2020年は4年に一度の閏年で、2月のカレンダーは29日までありました。これは、地球の公転周期が365日と1/4日とキッチリ365日ではない為に制定された措置である事はよく知られています。
でも、実はズレているのは地球の公転周期だけじゃないって事は御存じですか?
本当はいい加減な天体の動き
私達は漠然と天体の運行を規則正しいものだと思い込んでいますがそれは事実に反します。本当は天体の運行は私達が考えている程、キチンとしたものではありません。例えば、1日は23時間59分39秒から24時間0分30秒の51秒の誤差を行ったり来たりしています。1日が24時間とはおおよその平均値です。
また月の公転周期は、29日と6時間から29日と20時間まで14時間の誤差があります。一応平均値として29日と12時間44分3秒とありますが、この通りに月が公転してくれるわけではないのです。
ですので21世紀の現在でも、人類は修正する必要がない完璧なカレンダーを作成出来ないのです。私達はこれを聴くと、「天体っていい加減だなあ」と笑ってしまいますが、それは天体から見るといい迷惑であって
「ふざけるな!1年が365日なんて、お前達人類の都合だろうが!俺達は何十億年もフィーリングで公転してんだよ」
こんな風に怒り出す事でしょう。
カレンダーは政治的な存在
人類がカレンダーを産み出したのがいつか?正確には分かりません。しかし、潮の満ち引きを知り穀物のタネを捲くのに、月や太陽の周期が関係している事に、かなり大昔から人類は気が付いていました。
古代の天文学者は、これを記録して漁業や農業に活かす事が有益である事はわかりましたが、決して一定ではない、気まぐれな月や地球や太陽の運行に悩まされる事になります。そこで天文学者は凡その1年を365日にしたり、355日にしたりして、あとで足りない日数を足して辻褄合わせをしました。
そうでないと、高度な数学の知識がない庶民に使いやすいカレンダーを作成できないからです。カレンダーは正確な天体の運行を記録したものではなく、人間の都合で天体の動きを仮定して扱う極めて政治的な存在なのです。
時を教会から取り戻せ革命暦の末路
1582年欧州では、太陽暦であるユリウス暦を改良した、より1年の誤差が少ないグレゴリオ暦が作成され広くカトリック世界で流布しました。4世紀以来、カトリック教会は、暦を作成し農民に暦を配布しキリスト教にまつわる祝祭日を整備する事で信仰とカレンダーを巧みに結びつけていたのです。
例えば日曜日は、非カトリックの世界ではただの休日ですが、カトリックの世界では主日と言いイエス・キリストが復活した日として、信者に一切の労働を禁じ教会で祈りを捧げ、その後にダンスや遊戯に興じる日でした。
このようにして教会はカレンダーで人民を縛り支配しますが、フランスでは革命が勃発!人間平等と理性中心主義が猛威を振るい、革命家たちは特権階級の貴族と聖職者の宗教支配から人民を解放する事を宣言し、カトリックの影響下にあるグレゴリオ暦を廃止します。
そして、1792年9月22日。フランスは20万人を動員した大々的なパレードまでして、革命暦を公布します。革命暦は1週間を10進法に基づき10日間として主日を追放し、1日を24時間から10時間にしキリスト教の聖人の記念日を悉く廃止して、動物や草花や鉱物の名前に変え、クリスマスも犬の日に変えます。
その後、革命暦はどうなったのか?それは本編のお楽しみです。
人類史上最大の発明カレンダーの歴史をお楽しみに
カレンダーの世界史は、初回が3/10配信です。カレンダーと人類の不思議な歴史をどうぞお楽しみください。
きっと、当たり前に見ていたカレンダーをしげしげと眺めたくなりますよ。