李牧や慶舎もビックリ!桓騎の弱点は漫画に登場していた

2020年1月8日


 

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桓騎

 

 

黒羊丘(こくようきゅう)の戦いでは、離眼勢(りがんぜい)に対し故郷を蹂躙(じゅうりん)すると脅迫して撤退させ丘を攻略するのに最大の功績を挙げた桓騎(かんき)。しかし得意絶頂になる桓騎に対し、李牧(りぼく)慶舎(けいしゃ)は桓騎の弱点を察知していました。

 

 

歴代皇帝の墓を暴こうとする韓遂の兵士

 

素人考えでも野盗の群れである桓騎軍は利益で釣る以外に結束力が弱く、戦況が不利になるとバラバラになる弱点があるように感じましたが、実際に桓騎軍が黒羊丘の戦いでそのままズバリな弱点を晒していたのをお気づきでしょうか?今回は、漫画の中で余りにも堂々と公開された桓騎軍の弱点について解説します。

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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キングダム450話で堂々とやっていた「火兎の笛」こそが弱点

桓騎 キングダム

 

 

李牧や慶舎が見つけた桓騎の弱点は、キングダム450話で堂々と使われた火兎(かと)の笛です。

 

 

太史慈

 

 

少しあらすじを説明すると、本能型の将軍である慶舎は、黒羊丘を制圧しようとする桓騎軍の頭と尻尾を分断する為、森林を利用して雷土(らいど)隊とゼノウ隊を包囲し、蜘蛛の巣に掛けるようにジワジワと攻め潰そうとしていたのです。

 

 

雷土

 

 

慶舎の目論見は桓騎でも予想外であり、雷土も、「お頭がこんなにキレイにはめられたのは、初めてだと口にします。しかし、ここで慶舎も岳嬰(がくえい)も予想だにしない出来事が起こります。それは雷土がゼノウに対して、火兎の笛を吹けと言った事でした。

 

逃走する太史慈

 

 

漫画の中の説明では、火兎の笛の意味は「絶対絶命」、あるいは「完全包囲」であり隊ごとの伝令や号令は一切不要で、全員が野盗時代に戻り、脱兎のごとくその場から逃げ去るです。笛が吹かれた瞬間に桓騎軍は、軍ではなくなり、ただの野盗として味方を踏み殺しても、ひたすらに逃げのびる闘争集団と化すのです。

 

これを見て岳嬰は素人丸出しの桓騎軍の逃げっぷりをあざ笑いますが、将も兵もない逃げっぷりには殿(しんがり)もなく、結局、雷土もゼノウも殺し損ねています。桓騎も本陣で火兎の笛を聞き、「なんだかんだで、あの逃げ方が一番助かる」とまんざらでもなさそうでした。

 

 

 

火兎の笛は部下が勝手に行うリセットである

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

 

さて、これだけ説明すると、皆さんは火兎の笛のどこが桓騎の弱点なのかと不思議に思うかも知れません。ちゃんと軍団を温存し、慶舎の包囲からも逃げきれたじゃないか、どこが問題なんだ?そんな風に仰る方もいるでしょう。

 

桓騎(キングダム風)

 

でも、問題は大アリなんです。何故なら、この火兎の笛はお頭である桓騎に断りなく、雷土とゼノウが相談して決めた事なんです。これがどういう事かと言うと桓騎の命令があろうとなかろうと、雷土やゼノウが、戦場で「絶体絶命」「完全包囲」と感じれば、吹く事が可能です。

兵糧を運ぶ兵士

 

部下の判断で、戦争を勝手にリセットできる権利を与えている。これが桓騎の最大の弱点です。実は、桓騎が李牧に敗れる宜安(ぎあん)の戦いは、李牧によって桓騎が宜安に貯めていた兵糧(ひょうろう
)
が奪われて負ける事になっているのです。

 

棗祇(そうし)食料・兵糧担当

 

 

兵糧を奪われる。それは、今の鄴と同じであり絶体絶命です。そして、それを絶体絶命と感じる部下がいた場合、火兎の笛を吹かない保障はありません。笛を吹いた瞬間、それが例え何万人いようと桓騎軍は野盗に戻り桓騎を放置して、我先に逃亡してしまう事になります。(しん)に対しても桓騎に対しても忠誠心が無い、欲望にのみ正直な桓騎軍の当然の最期です。

 

敗北する桓騎

 

それについて、桓騎がどう思おうと、一人も部下がいないのでは秦は敗北したも同然、もちろん桓騎も死にたくないなら逃げるしかありません。こんな大敗をしてそのまま秦に戻れば処刑を免れる事は出来ないので、どこかに逃亡してしまうと思います。

 

 

摩論が桓騎を見下ろす意味深な一コマ

荊軻

 

 

今回の(ぎょう)攻略戦には、意味深なコマがあります。それは桓騎軍の参謀である摩論(まろん)が騎乗したまま桓騎を見下ろし、「一つだけ約束して下さい。兵糧が残り一日分になった時点で鄴の包囲を解いて、さっさと退散すると」と冷たい目で言っているシーンです。

 

罠を仕掛ける王翦

 

 

部下でありながら、ほとんど脅迫するような摩論の一言、それに対し桓騎は余裕たっぷりで返していますが、この時は、すでに王翦が伏兵を鄴に忍ばせている事が分かっていたから余裕があっただけです。

 

 

秦王政を暗殺するための策を考える荊軻

 

 

或いは、宜安の戦いで火兎の笛を吹くのは、この秦より桓騎より自分の栄達というドライな考えを持つ摩論なのかも知れません。その時に、この鄴での一コマが桓騎には思い起こされるのではないかと推測します。

 

 

剣を持ち戦う李牧

 

 

そして反射的に摩論を斬る桓騎ですが、それを見て余計に桓騎の部下は逃げていき、桓騎は自分の無力さを思い知るわけです。李牧は利益のためだけに無辜の民まで殺す桓騎を洒落にならない程に嫌っていますから、それはそれはもう徹底的に惨く追い詰めて、言葉でなぶり殺すのではないかと考えます。

 

 

 

慶舎が死んでも崩壊しなかった趙軍と対照的

矛を持った信

 

振り返ってみると黒羊丘の戦いでは、桓騎軍と慶舎軍は対照的でした。不利と思えば、火兎の笛を吹いて逃げ散った雷土やゼノウと違い、慶舎軍は慶舎が信に討たれても、総大将の死を隠し、それぞれの将が慶舎の遺志を継ごうと頑張っていました。紀彗の軍勢も退却せずに頑張っていましたが、桓騎の計略で離眼城に危機が迫った為に、涙をのんで丘を明け渡して退却しています。

 

逃亡する兵士 三国志ver

 

何から何まで、私的な利益優先の桓騎軍と比べ、趙は同胞(どうほう)愛や国家に対する義務感で戦う崇高な感じがしました。そういえば、桓騎は妙なプライドを見せて自分の命よりも国家への忠誠を優先する、例えば魏の白亀西(はくきさい)のような人物に容赦がありませんでしたが、それもそもそも、自分には人望がなく、人に忠誠を誓わせるような芸当が出来ない事に対する嫉妬か、あるいは、過去にそのような愛国心に煮え湯をのまされた事に対する嫌悪感ではないかとも考えられますね。

 

キングダム(春秋戦国時代)ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

以上、あまりにもバレバレな桓騎の弱点について解説してみました。

 

君主論18 kawausoさん

 

どう考えても、桓騎が敗れ去る時には、部下の誰かが鳴らした火兎の笛が戦場に敗北の象徴として鳴り響くと個人的には確信しています。

 

 

挑発する諸葛亮孔明

 

 

李牧は、龐煖(ほうけん)に対してもハッキリとバカと言い切ってしまうなど、三国志の諸葛孔明(しょかつこうめい)にも劣らぬ毒舌キャラなので、どんな言葉攻めで桓騎のプライドをズタズタにするのか、今から楽しみです。

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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