キングダム「金毛の見事な最期を考察」

2019年10月21日


 

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弓矢を構える李広

 

大人気春秋戦国時代漫画キングダム第618話は、蒼淡(そうたん)大活躍の回になりました。殺される寸前だった河了貂(かりょうてん)を救い、さらに瀕死(ひんし)の重傷を負った兄を救いさらには、李牧(りぼく)の側近であった金毛(きんもう)さえも射殺する大金星を挙げたのです。しかし本当にカッコ良かったのは、滅びの美学を体現した金毛でしょう。そこで今回は、髪型がロバート秋山のような金毛の人生の軌跡(きせき)を振り返ってみます。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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黒羊での敗戦

祁山、街亭

 

キングダムの人気を支えている要素の中には、サブキャラの心理も丁寧に描かれている部分もあります。従来の歴史漫画には、主人公クラスのキャラクターばかりが活躍してしまいサブキャラは飽くまでサブという事が多かったからです。

 

 

金毛は、黒羊丘編の敵ボスだった慶舎(けいしゃ)の副官として登場します。本能型の慶舎に対して金毛は冷静なベテラン副将としての扱いであり、地味ながら堅実な戦い方を展開し桓騎(かんき)軍の摩論(まろん)と互角でした。金毛が退却のやむなきに至ったのは、大将の慶舎が討たれ、さらには、桓騎軍の離眼城虐殺(りがんじょうぎゃくさつ)の脅迫に折れた紀彗(きすい)の軍勢が趙軍から離脱してしまった為です。

 

孔明のテントがある野外のシーン

 

本来、退却も作戦続行も副官が決断する事ではありませんが、慶舎不在の中で、金毛は二者択一の選択を迫られます。

 

紀彗の方針を理解し岳嬰を叱る

韓信と劉邦

 

ここからの紀彗と金毛の撤退(てったい)を巡るやり取りは「今さら退却なんて身勝手は許さねえ、ここで貴様を殺してでも止めてやる」と脅迫に出た岳嬰(がくえい)より遥かに高度なものでした。金毛は、この戦いの勝敗の決め手が紀彗であり、離眼衆の動向が勝敗を決める事を認めた上で故郷を守りたいという紀彗の立場にも一定の理解を示しています。そして恫喝(どうかつ)で無理強いしようとする岳雷を叱りそれすら分からんなら兵卒からやり直せと突き放します。戦争の勝敗が掛かった状態で、それでも紀彗の立場に理解を示す辺り金毛はなみの武将ではないと言えるでしょう。

 

キングダムネタバレ考察

 

紀彗にも重い選択を迫る

kawausoさん

 

金毛は、紀彗にも以下のように釘を刺します。

 

「我々慶舎軍は、離眼の為ではなく趙国を守る為に黒羊の戦いに来た。

事実、ここを失えば黒羊を拠点に周囲一帯が秦軍の侵略を受けるだろう

離眼はその中の一城に過ぎず、実際そうなった時、どれほどの趙人の血が流れるか命を失うか予測すら立たぬ。

そして、一帯すべてが秦の領土と化した時、言うまでもなく次は趙の領内奥深くまで次の侵略を受けるそうさせない為の黒羊戦だった。

それを防ぐ為に皆は戦い血を流しその大義の為に死んだのだ」

黒羊を放棄して離眼を救う事で、趙の西半分が深刻な侵略の脅威に曝されるその重さを理解した上で決断してくれ

 

魯粛、周瑜、袁術

 

結局、紀彗は故郷を守る事を優先して黒羊から撤退してしまい、金毛は上官を死なせた上に一敗地に塗れる屈辱を味わいます。しかしながら金毛は、それを恨みに金毛に辛く当たる事はしていません。本来ならば、総大将の慶舎が下さないといけない重い選択を副将でありながら、この上ない冷静さで下したのです。地味でロバート秋山みたいな髪型ですが、人格がよく練れた人物と言えます。

 

恨みと冷静さの相克

 

そんな金毛ですが、冷酷非情な人物ではありません。上官である慶舎を殺した飛信隊の信に対しては恨みと復讐心を持ち続けます。朱海平原では、今度は李牧の首を狙おうとする飛信隊に対して小隊を率いて迎撃し、李牧の本陣には近づけまいと獅子奮迅(ししふんじん)の働きをしました。

 

援軍を率いる公孫続

 

個々の戦闘力では金毛隊を上回る飛信隊は大苦戦しますが、亜花錦(あかきん)が亜光軍の半分を率いて援軍に回った事で、金毛軍は敗れ去ります。ここで金毛は、最後の突撃を敢行して信と刺し違えようとしますが、副官の竹進に止められ、結局退却します。代わりに殿を引き受けた竹進は飛信隊の猛攻の前に戦死。金毛は、この辺りが人生で最高にカッとなっていた時期でしょう。ところが、歴戦の名将は、それでも自暴自棄(じぼうじき)にならずに自分の命をもっとも有効に散らせるポイントを探し続けていました。

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