三国志にも曹操や司馬懿を暗殺しようした計画は建てられておりますがことごとく失敗。
暗殺を計画した人物達は殺害されてしまいます。
中国古代史の戦国時代も暗殺者は数多く出現しておりますが、
暗殺に失敗する場合と成功する場合は半々でした。
また暗殺を行う理由も人それぞれで、
始皇帝を暗殺を試みた荊軻(けいか)は依頼されたことが
暗殺を試みた理由のひとつとなっております。
だが荊軻は暗殺に失敗してしまい殺害されてしまいます。
今回は暗殺に成功した人物のひとり聶政(じょうせい)という人物をご紹介したいと思います。
彼が暗殺を受けた理由は単純明快でした。
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韓の重臣がやってくる
聶政は韓に住んでいた住民でしたが、
殺人をしてしまったことがきっかけで郷里にいられなくなってしまい、
斉へ逃げてきた人物で解体業を営んでいる人物で年老いた母親と暮らしておりました。
そんなある日、韓の重臣である厳仲子(げんちゅうし)が訪ねてきます。
厳仲子は韓の宰相と反りが合わず反目し合っており、
宰相を殺害してしまおうと考えて計画を立てて殺害しようとしたのですが、
失敗に終わってしまいます。
そのため彼は急いで韓の首都から逃亡しながら宰相を殺害してくれる人物を探しておりました。
そんな時に噂で「聶政という奴が義に厚い人らしいぜ」と聞きます。
厳仲子はこの噂を聞いて急いで聶政の家に向かいます。
そして聶政の家に到着すると彼の家の門をたたいて中に入ります。
大金を置いていこうとするのを断る
聶政はいきなり韓の重臣である厳仲子が訪ねてきたことに驚きますが、
彼をもてなすために酒を用意して小さいながら宴を催します。
聶政はこうして厳仲子と関係を持つことになり、
厳仲子は度々彼の家を訪れて関係を深めていきます。
そんなある日いつもように三人は酒を飲みながらワイワイ話していると、
いきなり厳仲子が大金を彼らの前にドンと置き始めます。
厳仲子がいきなり二人で話したい。と言ってきます。
聶政は厳仲子の真剣な表情を見て母親を下がらせて、
二人きりになります。
すると厳仲子が聶政の前に大金を置いて
「私はある人物を憎んでおり、いつかその人物を殺したいと考えております。
そして私が憎んでいる人物の殺害に協力してくれる人物を探すために、
諸国を色々と回っていたのですが、中々これはと思う人物を見つけることができませんでした。
そんな中、斉であなたの噂を聞いて協力してるのでないかと考えて親交を深めてきました。
このお金は今後とも付き合っていただきたいと考えている証だと思って受け取っていただきたい。」
と理由を述べます。
聶政は驚いてしまいますが彼に「すまん。私には老いた母がおり、
この母がいる限りはそのような仕事を受けることができません。
申し訳ないですが、お引き取り願いたい」と伝えます。
厳仲子はこの言葉にめげずに何度も彼を説得しますが、彼の言葉を翻すことはできませんでした。
厳仲子はがっくりして彼の元から去っていくことになります。
数年後、厳仲子の元を尋ねる
聶政は数年後に老いた母が亡くなってしまいます。
彼は母の最後を看取って喪に服し、喪が開けた時にある行動に出ます。
聶政が起こした行動は暗殺依頼をしてきた厳仲子の下へ向かったことです。
厳仲子は聶政が訪ねてきたことに驚き「どうしたのですか。」と訪ねます。
すると彼は「母が亡くなって自分を縛るものがないので、あなたを助けに参上しました。
私のためにあのような大金をさずけようとしたあなた報いるために暗殺計画に協力したいと
思います。」と伝えます。
聶政が来てくれたことを大いに喜んだ厳仲子は彼に暗殺計画の方策を教えます。
しかし聶政は厳仲子が立てた計画に対して反対し
「丞相には警護の人数も多く、多数で仕掛けては失敗する可能性があります。
そこで私が一人で行って丞相を殺害してきましょう。」と伝え、
剣一本をもって韓の宮殿に向かいます。
丞相目掛けてまっしぐらに駆け抜ける
聶政は厳仲子のおかげで韓の宮殿に入りこみ韓の丞相が執務をとっている宮殿へ到着。
丞相が執務をしている場所には多くの警護の人数がおりましたが、彼は警護の中をまっしぐらに
かけて丞相目掛けて剣を突き立てて殺害してしまいます。
警護の兵達は聶政が丞相を殺害してことに驚き大混乱してしまいます。
聶政はこの隙に逃げることができたはずですが、
彼は逃げずに向かってきた警護の兵を斬りながら奮闘。
しかし数十人の兵を倒したところで彼の力が尽き果ててしまいます。
彼は協力してくれた厳仲子や親類に罪が及ぶことを恐れて、残りの力を振り絞って自らの顔を
傷つけて誰だかわからないようにしてから切腹して果ててしまいます。
男として見込んでくれたと言う単純明快な理由でこれほど壮烈な死を迎えた聶政は
評判通りの義に厚い人物だったのではないのでしょうか。
戦国史ライター黒田レンの独り言
聶政は暗殺に成功して亡くなるのですが、韓は彼の姓名を知るために
彼を市中に晒して「このモノの氏名を知る者がおるならば千金を与えよう」とお触れを出します。
しかし聶政は自らの手で、顔を傷つけてから果てたため誰だかわからないようになっておりました。
そのため韓の市中ではいったい宰相を殺害したこの人物が誰なのかわかりませんでした。
参考文献 史記 司馬遷 村山孚・竹内良雄訳など
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