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張儀(ちょうぎ)とはどんな人?合従策に対抗した外交策を立て歴史に名を残した遊説家 Part.2

2016年4月28日


 

秦王ミッションその1:縛っている六か国同盟を破壊せよ

張儀(ちょうぎ)は楚王に復讐を果たした後、秦の宰相を辞職し、

魏の国の宰相になります。

なぜ張儀は秦の権力者であったのに、

魏国の宰相とならなければならなかったのでしょうか。

それは魏の宰相になった後、秦へ味方するように魏王を説得し、

蘇秦が完成させた六か国同盟を破壊する事が目的です。

武力で魏に圧力をかけると、諸国の結束が強まる可能性があります。

その為、張儀は秦の恵王に「魏の政権内部に入って、魏王を説得し、

六か国同盟を破壊しましょう。

そのために宰相を辞職し、魏の宰相になりたいと思います。

王には私が魏の宰相になれるように紹介状を書いて頂きたいと存じます。」

と進言。

恵王は張儀の進言を受け入れ、魏王に紹介状をしたため、張儀に渡します。

張儀は魏へ向かい、秦の恵王の紹介状を渡し、魏の宰相となります。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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魏の宰相となるも…

 

張儀は秦王の紹介もあり、魏の宰相になる事に成功します。

彼は宰相になると早速、魏の襄(じょうおう)を秦に味方するように説得。

だが、襄王は張儀の言葉を聞き入れませんでした。

しかし張儀は諦めず、襄王の説得に努めます。

彼が襄王の説得をはじめてから数年が過ぎますが、未だに説得できません。

恵王は襄王が秦に味方しない事にイラつき、

魏の城をいくつか陥落させ、秦に味方するように圧力をかけます。

張儀は恵王が外から圧力をかけてくれた事をチャンスと考え、

再度襄王を説得しますが、彼は張儀の意見を受け入れません。

襄王は張儀の意見を受け入れず、秦の味方に付かないまま、亡くなります。

 

新たな魏王も張儀の言葉を受け入れない

 

襄王が亡くなると哀王が就任します。

張儀は早速、哀王へ秦の味方をした方が良いと進言。

しかし哀王も襄王と同じで、張儀の進言を取り入れる事をしませんでした。

そこで張儀は恵王へ再度魏を攻撃してくれるように進言。

恵王は張儀の進言を取り入れ、魏の城を攻撃します。

魏は秦の軍勢を追い払う為、迎撃に赴きますが、魏の軍勢は秦軍に敗北。

その後秦は再び魏へ軍勢を進めます。

魏は再度秦の圧力を受け、群臣は秦へ対抗する策を模索し始めます。

張儀はこの時をチャンスと見て、再び恵王へ進言を行います。

 

六か国同盟にヒビを入れる

 

張儀は哀王と会見すると幾度目かの説得を開始。

彼は「王よ。このまま秦と敵対し続ければ大変な事になりますぞ。

もし秦が魏の北側の都市を占領すれば、趙の援軍が来ることはできなくなります。

さらに秦が韓に圧力をかけて、秦と韓が連合すれば、魏にとって、

滅亡の危機に瀕します。

この時魏の北側を秦に抑えられており、北の趙は援軍を魏に送れません。

こうした状況の中、楚と斉は魏に援軍を送り出してくれるのでしょうか。

もし援軍が来なかった場合、王はどうするのでしょう。

このような心配を日頃持たれているよりは、秦に味方していた方が、

良いのではありませんか。」と哀王に進言します。

哀王は張儀の的確な現状分析に頷き、張儀の意見を取り入れます。

こうして六か国同盟に亀裂を入れる事に成功します。

恵王は魏が秦に味方した事を大いに喜び、張儀に褒美を与え、

再度秦の宰相へ就任させます。

 

恵王ミッションその2:楚と斉の同盟を破壊せよ

 

 

張儀は秦の宰相に返り咲いて1年後、恵王から「宰相よ。

魏が秦の味方になって、六か国同盟にヒビが入ったが、

他の国は未だに同盟を結んだまま我が国に対抗している。

どうにか六か国同盟を完全に破壊する事は出来ないか。」と

尋ねます。

すると張儀は「王の心配事は分かりました。

では私が楚と斉の同盟を壊し、六か国同盟を無くしてきます。」と

伝え楚に向かいます。

 

楚の懐王を騙せ

 

張儀(ちょうぎ)は楚へ到着すると、懐王(かいおう)に会見を申し入れます。

懐王は会見を受けいれると、張儀に対して

「あなたはこの私に何をもたらしてくれるのか」と早速問います。

すると張儀は「王様。楚が斉との同盟を破棄してくれるのであれば、

私の領地を差し上げたいと存じます。」と伝えます。

懐王は「本当か。」と再度尋ねると、張儀は頷きます。

彼は大いに喜び、張儀の提案を受け入れると、すぐに斉との国境を閉じ、

斉へ絶縁状を叩きつけます。

こうして楚と斉が敵対関係に陥り、六か国同盟は修復不可能な状態になります。

 

激怒した懐王は秦を攻撃するも…

 

 

 

張儀は秦に帰りますが、楚に領地を渡しませんでした。

懐王は張儀が領地を引き渡さない事に激怒。

楚の将軍に大軍を預け、秦へ攻撃を仕掛けますが、楚軍は大敗。

さらに秦の侵攻を防ぐため、城をいくつか渡し、秦と和睦する事になります。

 

楚へ再度赴く

 

秦の恵王はある日楚に対して

「貴国が持っている領地と我が国の領地を交換したい」と提案します。

すると懐王は「交換する必要はありません。

領地をあげる代わりに張儀をわが方に頂きたい」と秦の恵王に伝えます。

恵王は領地が欲しいですが、張儀を渡したら、生きて帰ってくることは難しい為、

悩みます。

張儀は恵王の悩みを知ると「王よ。私を楚に派遣してください。」と懇願します。

恵王は「宰相よ。もしあなたが楚へ行ったら、間違えなく殺されるだろう。

そんな危険な事を私は命じる事は出来ない」と反対。

張儀は恵王の心配をよそに「心配無用です。懐王の夫人の側に

私の親友が仕えているので、その者にお願いして懐王の夫人に私を殺さないように

伝えさせます。

懐王は夫人のいう事は何でも聞くので、十中八九殺される事は無いと存じます。」と

伝えます。

恵王は張儀の言葉を信じ、彼を楚へ向かわせます。

 

恨み骨髄の懐王と再びまみえる

 

 

張儀は楚に着き、懐王と会見します。

懐王は張儀が目の前に現れるとすぐに牢屋にぶち込みます。

その後彼を殺す用意をしていると懐王の夫人は御付きから聞きます。

この時夫人の御付きは張儀から託された送り物を夫人に渡し、

「張儀が助けを求めております。張儀は『もし助かれば、

さらなる贈り物を送らせて頂きます。』と言っております。」と

張儀の言葉を伝えます。

夫人は張儀からの贈り物に目がくらみ「分かりました。

私が王を説得します。と張儀に伝えてきなさい」と御付きに言います。

張儀の親友である御付きは懐王の夫人の言葉を張儀に伝えます。

 

 

懐王夫人の説得により、危機を脱する

 

 

 

張儀はこの言葉を聞くと、大いに笑い「これでわが命も助かった」と親友に伝えます。

懐王夫人は懐王に「あなたは張儀を殺してどうしようというのです」と尋ねます。

すると懐王は「奴は以前私を騙したのだ。この恨みを晴らすために、

殺す準備をしている」と伝えます。

夫人は「張儀を殺したら、秦は激怒し、

大軍を率いてこの国に攻め寄せてくることになりましょう。

こないだ秦に負けたばかりなのに、あなたは秦に勝つことができるのですか」と

聞きます。

懐王は夫人の言葉に黙り込んでしまいます。

彼が黙り込んで返答しないため夫人は「もし秦に勝てないなら、

張儀を殺す意味がありません。それなら彼を殺さず、丁重にもてなして

秦へ帰した方が得策ではありませんか」とアドバイスをします。

懐王は夫人の言葉を聞き入れ、張儀を牢屋から出し、丁重にもてなすことにします。

こうして張儀の策は見事に当たり、危機を脱します。

 

蘇秦の死を悲しむ

 

張儀は懐王から手厚くもてなされた後、宿舎に帰ります。

宿舎に帰ると一人の男が待っておりました。

その男は以前、張儀と共に秦へ入った蘇秦の部下でした。

蘇秦の部下は張儀に会うと「わが主、蘇秦様が亡くなりました。

私は主に最初にあなたへわが死を伝えよと遺言を残されました。」と

蘇秦の死を伝えます。

張儀は蘇秦の死を知ると、彼の死を悲します。

 

懐王に蘇秦の死を伝え、六か国同盟の意義を問う

 

彼は蘇秦の死を悼んだ後、懐王に会いに行きます。

その後懐王に「今、六か国同盟を成立させた蘇秦が亡くなったとの

報告が届きました。蘇秦の死後、諸侯は六か国同盟を守るのでしょうか。

蘇秦が生きていれば、秦に攻め込まれた楚へ魏と韓は援軍を送るでしょう。

しかし、蘇秦亡き今、秦と楚が共に戦った時、

魏と韓は楚に援軍を送ってくるのでしょうか。

もし彼らが同盟の条約を守らず、援軍を送ってこない場合、

楚国はどうするのでしょうか。」と

アドバイスします。

懐王は唸り声をあげて、張儀の言葉に聞き入ります。

 

楚・秦同盟の成立

函谷関

 

張儀は懐王が自らの言葉に耳を傾けて、考え込んでいる表情を見て

話を続けます。

彼は「楚が秦と戦って疲弊した場合、魏と韓はすかさず楚を攻めるでしょう。

その理由は簡単です。

蘇秦が亡くなった事で六か国同盟は、

ほとんど意味を成さなくなってしまった事が原因です。

また秦には函谷関という少数の兵でも大軍の兵を迎撃する事が出来る

鉄壁の守りがあります。

しかし楚には函谷関程の鉄壁が無い事から、

魏と韓は攻めやすい楚の国を攻める事でしょう。

この二国が攻めてきた場合、王は国を守る事が出来るのでしょうか。

私はこのような結末を迎える前に秦と盟を結べば、

王は西方からの圧力を気にする必要が無くなり、他の国に侵攻して、

領土を広げる事も可能です。

六か国同盟はもはや意味をなさない今、秦と盟を結んで後顧の憂いを絶ち、

領土拡大に乗り出した方が、王の為だと私は思います。」と

アドバイスします。

懐王は張儀の意見に大いに頷き、秦と盟を結ぶことを決めます。

 

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六か国同盟の瓦解

 

 

張儀は秦・楚同盟が締結された後、北方の雄である燕へ向かい、

六か国同盟がすでに意味をなさず、秦と同盟を結んだ方が多大な利益を生むと

説きます。

燕王は素直に張儀の意見を採り上げ、秦と同盟を結ぶことにします。

こうして蘇秦が心血を注いで作り上げた六か国同盟は無残にも瓦解。

秦は再び各国へ侵攻を開始する事になります。

 

 

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黒田廉(くろだれん)

黒田廉(くろだれん)

三國志が大好きです。オススメのマンガは曹操を描いた蒼天航路がオススメです。三國志の小説のオススメは宮城谷昌光氏が書いた三國志です。好きな食べ物はマグロ、ぶり、アジが大好きな猫です。

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