劉備の義弟・張飛。張飛といえば愛用の武器・蛇矛と共に戦場を駆け巡り、一騎当千の武力で劉備を支えた将軍として知っている方も多いと思います。しかし張飛が愛用していた武器・蛇矛ですが、三国志では存在していなかったのです。
三国志演義で登場する蛇矛
三国志演義の張飛は劉備・関羽と義兄弟の契りを交わした後、劉備・関羽と共に武器屋で武器を作ってもらいます。劉備はこの時、武器屋から「雌雄一対の剣」を作ってもらいます。関羽は「青龍偃月刀」を武器屋から受け取ります。
そして張飛は「蛇矛」をもらいます。張飛の武器「蛇矛」は先端の刃の部分が蛇のようにうねり、柄の部分が長いところが特徴的。コーエーの有名な「三国無双」シリーズに登場する張飛が持っている武器を想像して頂ければわかりやすいと思います。こうして三人は武器を作った後、黄巾賊を討伐するべく義勇軍を結成して、黄巾賊討伐戦へ参加。
張飛は黄巾賊討伐戦後も劉備や関羽と共にいくつもの戦を蛇矛とともに駆け抜けることになります。上記は三国志演義のお話ですが、正史三国志の張飛は三国志演義ののように蛇矛を愛用して使っていたのでしょうか。
正史三国志では蛇矛の名前すら出てこない!?
三国志演義の張飛は蛇矛を愛用して戦場で活躍していましたが、正史三国志の張飛も三国志演義と同じく蛇矛を愛用していたのでしょうか。正史三国志蜀書・張飛伝を調べてみました。すると驚きの事実が判明します。
正史三国志蜀書・張飛伝では蛇矛の文字すら記載されていませんでした。ということは正史三国志の張飛は蛇矛を使っていないという事になります。
どうして正史三国志に蛇矛が登場しないのでしょうか。
蛇矛は三国志の時代に武器だった!?
正史三国志蜀書・張飛伝には蛇矛の記載がありませんでしたが、どうしてなのでしょうか。それは蛇矛が三国志の時代に存在していないからです。
蛇矛が中国に登場するようになるのは三国志時代よりもずっと後年の明時代になってからようやく登場するようになります。そのため三国志時代には蛇矛なる武器は存在していないため、正史三国志には蛇矛が記載されていなかったのです。三国時代に蛇矛が存在していないことは上記でお分かりになったと思います。
では正史三国志の張飛はどのような武器を使っていたのでしょうか。
正史三国志で張飛が使っていた武器は??
正史三国志で張飛はどのような武器を使っていたのでしょうか。張飛が大活躍した長阪の戦いで矛を持って曹操軍と対峙したとの記載があり、正史三国志の張飛は矛を使って戦っていたそうです。
三国時代に張飛が使っていた矛は敵を刺したり、斬ったりして使用することができる武器ですが、かなりの重量があるそうです。そのため戦場で矛を使うにはかなりの体力と腕力など扱うのが難しいため、張飛のように体力があり、腕力にも優れた人物にはピッタリの武器だったのではないのでしょうか。
三国志ライター黒田レンの独り言
張飛の武器「蛇矛」は正史の三国志では使われていませんでしたが、劉備や関羽の武器も使われていなかったのでしょうか。正史三国志を調べてみると劉備の「雌雄一対の剣」も関羽の「青龍偃月刀」も記載がなくこれらの武器も創作上で作られた武器と言えるでしょう。
劉備の「雌雄一対の剣」や関羽の「青龍偃月刀」は三国志演義にだけ登場する創作上の物ですが、三国志演義に登場する全てが創作上のモノとは限りません。
三国志演義に登場する呂布は「赤兎」と呼ばれる名馬に乗って戦場を駆け巡っていました。この三国志演義に登場する「赤兎」は正史三国志にも登場。
呂布はこの「赤兎」に跨って戦場で活躍していたそうです。そのため三国志演義に登場するモノ全てが創作されたモノとは限りませんが、劉備三兄弟が使っていた武器に関しては創作物で、正史三国志には残念ながら登場しない武器でした。
■参考 正史三国志蜀書等
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