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はじめての呉

このマンガがすごい!呉に光を当てた『江南行』『みんなの呉』『赤壁ストライブ』をレビューするよ

この記事の所要時間: 339




劉禅

 

さて、ファンの少なさの割に呉が舞台の漫画がたくさん出ているのを、皆さんは知っていますか?

今回は、その中でも選りすぐりの3冊をご紹介したいと思います。

マイナーな漫画ですが、大きな本屋さんに行ったら案外見つかったりしますので、

気になるものがあったら探してみてください。

今回は、魯粛と周瑜に焦点を当てて紹介してみたいと思っています。

それでは、まずは一冊目。

 

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佐々木泉『江南行』 メディアワークス

 

 

魯粛と周瑜という2人に焦点を当てて、孫策亡き後の呉を描いた連作短編集。

この作品の特徴は、登場人物がむやみやたらに美形化されていないこと。

ただし、周瑜は相変わらず女性をも凌ぐ美しさです。

この話は、魯粛を主人公に、魯粛が治めていた土地を出て孫権に仕え、

赤壁の戦いに至るまでを描いた漫画。

江南の風俗や民俗なども感じられる、歴史漫画にしては一風変わった一冊です。

この作品における魯粛は、泥臭くて、民思い。

それと同時に、朗らかながら思慮深い一面も持ち合わせています。

何というからほかの作品における劉備像がいちばん当てはまるかもしれません。

そして、魯粛はこの時代にしては珍しく、異文化に対して共生の姿勢で望む人。

そんな魯粛だからこそ三国鼎立を思いついたということを、暗に描いているのかもしれません。

一方の周瑜は、一歩引いたところで事態を見ている完璧な人。

軍神という孫策の一面を引き継いだ彼は、常に自分の役目を心得ています。

彼が現れただけで日蝕が消えたというエピソードは、まるで本当に神のよう。

そこからは、余命の短さを感じさせる、

どこかこちらの世界よりもあちらの世界に近いものを感じさせられます。

人間離れしている、という点では、『赤スト』の周瑜とは大きな違いが見られますね。

それに対して、ほかの人物は、どこまでも人間くさく描かれています。

特に蜀。人間の弱さに直面して仏教に頼りたくなってしまう弱い一面をもった諸葛亮や、

聖人君子とは決して言えない劉備。

普通の作品で描かれる諸葛亮と周瑜とは正反対のものが、ここでは描かれています。

また、この作品のなかの登場人物は、孫策の死を過去のことと割り切っているのもポイント。

孫権は孫策へのコンプレックスに縛られてはいませんし、周瑜は孫策に未練を抱いてはいません。

このあたり、やはり呉の描かれ方がほかの作品とは違うなあ、と思わされます。

淡々とした、ギャグ要素の少ない作品集ですが、そんな呉が見たい人にはオススメ。

特に周瑜や魯粛好きは必読の漫画です。




九条カルナ『みんなの呉』 スクウェア・エニックス

 

 

どちらかというとノリは軽めの、孫策死後の呉紹介漫画。ほのぼのしているが、小ネタが細かい。

有名なエピソードを分かりやすく描いていることから、ちょっと呉が気になるな、

という三国志初心者にはオススメ。

悔やむべくは、2巻が出ていないこと(2巻で赤壁が描かれるのに!)

この作品においては、『赤スト』や『江南行』で

重要視されている山越族との関係や豪族との関係はさっと流されている。

中心となるのは、あくまでも呉の武将たち。

魯粛について言えば、この作品の魯粛は一見おとぼけに見えるが、大らかでのんびり屋なだけで、

しっかりと未来を見据えている。

孫権を王にすることにかけては、真剣。

周瑜は物腰柔らかだが、完全に孫策との過去のことを消化できているような感じ。

孫権のことを唯一無二の君主として認めている。

時折見せる鋭さにはドキッとさせられるが、外見は女性的で背後に花が咲くほど。

諸葛亮はやはり天才的と言うか、常人離れした様に描かれている。

そして、孫権に孫策へのコンプレックスは見えない。孫策の死後は孫策に未練たっぷりだが、

周瑜と張昭に跪かれて吹っ切れたようにも見える。

全体的にノリが軽いので、呉初心者や三国志初心者にもオススメ。

ファンなら、知っているエピソードにくすりとなってしまうはず。

ああ、スクウェア・エニックスさん、早く2巻を出してください~(笑)

 

中島三千恒『赤壁ストライブ』

 

 

今度は調子を変えてシリアス路線。

ザ・赤壁といった内容ですが、それを通して呉の人間ドラマを描いています。

たとえば孫権。この作品の孫権は兄に対するコンプレックスを持っていますが、

漫画の終盤にはそれと決別し、歩むべき道を見出しています。

そして、注目すべきは周瑜! 本作の周瑜は、戦いに身を捧げる狂犬。

孫策と過ごした日々の思い出に未だ囚われています。

不遜な口調に空気を読まない態度と、今までの柔和な周瑜像とは180度違う本作の周瑜。

そういった周瑜が苦手な人は読まない方がいいと思われます。

また、この作品に聖人君子はいません。豪族たちは自らの利害を追求し、劉備は割と普通のオッサン。

諸葛亮も、天才軍師といった感じとはかけ離れています。

しかし、そのリアルさが、本作の魅力とも言えるでしょう。

周瑜様命な私としては周瑜はイマイチな作品でしたが、

それを除けば、細かい点も史実に基づいて描かれていて、とても魅力的な作品。

あと、最後に書かれていた馬超と馬岱の話もいつか是非読みたいです(笑)

 

三国志ライター・草津仁秋斗のつぶやき

秋斗

 

というわけで、今回は呉を取り扱った漫画について紹介させてもらいました!

いやあ、やっぱり中心に周瑜様は出てきますねえ。

ちなみに私の中の周瑜様像に一番近いのも、

漫画として気に入っているのも『江南行』なんですが、皆さんはいかがでしょうか?

丁度様々なテイストの作品が集まり、書く側としてはとても書きやすかった今回。

実は次からの連載の布石だったりもします。詳しくはお楽しみです。

そして、本当は『呂布子ちゃん』の6巻以降も入れるか悩んだのですが、

あれはぶっ飛び過ぎていますし、

それを言うなら禁断の鋼鉄三国志を入れなければならない……

と思ったのでやめたという裏話があったりします。

 

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イチオシは周瑜さま。周家の家人になって周瑜さまのおはようからおやすみまでを見つめたい日々です。

■好きな歴史人物:

周瑜、項羽、土方歳三、今井四郎兼平

■何か一言:

数少ないかもしれない女ライターですが、女ならではの視点でやっていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします!

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