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この記事の目次
心に伝わるからこそ名文になった
曹稙の詩が、美文を尽くしてシニカルであるのに対し、諸葛亮の出師の表は、どこまでも分かりやすく心情を説いてきます。
まるで純文学の芥川賞と大衆文学の直木賞の対決を見ているようです。文学賞の格としては芥川賞が上位ながら、直木賞の方が本の売り上げはずっと上であるように、諸葛亮の出師の表は、心情に訴えかける名文として時代を越えて多くの人々に読まれ、知名度では曹植を上回ったという事かも知れません。
三国志ライターkawausoの独り言
もし、劉禅が秀才で多くの書物を読破していたら、諸葛亮も出師の表に関しては、難解で難しい表現を巧みに使いこなし、文芸的な価値が高いものに仕上げたかもしれません。
でも、そうなったら、出師の表は難解な文章として庶民は敬遠し、後世多くの人の愛するモノにはならず、今のような知名度を獲得する事はなかったでしょう。私達は、劉禅がおバカであった事に感謝すべきかも知れませんね?
参考文献:正史三国志
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