たまに見かける話題ですが「三国志は三国志演義で知った」「正史は見たことがない」良くあることだと思います。筆者も横山三国志から三国志に入り込んだ口ですからね。
しかしそこから良く聞かれる「正史三国志って読んだ方が良いの?」という疑問点。今回はこれに対して、筆者なりの回答をまとめてみたいと思います。
この記事の目次
正史三国志とは?
まずは正史三国志についてちょっとおさらいしていきましょう。
正史三国志とは「三国志」のこと。これは古代中国の歴史書であり、三国時代と呼ばれる時代についてまとめたものです。著者は陳寿。これは「三国志」ですが、三国志演義との違いを表現するために「正史三国志」と呼ばれることが多いですね。
正史三国志の特徴
さて正史三国志の著者は前述したように陳寿です。陳寿は蜀の滅亡後は魏(晋)に仕えましたが、それまでも蜀の歴史をまとめていました。その後は蜀以外の歴史もまとめるようになったのですね。
そしてポイントとして、三国志では魏を(そして晋を)漢王朝の正当後継者として記録しています。これに関しては当然とも言えるでしょう……職の首どころか人体的に首が飛ぶ可能性がありますからね。
そして歴史書としてまとめるために「忠実であること」「簡潔にまとめること」が重視されています。このため「これ本当にあったの?」と思うような逸話は除いているので、分かりやすく簡潔にそれぞれの話がまとめられた「人物辞書」のようなものになっているのが特徴です。
裴松之らの注釈
しかし正史三国志を初めて見ていくと、やたら注釈が多いな……と思うかと思います。これは裴松之を始めとして、後の時代の人々が排除されたエピソードやこういう話があったよという民間伝承などから注釈が付け加えられていったからです。
因みに裴松之の注釈は彼自身の観点による解釈や自分がどう思ったかなども書かれていて、三国志を面白いものにしていると思います。言ってしまうと淡白すぎた三国志に、味付けを足したのが裴松之の注釈だと筆者は思っていますね。
三国志演義
そして三国志は歴史書ですが、三国志演義は「歴史小説」でしょう。
とにかく物語としての面白さを重視したために架空の人物、逸話が多数盛り込まれる、言い方を変えると「それはなかった」話が挿入されていて、良く言われるのが蜀漢びいきによる補正効果が効いているキャラクターが多くいるのが特徴です。
このため正史の活躍をなかったことにされたり、悪人として描かれてしまっている場合もあるので、一部の人物のファンからは嫌がられる場面もないとは言い切れません。とは言え物語としてとても面白く、三国志の知名度を上げたという三国志演義の功績は素晴らしいものです。
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