【三国夢幻演義 龍の少年】深いい解説その1

2018年5月20日


 

はじめまして。光月ユリシです。

拙著「三国夢幻演義 龍の少年」に関心を持ってくださり、ありがとうございます。

ここでは、より深く小説の世界に親しんでいただくために、

作中で説明できなかった様々な設定について補足・解説したいと思います。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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登場人物の設定について

 

「三国夢幻演義」では、極力史実から乖離させないためにできるだけ架空の人物を設定せず、

史実に名が見える人物を多く登場させ、彼らを深く掘り下げて描くことで、

臨場感アップとリアリティの追求を試みています。

 

当然彼らのキャラ設定は残された資料を素にイメージを損なわないよう設定してい

るつもりですが、はるか昔の人物たち。中には生没年さえわからない人もいます。

 

わからないことは推定するしかないのですが・・・

 

孔明のお父さんは何歳で亡くなった?

 

資料によると、孔明の父・諸葛珪には187年(188年)死亡説(孔明8歳時)と

192年死亡説(孔明12歳時)があるようです。

 

孔明が幼い時に若くして亡くなったと史書に見えるので、187年死亡説を採っても

よいかもしれませんが、孔明の弟の諸葛均が189年生まれという資料が存在する上、

物語の都合上、192年死亡説を採用させてもらいました。

 

問題は年齢ですが、孔明の兄の諸葛瑾が174年生まれなので、

諸葛珪はその頃成人していたはず。

 

そこで153年生まれと設定してみました。曹操らとほぼ同世代です。

 

死亡時は40歳。当時でも若死にと言えるでしょう。

 

孔明の叔父さんの字(あざな)は何?

 

字というのは、成人時に付けるもう一つの名前です。名前と連動したものや兄弟順を

意識したものが多く見受けられます。

 

例えば、諸葛亮の場合、名前の「亮」の字義は“明るい”。それに対する字の「孔明

の字義は“はなはだ明るい”。曹操の「孟徳」の「孟」は長男で側室の子を意味し

ます。劉備の字「玄徳」の「玄」にも、長男の意味があります。

 

当時、士人たちの間では、相手を字で呼ぶのが礼儀とされていました。ですから、こ

の作中でも、リアリティ追求のために字で呼ぶシーンが数多く出てきます。

著者としては、字がわからない人物は困るのです。

 

諸葛玄は孔明の叔父で、主要人物の一人です。しかし、史書には字が記録されていま

せん。超有名人の孔明の叔父さんにもかかわらず、字も生まれ年もわからない・・・

 

さすがに勝手に創作するのは憚られるので、何とかわからないものかと中国のウェブ

サイトで調べてみたところ、「胤誼(いんぎ)」というのを見つけました。

 

ところが、説明が孔明の次子となっていて、虚構の人物のもののようです。ただし、

ソースが陳寿の「三国志諸葛亮伝」とあり、完全に無視するわけにはいきません。

 

ただの偶然?

いや、実際の諸葛玄の字が胤誼で、その名をそのまま孔明次子として

流用して書いた可能性も無きにしも非ずなわけです。

 

・・・なんてことを妄想しつつ、「諸葛玄、字胤誼」

をそのまま採用することにしました。

 

光月ユリシの独り言

 

今回の解説は以上です。

最初ですから、私個人の考えも少し解説いたします。

 

私は十代で三国志に関心を持って以来、漫画・小説・ゲームといったアイテムから、

史書や文献に至るまで、造詣を広げながら様々な形の三国志に接してきました。

 

その度にいつも感嘆して思うのは、

二千年近く前の記録がしっかりと残っていることの素晴らしさです。

それによって、私たちは国も時も超えて想像を膨らませ、

遠い過去に思いを馳せることができるのですから。

 

一方で、残された資料にも限界があります。

知れば知るほど新しい刺激を得ることが

少なくなっていき、未知の情報に飢えている自分を自覚するようになりました。

 

三国志の世界にもっと新鮮さが欲しい。

この欲求こそが「三国夢幻演義」誕生のきっかけです。

 

「論語」に有名な言葉があります。

温故知新――――故(ふる)きを温(たず)ねて、新しきを知る。

 

史書に遺る記録をかき集めて分析し、自ら「新しい三国志」を想像、創造する。

 

それを皆さんと一緒に創っていけたら・・・。

 

これからも「三国夢幻演義」をどうぞよろしくお願い致します。

 

 

三国夢幻演義 龍の少年 第1話:「命の山」

 

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