春秋時代は覇者と言われる君主が中国にいた諸侯をまとめておりました。
その中の一人・斉の桓公(かんこう)は春秋五覇の一人として有名な人物ですが、
あまり能力がない残念な人物でした。
しかしそんな人物でも偉大なリーダーとして歴史に名前を残すことができました。
また春秋時代は桓公の他にもリーダーとして著名な偉人達や
覇者まで登ったのに失敗してしまった偉人が沢山出現しております。
今回は春秋時代時代の成功談や失敗談などを参考にして、
明日から使えるリーダー力!!春秋戦国時代の偉人達から学ぶ、
三つの技をお教えしましょう。
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この記事の目次
桓公から学ぶリーダー力その1:怨恨があっても有能なら用いるべし
桓公から学ぶリーダーシップ力その1としては怨恨があっても有能なら用いるべしです。
桓公は斉の君主に君臨すると公子小白(こうししょうはく)時代から使えていた
鮑叔牙(ほうしゅくが)から管仲を宰相として仕えさせるべきだと言われます。
しかし桓公は自らの命を奪おうとした管仲をどうしても用いたくありませんでした。
だが鮑叔牙は幾度も桓公を説得した事が実を結び管仲を仕えさせることに成功。
この一歩が桓公が覇者として君臨することになる第一歩になり、
歴史に名前を刻むことになります。
現代の会社でも組織の中で有能な人物は必ず一人はいると思います。
はじめての三国志の読者のあなたが部下を数人率いている地位にいるのであれば、
その部下の中で有能な人材を発見することに注力するようにしましょう。
そして有能な人材を発見したらすぐにその人を抜擢してください。
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夫差・勾践の失敗から学ぶリーダー力その2:つめを見誤ることなかれ
さて次は失敗から学ぶリーダー力です。
みなさんは「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」と言われる故事をご存知でしょうか。
上記の言葉は春秋時代の呉王・夫差(ふさ)と越王・勾践(こうせん)が残した故事です。
夫差の父で呉王・闔廬(こうりょ)は越王・勾践と戦を行います。
しかしこの戦いで闔廬率いる呉軍は敗北してしまい、
闔廬もこの戦いで負った傷が元で亡くなってしまいます。
闔廬は息子の夫差へ「俺を殺したのは越王・勾践だ。必ず復讐せよ」と遺言を残した後、
亡くなってしまいます。
夫差は父からの遺言を覚えておくため睡眠を取る際、
毎日薪の上に寝て勾践へ復讐することを忘れないようにしておりました。
夫差はこうして国力の増強と軍事力強化に明け暮れて、
ついに越王・勾践に戦いを挑んで越軍を大破することに成功。
そして越王勾践を会稽山(かいけいざん)へ追い詰めます。
越王・勾践は「私はあなたに降伏します。どうか助けてくだされ。」と懇願。
夫差は勾践の命乞いを聞いて助けることにします。
しかし勾践は夫差に復讐するために毎日胆を舐めて苦さを噛み締めて、
夫差へ復讐することを忘れずにおりました。
勾践の復讐の思いを知らない夫差は北に軍勢を派遣して、
中原の覇者たる地位を狙っておりました。
この夫差の油断が身の滅亡をもたらす事になります。
勾践は夫差が北方へ軍勢を率いて出撃した時を狙ってすかさず、
呉の本拠地へ向けて出陣。
越軍は守備兵がいない呉の本拠地を軽々と陥落させることに成功し、
呉へ帰還してきた夫差の軍勢を撃破して復讐を達成します。
だが復讐を成功させた勾践も中原の覇者たる地位を望んで国力を省みることなく、
北方へ連年出陣したことによって越の国は滅亡への道を突き進んでいくことになります。
「臥薪嘗胆」の故事をざっくりとご紹介しましたが、
今回はこの越王・勾践と呉王・夫差の失敗から学びましょう。
呉王・夫差も越王・勾践も目標を達成させるまでの執念は凄まじく、
現代でもこのハングリー精神は見習うべきところがありますが、
目標を達成した後に大失敗を犯しております。
では勾践・夫差はどうして失敗してしまったのでしょうか。
それは目標を達成した後に浮かれてしまい足元をしっかりと固めなかったからです。
はじめての三国志の読者が会社やバイト先で何か大きなプロジェクトを目標として、
達成したとしましょう。
プロジェクトに関わった人達は目標を達成したことで大喜びして、
飲みに行ったりするのではないのでしょうか。
レンは非常にいいことだと思います。
部下を褒めることもリーダーとしての素質の一つであると思うからです。
しかしなぜ目標を達成することができたのか。
またプロジェクトを達成するまでのプロセスの中で、
改善するところはなかったのかなどの総括をすることが大事だと思います。
総括をすることによって改善案を出し合って足元を固めて、
次回に生かすことが大切であることを夫差と勾践の失敗から、
学ぶことができるのではないのでしょうか。
天才武将・呉起から学ぶリーダー力その3:思いやりをもって部下に接するべし
最後は戦国初期に登場した天才武将・呉起(ごき)からリーダー力を学んでみましょう。
呉起は戦国時代の覇者たる地位を握っていた魏の文侯(ぶんこう)配下の将軍で、
宰相の李克(りこく)曰く「女好きで欲深い男ですが、戦術においては斉の名将・司馬穰苴
(しばじょうしょ)を超える逸材と言えるでしょう」と評価をされていた名将です。
李克の評価通り呉起は戦場に出ると大国であった秦に幾度も勝利して、
将軍としての力を文侯や魏の将軍達に見せつけます。
その結果、文侯は秦との国境に近い城塞都市の長官に呉起を据えて、
国境の守備を任せることにします。
さて呉起の将軍としての力は秦に連戦連勝した事で明らかになりましたが、
しかし呉起がリーダーとしてどのような力を発揮したのかわかりませんよね。
呉起はリーダーとして部下を思いやる事に注力しておりました。
どのように呉起は部下を思いやっていたのかをご紹介しましょう。
呉起は兵士達を引き連れて戦場に出ると兵士達と同じ物を着て、
兵士達と同じ物を食べて兵士達に気さくに声をかけていたそうです。
またある兵士が傷が膿んでしまったと知った呉起は大急ぎでその兵士の所に自らで向いて、
その兵士の膿を吸って出してあげたそうです。
この呉起の行動を知った兵士達は呉起に絶対的な信頼を寄せることになるのです。
天才武将・呉起のように部下を思いやるのは、
初めから出来る人はほとんどいないことでしょう。
しかし初めはほんの少しのことから初めて見るだけでも全然違うのではないのでしょうか。
例えば上司であるはじめての三国志の読者のみなさまの部下が、
会社で仕事に忙殺されて時にそっと手助けしてあげたり、
部下が何かで悩んでいるような素振りをしていれば、
ランチに誘ったり、居酒屋に誘って飲みに行ったりして話を聞いてあげてはいかがでしょうか。
部下は上司が自らの事を気にかけてやってくれていると思えば嬉しく思い、
上司であるあなたに対して信頼を寄せてくることでしょう。
このように上司が部下を思いやることによって部下は上司に信頼を抱きます。
上司が部下を思いやり、部下が上司を信頼することによって組織の連帯感や信頼感が強まり、
スムーズに動くことになるのではないのでしょうか。
ここまでくればはじめての三国志の読者のあなたも立派なリーダーとして、
会社の組織を率いることができるでしょう。
ぜひ呉起のこのリーダー力も実践してみてはいかがでしょうか。
波動の時代を生きた先人たちから学ぶ『ビジネス三国志』
春秋戦国時代ライター黒田レンの独り言
レンは人類の歴史を読んで「面白かった」という感想を持つだけでもいいと思います。
しかし本当に歴史を読むと言う事は、
歴史から何かを読み取って実践することで(失敗してもいいから)、
はじめて有意義な物になるのではないのでしょうか。
もしよかったら明日から失敗してもここで紹介したいくつかをやってみてはいかがでしょうか。
初めはうまくいかなくて失敗してしまうかもしれません。
しかし失敗して自信を無くすのではなく、何がダメだったのかを反省して次につなげれば、
いずれ必ず成功するときがやってきます。
歴史に名前を残してきた人物達も何回も失敗を経験して、
成功者として成り上がっているのですから。
まずは行動することがあなたを偉大なリーダーとなる最初の一歩となるのです。
参考文献 ダイヤモンド社 史記人間関係力の教科書 守屋洋著など
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—古代中国の暮らしぶりがよくわかる—