してしまうのです。

 

ルソーは真剣にこの万人による万人への闘争を終わらせようと考え続けます。そうして到達した思想が社会契約だったのです。

 

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社会契約論の真髄

国会議事堂

 

悲惨にして人類を破滅に導く運命を回避すべくルソーが考えたのが社会契約です。社会契約とは、その共同体に所属する全ての市民がその身体と能力を共同のモノにし全ての物事を一般意志の最高の指揮下に置くとします。

 

もう少しかみ砕いて言うと、本来、私達の生命や能力は私達固有のモノですが、社会契約では、個人の生命も能力も共同体の決定に使い道を委託するという事です。

 

これを端的に言うと、あなたが社会契約を結んだ共同体に外敵が侵入してきて戦争になった時、共同体の最高意志決定機関があなたに対し、「共同体を守る為に死ね!」と命じたら、あなたは「死にたくない」という個人の意志を殺し共同体の為に死なねばなりません。

 

敗北し倒れている兵士達b(モブ)

 

言い換えると、あなたが敵に襲われて死にそうな時、あなたが社会契約を結んだ共同体の構成員は、どれほどの死者を出してもあなたを救出しないといけないのです。

 

こうして、社会契約を結んだ個々市民が、お互いの命をお互いに完全に預け信頼した時共同体の内側において「万人による万人の戦争」が終結し平和が訪れるとルソーは説いたのです。

 

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自分を守る為に命を懸けるのは矛盾しないか?

内容に納得がいかないkawauso様

 

しかし、ここで社会契約論に矛盾を感じる人もいるでしょう。

 

人間には、生きられるならいつまでも生きたいという自己保存の本能があるのに、共同体の一般意志によって死を命じられるのは自己保存本能に矛盾するのではないか?

 

この疑問に対しルソーは、自己保存とは単純に生命の危機を回避する本能というだけではなく、少しでも生命が助かる余地があれば、敢えて危険を冒す事も含まれると説きます。

 

沈没するルシタニア号

 

例えば、豪華客船が洋上で沈没した場合、救命ボートがなく100%助かる保証がないからと言って、そのまま沈没する船と運命を共にするでしょうか?

 

それよりも、どこからか救助の船が来て助かるという僅かな望みに賭けて、極寒の海に飛び込む事を選択するでしょう。

 

仮に、救助が間に合わずに死んだとしても、その人が海に飛び込み自殺したと考える人はいないはずです。船に残れば100%死ぬのだから僅かな望みに賭けて海に飛び込み、生を全うしようとする、これもまた自己保存の本能なのです。

 

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国民国家は社会契約論を母体に誕生

軍事の才能もピカイチなナポレオン

 

ルソーの社会契約論は、フランス革命前夜のフランスで幅広く読まれていきました。革命後にフランス共和国が、世界で初めて国民皆兵の軍隊を組織したのも社会契約論が根底に存在しています。

 

フランス共和国の兵士は、フランス政府という共同体の最高意志決定機関の命令に従い、死の恐怖を押し殺して戦い、フランスを侵略しようとする外敵から共同体の一員であるフランス人民や母なる国土を守らないといけないわけです。

 

退却する敵軍を全滅させる冷酷なナポレオン

 

そして、フランス人民は共和国兵士を尊敬し、最高の栄誉でもって迎えないといけませんでした。そうでなければ兵士は一方的な犠牲を強いられ士気が保てないからです。かくして、多くの国民国家において軍人は尊敬され賞賛を浴び人民の模範とされました。戦時中の日本の状態を考えると、割合イメージしやすいのではないでしょうか?

 

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独裁も産み出す社会契約論

毛沢東(もうたくとう)

 

しかし、ルソーの社会契約論には問題もありました。一度社会契約が成立すると、個人は自分の特殊意志よりも、全体の一般意志を尊重しないといけません。

 

例えば一般意志が隣国との戦争を選択した場合、いくら個人的に和平を望んでいても、一般意志に従い、場合によっては兵士として銃を取らないといけないのです。

 

また、この一般意志を実現する最高意志決定機関が党や単独の人物の形を取った場合。全構成員の一般意志を盾として、党や個人に都合がよい政治を押し付けてくるリスクもあります。

 

 

この場合、社会契約論は、党においては一党独裁、個人においては万能の独裁者を産み出し、一般意志が特定の団体や人間に操られる事にもなります。

 

これは、一般意志をどのように定義するのかによっても変化しますが、特定の政党以外を解散させたり、議会そのものを強権的に停止するような事が起きれば、容易(ようい)に独裁政権が出来上がる事になるでしょう。

 

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