ハイ、それでは、三国志の世界をいろいろな角度から掘り下げていく
「ろひもと理穂の三国志・唯一無二の支配者」のコーナーです。
国と国との外交問題というのは国益優先になりますので着地点が難しいですね。
現代の北朝鮮とアメリカの外交を見ていると痛感します。
中国やロシアが絡んできてもそれぞれの国益を優先するので問題が複雑化する一方な気がしてきました。
その点、漢代以降の中国の諸外国との外交はシンプルです。
中途半端な軍事同盟など存在しないからです。
それが「冊封朝貢外交」と呼ばれるものです。
邪馬台国の卑弥呼も三国志の時代にこちらの外交を推し進めています。
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正統論
冊封朝貢外交について理解を深める前に、中国に長く伝わる思想を知る必要があります。
それが「正統論」です。
「天に二日なく、地に二王なし」という表現が正統論を表しています。
中国の唯一無二の正統な皇帝とその王朝こそが世界全体の支配者であるという考え方です。
他者との共存を認めないわけではありませんが、あくまでも中国がトップなのです。
この思想は現代まで脈々と受け継がれています。
中国のトップは朝貢に来た国の使者を盛大に迎え、
国民に誇示するために大きくアピールします。
現在の中国のニュース番組の構成も自然とそのような形になっています。
朝貢と冊封
要するに中国は対等な外交をしないのです。
そこに存在するのは朝貢と冊封という関係です。
実質的な支配が及ばない地域の国々との外交は基本的にこの冊封朝貢外交になります。
「朝貢」とは、その僻地の国のリーダーが中国皇帝の正統性を認め、
それに服従する意思を示し、貢ぎ物をすることです。
「冊封」とは、朝貢した国に対して中国皇帝がその地の支配権を容認することです。
例えば、邪馬台国の卑弥呼は魏に朝貢し、貢ぎ物をしています。
中国の正統な皇帝は呉でも蜀でもなく、魏であると卑弥呼は認めたのです。
そのおかげで卑弥呼は邪馬台国の正統な君主であることを認められ、
「親魏倭王」の印綬を得ています。
簡単にいうと、これで邪馬台国は魏の属国になったわけです。
冊封の有効性
冊封にどのようなメリットがあったのでしょうか。
「そもそも天下の大勢は、分かれること久しければ必ず合し、
合すること久しければ必ず分かれる」と三国志演義の冒頭に記されています。
中国といえども分裂と統一を繰り返している歴史があるのです。
周辺諸国も同じ事情がありました。同族とはいえ、
隣国にいつ侵略され滅ぶかわからぬ緊張を強いられていたのです。
隙を見せることは許されません。
しかし、ここでバックに強国・中国が味方であることを示せば、かなりのアドバンテージになります。
周辺地域はもちろんのこと、自国民にもかなり睨みをきかせることができたわけです。
朝貢誘致
中国側にも冊封を承認するメリットはあります。
その第一は、正統な皇帝であることを認めてもらうということです。
国が分裂することの多かった中国において、
周辺諸国から正統な王朝であると多く認められることは重要なのです。
三国志のように三国が互いに正統な王朝を主張していれば尚更です。
遼東の公孫氏が魏ではなく、呉に朝貢に来た時の呉の皇帝・孫権の喜びは凄かったようですね。
同じくベトナム方面の国の呉への朝貢は頻繁だったようです。
三国志ライター ろひもと理穂の独り言
戦争も政治の手段の一つであるならば、外交も政治の手段の一つです。
どちらも国益のための手段になります。戦争は経済的負担も大きく、
民や兵を損失するので、やはり平和的な解決を促す「外交」が大切になったのでしょう。
それでも中国のプライドの高さは並々ならないものがありますね。
とりあえず現在の朝鮮半島問題も外交で解決してくれるといいのですが・・・
皆さんはどうお考えですか。
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—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—