広告

三国志ファンも知らなかった!爵は酒の器じゃなかった

2023年2月23日


 

筆者が所属するはじめての三国志では、随分前にyoutube配信をした事がありました。その中で代表のおとぼけと石川氏が三国志の時代に登場した三本足の酒の器「爵」で赤兎馬と言う焼酎を飲むイベントがありました。しかし、この爵、三本足で不安定の上に飲み口が鳥のくちばしのように伸びていて、飲みにくい事この上なかったのです。

 

 

テレビを視聴するkawauso編集長

 

あの時、筆者は「古代中国人は、変な容器で酒を飲むなあ」と思っていましたが、それは大間違いでした。そもそも爵は酒を飲む器ではなかったのです。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


【誤植・誤字脱字の報告】 バナー 誤字脱字 報告 330 x 100



【レポート・論文で引用する場合の留意事項】 はじめての三国志レポート引用について



爵は酒を温める器

曹操と曹丕

 

爵はお酒を飲む器ではなく、酒を温める燗の道具でした。あの3本足の下から火であぶり、冷えたお酒を温めるのが本来の役割だったのです。そう言われてみれば鳥のくちばしのような飲み口も、突き出た取っ手も、まさに燗の道具としてなら納得できます。これは恥ずかしい、三国志の記事を8年も書いて9年目になろうというのに爵の用途に気づいていなかったとは!

 

関連記事:劉備と曹操の禁酒令は何が違う?三国志時代の禁酒令を考察

 

 

そもそも爵は三国志の時代には登場しない

編集長kawauso日記02 kawausoさん

 

爵の用途を勘違いしていただけでも三国志ライターの暖簾を畳んで南の島で隠遁生活をしないといけないレベルで赤っ恥ですが、さらに驚く事に爵が出土するのは紀元前17世紀の二里頭遺跡から紀元前11世紀の周の時代頃で、それ以降は出土しない古いタイプの青銅器だと言うのです。

 

kawauso編集長

 

 

なんてこった!じゃあ中国映画で三国志の英雄が爵で乾杯するのは嘘だったのか?これはもう誰も信じられません。曹操も劉備も大ウソつきです。やーいバーカ!バーカ!正直者の正助さーーーん!

 

実際に三国志の時代にあったのは耳杯

酒を飲む曹操と劉備と呂布

 

では、リアルに三国志の時代に使われていた酒器はなんなのでしょうか?これは耳杯と言い、楕円形の平底の器の左右に耳がついたもので、俯瞰でみると人の顔のようなので耳杯と名付けられました。 耳杯は木製に黒漆を塗ったものから、金属製、玉製、陶器と様々で、春秋戦国時代から秦漢時代にかけて作られました。三国志の時代の人々の酒器はこれだったのです。

 

 

なんで爵が三国志に登場?

桃園の誓いをする劉備、張飛、関羽

 

では、なんで三国志の時代の遥か昔に廃れた爵が酒の器として三国志のドラマや映画に登場するのか?ハッキリした理由は不明ですが、どうもこれは見栄えの問題のようです。爵は雀を模した形で奇抜なデザインであり、また青銅製で豪華、いかにも古代中国を代表する感じで、撮影する上で重々しく格好の小道具になったのでしょう。

 

▼こちらもどうぞ

曹操が作ったお酒『九醞春酒』の作り方は?曹操とお酒の深い関係とレシピ公開

 

 

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
kawauso

kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

-外部配信