すでに死亡しているキングダムの登場人物で、依然大人気を誇る人物といえばやはり王騎といえるでしょう。秦の六将として君臨し、中華に名を馳せた大将軍は「秦の怪鳥」と恐れられ、その独特な言葉遣いに当初こそ違和感を抱かせるものの、そのカリスマ性には、いつのまにか信のように読者の心に大きく影響を与えたといっても過言ではありません。そんな王騎のカリスマ性をここでは解説していきます。
圧倒的存在感のある王騎
そもそもカリスマとはさまざまな解釈があるもの。一般的なイメージとして存在するのは、その人物が発揮する「人を惹きつける魅力」といえます。これが王騎にどのようにあてはまるか考えると、一言でいえば存在感となるでしょう。登場するシーンではほぼ見開きで大きく出現し、一睨みするだけで相手を委縮させてしまいます。
王騎はすでに1巻から登場しますが、いきなり昌文君に襲い掛かり、最初は敵のキャラクターとさえ思ってしまいます。また、王宮奪還編が終了しても、王騎の特徴といえるオネエ語のおかげで、本当に敵なのか味方なのか分からない不気味さを演出しています。結局は大きな味方になるのですが、敵か味方か分からなかったのは、あくまでも信や政といった人物をじっくりと観察していたからと推測できます。
信が王騎に圧倒されるのが初の対面となった、秦の大将軍麃公と魏の将軍呉慶との対決となります。ここで、信は最初敵意を見せるも、すぐに王騎の存在感に圧倒されてしまいます。ここの戦いが初陣となった信にとって、はじめて大将軍と会話することになりますが、王騎は惜しみも無く信に戦場のレクチャーを指導する形になりました。
武力と知力を合わせ持つ経験豊富で最後まで諦めない冷静な猛将
年齢にもよるでしょうが、王騎は冷静沈着で常に先を読み、それでいて武力に長けた猛将といえます。それは数多くの戦場を生き抜いてきた王騎の経験値が飛び抜けており、次世代の大将軍となる蒙武を遥かに凌いでいることがうかがえます。すでに六将として結果を残してきた王騎は引退していると扱われていますが、まだまだ現役で馬陽における趙との対決では総大将を引き受けました。
王騎が全軍前進と発する場面では、その一言だけで士気が高揚するほどであり、同じことができるのは王騎に引けを取らない趙の元三大天廉頗将軍くらいでしょう。この存在感はたとえ李牧であっても真似ができないほどといえます。
まだ無名の李牧の策にやられはしましたが、それでも笑みを浮かべて脱出を図ろうとするなど、どのような敵が相手でも引かないという豪胆な一面を見せていました。最期のシーンでは敗戦を悟って武器を落とした王騎軍に対し、「たとえ何が起ころうと、最後まで諦めぬことが王騎軍の誇りだったはずですよ」と一喝。もう一度士気が高まるのは王騎の持っているカリスマ性が成し得たといえます。
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武神龐煖を追い詰めた王騎
龐煖の初登場時は王騎とは違った不気味さと存在感を演出しており、史実を知っている人なら龐煖はこの戦いで死ぬことはなく、もしかしたら王騎が負けるかもしれないと感じたことでしょう。その通りになってしまいましたが、その後の龐煖の武勇はキングダムで突出しており、燕の劇辛や秦の麃公といった名将たちを討ち取り、信や羌瘣を退けるなど向かう敵をすべて蹴散らしています。王騎はそんな龐煖を相手に一騎討ちで打ち負かし、あと一歩のところまで追い詰めました。
最後は背後から放たれた弓矢の影響で龐煖の矛に胸を貫かれてしまいますが、それでも片手で龐煖の首を落とそうとするところ、さらに自身の常識を覆す王騎の強さに思わず「何者だ」質問した龐煖に対し、「天下の大将軍ですよ」と答えになっていないようでしっかりと答えている王騎。仮にもこの武神龐煖に恐怖を感じさせたのは紛れもない王騎一人といっていいでしょう。この芯の強さこそが王騎のカリスマ性を表していますね。
死んでからの影響力が凄い王騎
王騎の死は秦国内で大いに落胆する理由となりますが、他の武将たちの飛躍を促すきっかけにもなっています。
王騎の死を目の当たりにした蒙武や騰率いる王騎軍、桓騎や王翦といった次世代の将軍にも大軍を率いるチャンスが現れ、何よりも信と飛信隊の飛躍が一番大きいといえます。飛信隊は王騎が名づけ親ですので、信が戦場で決して諦めないのは王騎への思いがあるからといえるでしょう。
この信の活躍に刺激されているのがライバルとなる王賁や蒙恬といった同世代の若い将であり、王騎の死は結果的に秦軍の底上げを担っていることになります。
春秋戦国時代ライター ソーシーの独り言
王騎のカリスマ性はこれまで多くの戦場で培ってきた経験からくる存在感であり、武力・知力が秀でていて先を見通す視野の広さなど、大将軍に必要な能力をすべて持っているところでしょう。王騎がいなくなった喪失感はキングダムの登場人物はもちろんのこと、漫画を読んでいる読者にも浸透し、変なオネエ語もいつしかキングダムに無くてはならないものとして存在しています。
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