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この記事の目次
更に左慈のトンデモエピソード
さて話を神仙伝に移しましょう。この神仙伝は西晋時代に成立した、仙人のような人たちの逸話をまとめたものです。そしてこちらの方にも左慈のエピソードが出てくるのです。ただしこちらの話は後漢書の曹操との話と被るようなものが多いのも特徴ですね。
その中では密閉された石室の中で穀物を食べないまま一年過ごしても元気だったから曹操に危険視されたともあり、いや曹操でなくてもこんな人不気味じゃないか……とも思いますが、この中で左慈は劉表や孫策とも面識があったとされているのです。
劉表や孫策とも面識があった左慈?
神仙伝でもやはり曹操とトンデモエピソードを披露する左慈ですが、その中に劉表の元に行ったとされています。しかし劉表も左慈を不気味がって殺そうとしますが、左慈がお酒と干し肉を無限に出して兵士を歓待したからもうどうでもいいか……となったそうな。いやあんまり良くはないような……曹操の話を見ると特に。
因みに孫策にもやっぱり殺されそうになるけど孫策は左慈に馬でも追い付けず諦めたそうです。こちらは左慈は悠々と逃げおおせていますが、孫策と絡む仙人と言えば于吉がいるので、そちらとの比較が面白いところですね。ともあれ権力者たちを煙に巻いてしまう左慈は、真偽はどうあれ面白い人物とされていたのかもしれません。
三国志演義の左慈
最後に少し、三国志演義の左慈を紹介しましょう。三国志演義では左慈は曹操をからかう謎の仙人という風体で、後漢書や神仙伝でのエピソードも取り入れられています。
そして曹操に劉備殿に天下を治めて頂くように、という謎の発言もしていますね。この話から左慈は劉備びいきのようなイメージを受けますが、曹操をからかうだけからかったら姿を消すため、実は劉備の手助けをするような話は出てきません。この辺りはやはり三国志演義では劉備を主人公扱いするための演出と言ったところでしょうかね。
三国志ライター センのひとりごと
三国志演義と正史を比べると、人物が違っていて驚くことは多々あります。しかし左慈に関しては、正史を見た方が訳が分からなくなるという不思議な人物です。こう逸話を見てみるととてもファンタジー色が強いのですが、これが後漢書に乗っているというのが事実。正に事実は小説よりも奇なり、を地で行く人物ですね、左慈は。
文:セン
参考文献:後漢書方術列伝
弁道論 典論 神仙伝