大人気春秋戦国時代漫画キングダム。
本日8月13日はヤングジャンプ自体がお休みなので、もちろんキングダムもありません。そこで読者ちゃんには、休載スペシャルとしてkawwausoの誰も調べないディープなキングダムワールドにお付き合い願います。
今回のSPはどうして魏は什虎城がそんなに欲しいのかです。
この記事の目次
キングダム休載SP雑学「なんで魏は什虎城が欲しいのか?」
kawausoはずっと疑問でした。その理由は、秦を殺したい程憎んでいるはずの呉鳳明が、どうして秦が楚の什虎城を落としてプレゼントすると言った途端に、態度を変えたのかという事です。そりゃあ、キングダムの時代は、基本は城の取り合いですから、味方の城が増えるのは喜ばしい事でしょう。
でも、什虎だかジュークだか知りませんが、たかだか難攻不落の城一つを落として与える程度の事でコロッと態度を変えるなんて、そんな尻軽な態度でいいのか?
いくら漫画のストーリー上、やむを得ないとはいえ、御都合主義ではないか?
こじるりと付き合えて、舞い上がりちょっといい気になっているのではないか?そんな風に考えていたのです。
よく考えると、そこまではオーバーでした。しかし、ずーっと古い春秋戦国時代の地図を見ているうちにkawausoは、どうして魏が什虎城を欲しがるのか、その理由が分かったのです。
キングダム休載SP雑学「什虎城は楚方城に囲まれていた」
またしても上記の地図をご覧ください。黄色の線でデコボコに書かれているのは、楚方城と言い、紀元前7世紀頃に楚が築いたとされる最古の長城です。そして、そこから左手を見ると、そこには咸陽がありますね。
はい!皆さんのお考えの通り、この楚方城は西の秦の攻撃を跳ね返す為に楚が築いた長城です。
また、地図では白線で什虎と書いてあります。これは、南陽市で水曜日にkawausoが什虎城に比定した場所で、春秋戦国時代は宛と言い、紀元前273年に秦の白起が陥落させた場所です。
つまり魏は什虎城を手に入れると、楚方城も手に入れる事になり万全の備えをしつつ、秦に攻め込む隙を虎視眈々と狙える事になります。
キングダム休載SP雑学「魏が欲しいのは秦の領地」
魏は、戦国時代の初期にはぶっちぎりの強国で、今とは反対に函谷関から秦に何度も攻め込もうとした国でした。読者の皆さんは、そう聞くと不思議に思うのではないでしょうか?
どうして、七国最強の秦の領地を奪おうとするの?もっと弱い国があるのに?
理由はとても簡単です。
魏から東に向かって領地を広げようとすると、斉や趙や楚は合従軍を組織して対抗しますが、秦に関しては合従してくれる国が存在しないからです。秦の西は、もう中華の外であり援軍の頼みようがありません。
つまり秦と戦う時は、魏は常に1対1でタイマン張れるというわけです。だから魏としては、秦を滅ぼして豊かな関中と益州を飲み込んで、そこから西に出て、六国を討つ方がリスクが低く、勝てるチャンスが高くなります。
その戦略は虫の息になった今でも変化していません。なんとか什虎城を確保して秦に異変が起きるのを待ち、函谷関を突破して秦を滅ぼし肥沃な土地を手に入れて、再び覇者の国なりたい。それが、呉鳳明以下、魏の人々の念願であるのです。
キングダム休載SP雑学「昌平君は魏の念願を逆手にとった」
もうひとつ、魏の領地を奪い取ったのは、ほとんど秦の蒙驁将軍であり、それは呂不韋が丞相の地位にあった時代でした。もちろん、当時から呂不韋四柱であった昌平君は領地を奪われた魏の無念を知っているでしょう。
だからこそ、秦の領地に隣接し、周囲を長城で守られた什虎城を楚から奪い取って魏に与え
「you!もう一回、中華の覇者の地位を狙っちゃいなyo!」と甘く囁かれると、それが罠だと分っていても、分かっちゃいるけどやめられないのです。
まさに昌平君の「条件次第」とは、魏の心の内側に燻ぶり続ける、秦を滅ぼして再び中原の覇者にという煩悩を刺激するマジックワードでした。
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