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キングダム「龐煖がショボくなった原因を追究」

2019年12月28日


 

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ホウ煖(龐煖)

 

一時は、そのまま引き分けで終わりかと予測されていた(しん)vs龐煖(ほうけん)の一騎打ちですが、霊のパワーを味方につけた信の底知れないスタミナに龐煖がブルってしまい、その恐怖心が圧倒的なパワーをそいで信に袈裟斬(けざぎ)りにされるというショボい終りを迎えました。まだ、死んだと判定されてはいませんが、直接攻撃で肩から腰辺りまでズバッとやられて生きていたら、もうやってられないでしょう。

そこで、今回は龐煖は死んだと断言し、どうして武神がショボくなったかを考えます。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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龐煖の救済が裏目になった

kawauso

 

()びているわけではありませんが、キングダムの原作者の原泰久(はらやすひさ)は優しい人です。キングダムには悪党も登場し、卑怯な振る舞いもするのですが、ちょい役でない限りは、どうして悪に染まってしまったかまで考えてストーリーに盛り込む事で、漫画から退場する時には、読者に「嫌なヤツだったけど、そうなるのには事情があったんだな」と思わせる事で救済しています。

呂不韋

 

例えば、秦王政の実母である太后(たいこう)は、政に愛情を注ぐどころか憎んでいる権勢欲の強い淫乱な女性として描かれますが、根っからの悪人ではなく、夫である(しそ)に見捨てられ、政と母一人子一人で敵国趙で趙人の憎悪を受けながら極貧暮らしをするうちに、政さえ居なければ、こんな惨めな暮らしをしなくて済んだと亡き夫への恨みを政に転化させてしまっていたのです。

 

そんな太后には、巨根の持ち主の嫪毐(ろうあい)という絶倫の男が元の愛人である呂不韋からあてがわれますが、嫪毐はセフレではなく、本当に太后を愛するようになり、本当は愛情に飢えていた太后を見事に癒した上で反乱の首謀者として処刑されました。嫪毐もまた、巨根の男として蔑まれていた人生を太后に愛される事で誇らしいものに変えていたのです。

 

これは、sexを絡めつつもキングダム史上随一の良い話でありいつも感心します。とまぁ、原先生は、太后、万極(まんごく)成蟜(せいきょう)というような、敵キャラ、元敵キャラに救済エピソードを入れて最期を迎えさせているのです(太后はまだ死んでませんが)

同じ理由で、原先生はキングダム随一の嫌われ者のゴキブリ野郎、龐煖にも斬られる前に救済エピソードを用意したのですが、それが完璧な裏目でした。

 

龐煖に救済は要らなかった

 

龐煖は当初、どんどんレジェンド感が高まっていた王騎を殺す事が出来るキャラとして生み出されたと原先生は言っています。どうしたら王騎を殺せるかと考えた上に、天に命じられるままに、強者を狩る最強の武神というぶっ飛んだ設定を構築したわけです。

そこで龐煖は神懸かりの話の通じない、いつもワレブ、ワレブ言いながら、天とかいうよく分からん概念を口走るワカランチーノで、強者と見るや血相を変えて周囲を巻き添えにしながら殺しまくる殺戮者としてキャラが固定されます。

その後も、恐怖の武神、神の禍としてキングダムの人気キャラを殺しまくり、読者の憎悪を煽るヒールとして定着しました。

kawausoとおとぼけ

 

そんなゴキブリのように嫌われる龐煖にも、原先生は救済を与えてあの世に行ってもらおうとしたのですが、それが、全く余計な事だったのです。どのように余計だったのか、kawausoの考えを述べましょう。

 

キングダムネタバレ考察

 

人間となりショボくなった龐煖

土いじりをする劉備

 

どうして龐煖が強者を狩るのか?それは最後の最期まで謎でしたが、いよいよ朱海平原の戦いで、その謎が明らかになりました。それによると、龐煖は決して快楽殺人者ではなく、元々は人類を争いの世界から救おうと考えていた求道者、賢者の一人だったのです。

しかし、いくら人類を争いの世界から救おうとしても、それは人間には無理だという結論に至りました。何故なら争いの原因は、人間の愛情にある事が判明したからです。

三国志のモブ 反乱

 

愛情は偏るものであり、愛する者と憎む者を生み出しそれが争いに繋がる、だから人間には、争いを無くす言は出来ない、ではどうするか?感情を捨てて神に近づけばいい。龐煖はそう結論し、愛を捨て、ひたすらに武を極め、強者を打ち倒して天下最強になれば超人となり、エスカレーター式に人類すべてが超人となり地上から争いが消えるという、ちょっと何言ってるのかわかんない行動を開始したのです。

ところが、その余りにも自分勝手で、しかもとんでもない勘違いに邁進する龐煖に、読者は?がいっぱいになるだけで同情できませんでした。

 

正体不明で憎まれて死ぬ方が龐煖の救済

袁術

 

もうひとつは、それまで何を考えているのか分からないからこそ、圧倒的な暴力が際立った龐煖が、実は人類救済の為にトンチンカンな殺戮を繰り広げているただの人と言う事が暴露されキャラクターがとても矮小化されてしまった事です。

そんな事になるくらいなら、天だの人類救済だの高尚なスローガンはなくして、ただ、強さに()りつかれただけのクレイジーなキャラの方が、武神、天の(わざわい)として相応しかったでしょう。信にぶち殺されても、一切の正体が不明なままで憎まれて終る方が、龐煖にとっての救済になったとkawausoは考えています。

矛を持った信

 

これは、原先生の優しさが龐煖のキャラクター造詣には(あだ)になったと結論するしかありませんね。

【次のページに続きます】

 

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kawauso編集長

kawauso編集長です。 はじ三の中の人です。 様々なトピックを立てますが 盛り上がらない時には ごめんね。 大体、咬まないので 気軽にからんでもらえると 嬉しいです。

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