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キングダム「リアルな山の民とはどんな人々?」

2019年10月9日


 
はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし楊端和

 

キングダムにおいて、要所要所で大きな働きをするのが山の民です。

漫画においては、山界の死楊端和(ようたんわ)を中心にバジオウやタジフ、シュンメン等が出てきます。

山の民については、史実である韓原(かんげん)の戦いで晋軍に包囲された秦の穆公(ぼくこう)を命がけで救い出した

岐下(ぎか)善馬(ぜんば)を喰らいし三百人」として登場してきます。

今回は、山の民のモデルである岐下三百人について考えてみます。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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秦の穆公の恩義に報いた300人

三国志のモブ 反乱

 

秦の穆公を救った岐下の300人については、秦の歴史書である秦本記に登場します。

それによると、岐下三百人が登場する降りの内容はこうです。

穆公の十五年、隣国晋の恵公が秦が大飢饉(だいききん)になった隙をついて攻め込んできた。

これに対して穆公は迎撃し丕豹を将軍にして自ら出撃し、九月壬戌に恵公と韓原で合戦した。

恵公は車馬が泥沼にはまって動けなくなり、それを見た穆公は急いで車を走らせて恵公を捕らえようとしたが

あまりにも突出しすぎて、逆に晋軍に包囲される羽目になった。

晋兵は穆公を攻撃し穆公は負傷、このまま晋の捕虜になるかと思いきや、突如として岐下の善馬を喰らいし者

三百人が出現し、晋軍に攻撃を仕掛けた。

急な奇襲に驚いた晋は包囲を解いてしまい穆公は逃げおおせ、逆に恵公を捕らえる事に成功した。

バジオウ

 

ここに出てくる岐下の善馬を喰らいし者三百人というのがキングダムに出てくる山の民のモデルです。

原文では、岐下食善馬者(ぎかしょくぜんばしゃ)三百人として記録されています。

 

元々、この300人は遊牧する人々であり、過去、穆公の飼っていた善馬を捕まえて殺し食べていました。

この事を知った秦の人々は、然るべき罰を与えるべきと穆公に言いましたが、穆公は

「君子は畜生を殺されただけで人を傷つけてはいけない。余は善馬を食べてよい酒を飲まないと健康を損ねると聞いている」と言って

逆に馬肉に合う酒を三百人に振る舞いました。

 

三百人はこの時の穆公の恩義を忘れず、韓原の戦いで穆公が窮地に陥った時に救ったというわけです。

 

 

岐下の三百人は周王朝の末裔

 

しかし、この岐下の三百人は、ただの野蛮人ではなかったようです。

彼らがやってきた岐山は、伝説では炎帝が本拠とした土地であり、また周王朝の発祥地でもあります。

周太王が岐山の麓に拠点を遷してより、周平王が東の洛邑に都を遷すまでも400年間岐山は西周の中心でした。

漢帝国の宿敵で匈奴の名君(匈奴族)

 

特に青銅器の出土品が多い事で有名である事から、三百人は遊牧民ではあっても、

山の民のような半裸に仮面一丁ではなく、それなりの装備を身に着けた武装した一団だったかも知れません。

もしかすると穆公も、周王朝の末裔である事を考慮して、寛大な処分で許したのでしょうか?

 

キングダムネタバレ考察

 

山の民はどうして強いのか?

曹植は軟弱ではなかった

 

さて、キングダムの話に戻りますが、山の民はどうして強いのでしょうか?

こちらも、山の民が岐下の三百人をモデルとしていると考えると納得がいきます。

この岐山の南は海抜2000~3000メートル級の山々が連なる秦嶺山脈であり、最高峰の太白山は3767メートルあります。

このような高地に住んでいれば、少ない酸素で活動できるように肺活量が強化されます。

平地の人間では考えられないようなスピードとスタミナを山の民が普通に身につけていても不思議はないのです。

絶命する典韋

 

山の民同様に、メキシコ合衆国チワワ州タラウマラ山脈の峡谷に住むタラウマラ族は世界一の持久力を持つ民族で

メキシコの歴史家によると、500キロから700キロを一気に走る人までいるそうです。

馬の持久力を考えると、距離トータルでは馬よりもずっと速いかも知れません。

タラウマラ族については、アメリカ人ジャーナリスト、マクドゥ-ガルの著作「BORN TO RAN」に詳しいですが、

高地の環境が精鋭の兵士を造るというのは往々にしてあり得ると言えます。

 

キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言

 

キングダムに登場する山の民のモデルである、韓原の戦いで秦の穆公を救った岐下の善馬を喰らいし三百人を紹介しました。

わずか300人で迫りくる晋の兵を追い散らした武勇と、恩義には必ず報いるという態度は漫画キングダムの山の民に勝るとも劣らないものがありますね。

ただ、外見については何も書いていないので、山の民のように半裸で仮面を被っていたかどうかは不明です。

というよりそんな奇抜な姿なら、必ず記録に残りそうなので、奇妙奇天烈(きみょうきてれつ)な姿ではなかったと考えた方がいいかなと思います。

読者の皆さんは、山の民のモデルになった岐下食善馬者三百人にとついてどんな感想を持ちましたか?

 

参考文献:史記秦本紀 春秋戦国の英傑達 五覇七雄の光芒

 

次回記事:キングダム最新617話ネタバレ予想vol4「リアルな山の民とはどんな人々?」

 

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kawauso編集長

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