三国志ファンの皆様。中国史は好きなんだけど時々文化的によく分からないところがあるな、とお感じになったことはありませんでしょうか。
例えば、劉備が劉安という人から人肉を振る舞われて感激した話とか……。ちょっと、三国志を読んだだけでは分からない文化的なあれこれがあるのではないかという気がします。そこで本日は、三国志よりももっとワイルドだった春秋戦国時代を扱った漫画「東周英雄伝」のご紹介です。古代中国人のびっくりエピソード満載ですよ!
春秋戦国時代とは
紀元前十一世紀頃にできた周王朝は紀元前771年に東西に分裂しましたが、その紀元前771年が春秋戦国時代の始まりとされています。この時代は周王朝の権威がすたれ、各国の諸侯が覇を競う状態でした。紀元前5世紀に、諸侯国のうちの一つの晋が、晋の有力な大夫たちによって三分割されましたが、その出来事の前が春秋時代、それ以後が戦国時代、まとめて春秋戦国時代と呼びます。春秋戦国時代は紀元前221年の秦の天下統一までです。群雄割拠のサバイバル時代だったんですね。
三国時代よりも過激!
春秋戦国時代と比べると、三国志の時代はずいぶん現代的な感じがします。春秋時代は行政と祭祀がとても密接に結びついていましたし、人を罰する際の刑罰として、鼻そぎや足きりなどの肉刑がありました。三国志の時代には、祭祀なんて気休めでしょ? という感覚が常識でしたし、肉刑はありませんでした。三国志を読み慣れていると、春秋戦国時代は刺激的に見えるはずです。
三国志の中で文化的に分からないような部分も、春秋戦国時代の様子を見ると“なるほど、こういう発想だったのね”と納得できると思います。というわけで、春秋戦国時代のイメージがつかめる漫画「東周英雄伝」はオススメです!
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びっくり人間の宝庫
「東周英雄伝」には極端な生き方をする人物が目白押しです。ペットの鶴を可愛がりすぎて人心を失い戦死した君主(衛の懿公)とか、秦に援軍を要請するために七日七晩飲まず食わずで泣き続けた人(申包胥)とか。ふつう、そこまではやらないわー。引くわー。と思ってしまうくらい極端なのですが、そういうカルチャーショックが面白いです。へえー、古代中国人ってこんなふうなの? って、イメージがわいてきます!
迫力のある描写
古代中国人のびっくり話なら『春秋左氏伝』や『史記』を読んでも仕入れることができるのですが、文字情報だけだと、ちょっとぴんとこない時があります。「東周英雄伝」は迫力のある絵と、登場人物の心情が伝わってくるような表情やモノローグで、生々しい印象とともに古代のびっくり話を仕入れることができます。春秋時代の戦車戦の描写も迫力があり、こんなふうに戦っていたのかとイメージできます。武具や建物や女性のメイクなども、三国志の時代のものとは少しずつ違っていて、見ていて面白いです!
話題や人物が絞り込まれていて分かりやすい
『史記』や『春秋左氏伝』だと、背景なども含めて全面的に書かれているので、出来事や人物のイメージがぼんやりしてしまうことがあります。「東周英雄伝」は、一つの話で一つの出来事とか一人の人物とかに的を絞って書いてあるので、一点に集中しながらストーリーを追うことができます。このため、読んだあとに残る印象も鮮烈です。古代中国にはああいう名物人間がいたんだっけ、というように心に残るので、知識として理解するのとは違った魂レベルでの理解ができます!
三国志ライター よかミカンの独り言
古代中国に興味があっても、ぶ厚い歴史書はちょっととっつきづらかったりしないでしょうか。「東周英雄伝」ではそのエッセンスを魅力的な漫画で紹介してくれているので、ちょっと古代中国のイメージをつかみたい場合には最適だと思います。そこで興味を持った部分だけを歴史書から拾い読みしてみるなんていうのも面白いと思います。三国志と並行して春秋戦国もかじるとおいしさ倍増ですので、未体験の方はぜひご賞味下さいませ!
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—熱き『キングダム』の原点がココに—