三国志において絶大な人気を得ているのは、趙雲や諸葛孔明など多いですが、神として崇拝の対象になっている人物と言えば、それは世界中の関帝病に祀られる関羽以外にいません。
しかし、どうして関羽は神になったのでしょうか?その原因として塩が関係していました。
塩の行商人だった関羽
劉備に出会う以前の関羽の履歴は謎に包まれていますが、その出身地は、現在の山西省運城市塩湖区解州鎮常平村と考えられています。ここには塩湖が存在し3000年以上前の殷の時代から王朝の財源として重要視されました。そのため、関羽も塩の行商人であったと考えられています。
塩なしには生きられない人間
塩は人間に無くてはならない鉱物です。一方で中国の内陸部では塩が取れない土地も多く、塩の行商人は生活になくてはならない存在でした。しかし同時に塩は政府にとっては確実に税収を増やせるツールであり、しばしば塩に高い税金をかけ庶民を苦しめました。
この時、庶民の側に立ち塩を安く販売したのが塩の行商人です。彼らは国家によって闇塩を販売する「塩賊」と呼ばれ厳しい弾圧を受けました。しかし弾圧をうけるほどに塩賊に対する庶民の支持は高くなったのです。
腐敗した王朝を倒した塩賊たち
こうして庶民の英雄になった塩賊には唐王朝を崩壊させた黄巣や、元末の群雄、張士誠がいます。関羽も庶民を助け横暴な権力と対決する塩賊として、庶民に受け入れられやすい存在で、死後、英雄視される下地がすでにあったと考えられます。関羽信仰は最初、関羽の義理堅さを商売人の鑑とした山西商人から始まったようですが、これも塩の行商人だった関羽の経歴と関係していますね。