益州を攻略して三国志の一角である蜀を建国した劉備(りゅうび)。
彼は益州攻略を済ませると大軍を率いて漢中に駐屯している曹操軍の討伐に
出陣することになります。
益州を統治してまもない頃、劉備は謎の人物と会見しておりました。
劉備いわく「諸葛孔明に匹敵する才能を持っていた人物」であったようですが、
一体何者なのでしょうか。
関連記事:蔡夫人、張允、蔡瑁、トリオ攻撃が劉備を追いつめる!
犠牲を払いつつも益州攻略を果たす
劉備は益州のボスであった劉璋(りゅうしょう)を降伏させ、
益州の主として君臨することに成功。
しかし益州攻略に払った代償も軽微な物ではありませんでした。
彼が益州攻略に払った代償とは一体何なのでしょうか。
それは諸葛孔明に匹敵する才能として認められていた龐統(ほうとう)を亡くしてしまったことです。
一人の逸材を失いながらもなんとか益州攻略を果たした劉備でした。
謎の人物Xが訪れてくる
益州を攻略してまもない頃、劉備の元へ一人の人物が訪れてきます。
その人物は劉備と会見すると魏を討伐する作戦などを語り合います。
この人物の魏討伐作戦を聞いた劉備は自らが考えていた魏討伐作戦と一緒であったので、
諸葛孔明を呼んで色々な話をしようと思い側近へ孔明を呼びに活かせます。
その間この人物は色々な話をしていきながら劉備に少しずつ近づいて行き、
あと一息で劉備の至近距離に近づける事ができたのですが、
孔明が来てしまったため彼は急いで孔明に頭下げて部屋を出てってしまうのでした。
謎のXは曹操からの刺客だった
劉備は孔明がやってくると「君に匹敵する人物が見つかった」と嬉しそうに話します。
孔明は劉備へ「その人物はどこに行きましたか。」と尋ねます。
すると劉備は「先ほど部屋を出て行った人物が孔明に匹敵する人物だ」と述べます。
孔明は「そうですか。
しかしあの人物は目つきが悪く常におどおどしている様子が仕草から見て取れました。
あの人物もしかしたら曹操から派遣されてきた刺客なのではないのでしょうか。」と言って、
劉備の側近へ客をすぐに追うように命じます。
側近は急いで客の跡を追っていきますが、すでに宮殿からいなくなっている後でした。
後に謎の人物Xは、
孔明が予想したとおり劉備を殺害しようと考えた曹操からの刺客でした。
劉備は色々な人物を今までみてきたにも関わらず、
曹操から派遣されてきた刺客であることを見破ることができないほどの人物でした。
謎の人物Xとは?
劉備の観察眼をもってしても刺客であることが見破ることのできなかった謎の人物X。
劉備いわく「諸葛孔明に匹敵する人物」と言わしめた人物であるのに、
名前が一切記載されていません。
またこの人物は史書には一切記載されておらず、
晋の時代の人物で郭沖(かくちゅう)という人物が記した書物にしかこの事柄は、
書かれていません。
さらに孔明に匹敵するはずのこの人物は、
一体魏に帰った後にどのような官職に就くことができたのかもまったくもって不明なのです。
魏の謎の人物Xはいったい誰であったのでしょうか。
三国志ライター黒田レンの独り言
劉備が孔明に匹敵する人物であると言わしめた人物が果たして刺客を行うのでしょうか。
レンはこの記載は郭沖という人物が、
でっち上げた記載なのではないのかなと思います。
その理由としてそもそも孔明に匹敵する人材がなぜ人名すら書かれていないのでしょうか。
もし本当に孔明に匹敵するくらいの人物であれば、
必ず史書には名が記載されているはずです。
記載が無いということはそのような人物が居たのかどうかも怪しいですし、
本当にこれらの事件があったのかどうかすら不明です。
しかし一つ言えることは劉備の観察眼をもってしても、
刺客であるかどうか見抜くことができず、
さらに言えば曹操の陣営には多くの優秀な人材がいることを
物語っているエピソードなのではないのでしょうか。
参考文献 ちくま文芸文庫 正史三国志蜀書 今鷹真・井波律子著
関連記事:もし趙雲が魏に仕えていたらどうなっていた?【ろひもと理穂if考察】
—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—