大人気春秋戦国時代漫画キングダムですが、 誰が今日の王翦の事態を予想できたでしょうか?
あの王翦が馬南慈の側面からの奇襲を受けて自ら矛を奮い本陣から逃げ出さないといけない醜態ぶりを晒してしまったのです。それもこれも誰のせいかと言えば、これは段茶大将代理の失敗に違いないでしょう。しかし、kawausoは作者のブラフに騙されて、段茶ザマァ等とは申しません。これこそ、壁パターンと言うべき最悪から最高へのステップアップパターン。つまり朱海平原の戦いの最期を決めるのは段茶将軍だっちゃ!
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この記事の目次
醜態はステップアップチャンス
常にキングダムに張り付いているkawausoには、作者の思考パターンが掴めてきました。それは、簡単に言うと、大チョンボからの奇跡の大手柄が多いという事です。このようなケースは枚挙に暇がないのですが、端的に言うと壁将軍がそうでしょう。
決してボンクラではなく真面目で能力値も平均だが、組んでいる味方がスゴイので必ずと言っていいほど割が合わない役目を負わされる。合従軍編では、蒙武の号令で3000名で12万の楚軍に突撃するなど、死亡間違いなしの局面を何度も潜り抜けています。ここでは、蒙武に煽られている事を知った上で突き進む度量の深さを見せていました。
犬戎族との戦いになったリョウヨウ編でも、壁は舜水樹に抜け道を使用されて兵糧を焼かれるという、三千人将らしからぬ大失敗を犯しています。その後の壁は憔悴した状態が続きましたが、最後の最期で犬戎王ロゾの頭を打ち砕くという形で、全ての汚名を返上しました。このようにキングダムでは醜態は、次の汚名返上の為のステップアップとして使われる事がとても多いのです。
失敗からの成功が印象に残る
どうしてキングダムでは、失敗からの挽回が多いのか?
それは、ゼロからの100より、マイナス100からのプラス100の方がドラマだからです。プロ野球、それも古参のジャイアンツファンは、長嶋巨人軍のメイクドラマをまだ覚えておられるかと思います。それは1996年のペナントレース、一時は首位広島に11.5ゲームをつけられ今年は、もう終わったとファンにも思われていたジャイアンツ。しかし、7月9日、その広島相手に九回二死走者なしからの9者連続安打で一挙に7点をたたき出し逆転勝利したのです。
これがジャイアンツの起爆剤になり、その後の巨人は連戦連勝し100試合目で首位に立ち10月6日のドラゴンズ戦に勝利してリーグ優勝を決めます。実際にはメイクドラマは、1996年ではなく、1995年に長嶋茂雄監督が言い出した和製英語で、その年は実現しなかったのですが、1996年のリーグ優勝後は有言実行の証のようになり、その年の新語・流行語にも選ばれる程に世間に広まったのでした。
もし、長嶋監督のメイクドラマのスローガンが無ければ、11.5ゲーム差をひっくり返したとしてもここまで盛り上がる事は無かったでしょう。自らに火をつけて、もう後がないと思わせて、見事に逆転劇を見せるのがドラマの要素として、マイナス100からプラス100をメイクする秘訣です。
段茶の挽回は印象に残る
段茶は序盤からして亜光将軍の副官ではあるものの、武骨で高圧的な軍人でそんなに人望を集めそうな人ではありませんでした。亜光将軍の不慮の負傷により大将代理になったのも、実力というよりは、階級的に次位であった事が大きいでしょう。そもそも亜光将軍からして、まだ死んでないというのに、亜光将軍の代理に王賁を推す熱心な亜光軍の将兵がいたくらいです。いやいや、それは亜光に失礼だし、もっと言えば序列的に大将代理を勤める段茶将軍にも失礼ですからという話でした。
ただし、この段茶将軍、個人の武勇はかなりの力があるようでしたが、戦術眼はポンコツでした。亜花錦の助言がなければ、ここまで来れていたかどうか分かりません。
段茶の長所は思い切りの良さ
段茶には短所ばかりがあるのではなく長所も存在します。それは、自分に確たる戦術がないので、戦術をもつ部下の助言を入れる度量があるのです。例えば、飛信隊が金毛隊の激しい抵抗に苦戦していた時に、亜花錦が飛信隊には兵力が足りないと状況判断をすると、「では兵力を半分割いてお前が率いて行け」と、太っ腹な対応が出来る点です。
ここで半端な戦術眼があると、「バカを言うな!対面の馬南慈軍がこちらを攻めて来たらどうする?」と難癖をつけて反対するのが関の山でしょう。
結果、参謀の亜花錦が抜けた事で、馬南慈軍の南への疾走の意図を見抜けず王翦の本陣を衝かせるという大チョンボに繋がるわけですが、亜花錦を救援に向かわせたからこそ、飛信隊は李牧本陣の側面を衝けて王翦の目論んだ挟撃が完成したわけです。この時点までの影の功労者は、段茶将軍と言えるでしょう。
李牧本陣へ突撃する段茶
朱海平原の戦いは混沌を極めています。馬南慈が突撃した王翦本陣は大将不在で崩壊し、王翦が逃げ込んだ倉央、田里弥の部隊が秦軍の中枢になるでしょう。ここからは、前衛にいる雷伯・共伯の軍勢を破壊する事に全力傾注ですが背後から馬南慈軍がやってきて雷伯、共伯と呼応して挟撃します。一方で、飛信隊は李牧本陣をガシガシ削り、そこに左翼から蒙恬と馬呈が数百騎で乗り込んで、ハチの巣を突いた騒ぎです。
ポツンと取り残されるのは、段茶が率いる亜光軍の半分だけ、そうです!恐らく5000はありそうな段茶の部隊はノーマークで最後の一撃を与えうるポジションに立っているのです。キャスティングボードを握るのは大チョンボの段茶です。
李牧本陣にダメ押し
すでに李牧本陣は完全に混乱しています。王翦の本陣は崩壊していますが、王翦そのものは倉央と田里弥の陣で引き続き作戦の指揮を執っています。つまり、より危険なのは李牧の方です。李牧の考えでは、王翦を本陣で詰んで終りというシナリオでしょう。でも、これは結局、ヒットマン思考を一歩も出ていません。
ここで、段茶がノーマークで自由に動き回れる立場を駆使して、李牧の本陣に突撃すれば、李牧は万事休すになります。段茶を出し抜いたつもりの馬南慈ですが、それは王翦をHITするのが前提。王翦を討てなければ、段茶の最期の突撃を回避できず敗北します。かくして迂闊で戦術眼の無い段茶が、ダメ押しで李牧にトドメを刺すのです。
キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言
最後に李牧にトドメを刺すのは段茶将軍だとkawausoは断言します。恐らく、王翦が王賁を亜光軍の大将代理にしなかったのはこれが原因でしょう。キレすぎる王賁では馬南慈軍をスルーして本陣を衝かせる事は出来ない。すなわち王翦最期の策とは、自分を的にして厄介な馬南慈軍を引きつけ段茶の部隊を完全フリーにする事だったのです。
参考文献:キングダム英傑列記
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