人類が滅亡するSFによくある原因としては、大地震や大津波、核戦争勃発、未知のウイルス、そして隕石の衝突が挙げられます。有名なアルマゲドンも巨大隕石が地球に衝突するのをブルース・ウィルスが自分を犠牲にして人類を救う話でしたね。
でも巨大隕石なんか映画の話でそんな簡単に落ちてこないでしょ?
そんな風に思ってポテチ食いながらプーしてあるあなた!今から112年前にシベリアで起きたツングースカ大爆発を御存じですか?平穏な日常は宇宙の気まぐれで瞬時に消滅するかも知れませんよ。
この記事の目次
1908年6月30日ツングースカ大爆発
それは、明治41年(1908年)6月30日。現ロシア連邦クラスノヤルスク地方上空で謎の大規模な爆発が起きました。強烈な爆風は東京都の面積に匹敵する2000平方キロメートルにわたる樹々800万本を焼き払い、巨大な火球を伴うキノコ雲が上りました。
その衝撃は1000キロも離れた家の窓ガラスを割り、キノコ雲は数百キロも離れたイルクーツクでも見える程でした。さらに爆発から数夜、夜空は明るく輝き遠く離れたロンドンで真夜中に人工照明なしに新聞が読めた程でした。
ツングースカ大爆発の破壊力はTNT火薬5メガトン
ツングースカ大爆発の破壊力はTNT火薬5メガトンという巨大さと推計され、広島型原爆の21キロトンを遥かに上回るようです。しかし、爆発が起きた場所は、人間の居住地から離れたタイガの奥地であり、ロシアも政情不安の革命前夜の渦中にあり調査どころではなく、19年も詳細な調査が行われませんでした。
長らく隕石が発見されない不思議
ツングースカの大爆発に調査の手が入ったのは1927年で、すでにロシア帝国が崩壊しソビエト連邦が成立していました。調査にやってきたのはロシアの鉱物学者のレオニード・クーリックで爆発は隕石によるものと確信していましたが、調査してもどういうわけか衝突クレーターは見つかりませんでした。
その後も、クーリックは計3回の調査を行いその間に深い穴のような沼も見つかりましたが、沼底から古い切り株が発見された事で、氷雪地形の一種であるサーモカルストと結論づけられ、クレーターという結論は否定されます。
ツングースカ大爆発の正体は?
ツングースカ大爆発の原因については1934年、イギリスの天文学者F.J.wウィップルは彗星がシベリア上空の大気で爆発したことが原因と主張。その根拠として衝突から数日間一帯の夜空が輝いたことを取り上げ、彗星の尾に見られる塵や粒子の証拠と述べました。
多くは、宇宙からの飛翔物という結論でしたが、それが彗星か小惑星と考えられ、隕石は、落下により生じる鉄片や岩石片が、地上で発見できない事から可能性は低いと見られていました。最近の説では、2008年に、宇宙からの飛翔体ではなくメタンを含む地下のガス1000万トンが地上に噴出したというものまであります。
ただ、現在大多数に支持されているのは、小惑星のような天体がツングースカ上空で爆発したというもので、軌道をモデル化すると83%の確率で飛翔体は小惑星のような軌道をたどったと考えられています。この小惑星は、銀河系の小惑星帯からやってきた可能性があるそうです。
NASAの調査では、ツングースカ大爆発を起こしたのは、直径50から80メートルの小惑星であるとされています。この小惑星は、時速5万4000キロで大気圏に突入し、上空5から10キロで爆発したと考えられています。
小惑星が4時間早く大気圏に突入していたら・・・
ツングースカに大きな被害をもたらした小惑星の大爆発ですが、その被害ですら人類は感謝すべきかもしれません。
というのも、小惑星の大気圏突入が4時間早ければ、小惑星はロシアの首都で人口15万人のサンクトペテルブルグに直撃し、首都が消滅するという結果になったかも知れないのです。そうなれば、多くの人命が瞬時に失われ、多くの文化財が焼き払われる結果になったでしょう。宇宙からの飛来物は、ほんの気まぐれで人類の活動にトドメを刺す、おそるべき存在なのです。
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