魏ではなく蜀ではない国、それが三国の一角、呉国です。イマイチ、ぱっとしないマイナーな国として語られる事が多い呉ですが、豊かな自然と超常現象に恵まれたこの国では、妖怪ウォッチが大流行する1800年も前から大量の妖怪が出現するスーパー妖怪ランドなのです。
孫権(そんけん)や諸葛恪(しょかつかく)、朱桓(しゅかん)が目撃した呉の妖怪達の話を紹介しましょう。
この記事の目次
同体と頭がパイルダ―オフ!飛頭蛮(ひとうばん)
呉の名将、朱桓の使用人の女性は、異民族でした。夜になると女性の頭だけが胴から切り離され、耳を翼のようにして外に出ていき、明け方になると戻ってきて同体と合体します。
これは飛頭蛮といい、彼女の出身地の村では、そういう人が普通のようです。飛頭蛮の餌は、昆虫や沢ガニのような小動物だったようです。朱桓は、飛頭蛮が胴体と分離してから、女の首に胴板をはめて様子を見ると同体と合体できない飛頭蛮は苦しみ、やがて気絶したので慌てて、胴板を首から外して合体させました。
飛頭蛮はキョッキョッキョと泣き声を上げますが、人に危害は加えません。二人は別人格で女性には、飛頭蛮の時の記憶はありませんでした。でも、気味が悪くなった朱桓さんは、女性を解雇しました。
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しゃべる巨大な亀とアドバイスする桑の木
孫権が王であった頃、ある人が浜辺で大亀を捕まえました。すると大亀は「ああ、捕まってしまったわい」と呟いたので、その人は珍しい亀だと思い、はるか建業まで亀を献上に行きます。
その途中、桑の古木が大亀を憐れんで声をかけました。しかし亀は落ち着き払い「だいじょうぶ、ワシはどんなに燃やしても煮える事はない」と答えますが、桑の古木は、、
「でも、諸葛恪はものしりでワシら二人を殺そうとするだろうから気をつけろよ」と助言します。
なんなんでしょう、普通に会話を交わす、大亀と桑の古木、そして、それを驚く様子もない人、、漫画日本昔ばなしか!!
大亀は、孫権の前で盛大に薪で煮られますが、宣言通りに、全く煮える様子がありません。困った孫権は、妖怪ハンターとして名高い諸葛恪を呼び出してアドバイスを求めると
「大亀は、桑の古木を斬り倒して薪にすれば煮えます」
と言ったので、孫権は亀に助言した桑の古木を斬り倒しそれを薪にすると、大亀の肉は、またたく間に煮えたそうです。人の言葉をしゃべる亀を孫権は食ったのでしょうか?
弱すぎる・・ 子供のような精霊 傒嚢(けいのう)
妖怪ハンター諸葛恪が、まだ丹陽の太守だった頃の話です。山で狩猟をしていると、突然、子供のような姿をした妖怪が出現して、手をぐっと伸ばし諸葛恪を掴んで引きずり込もうとします。
しかし、諸葛恪は少しも慌てず、逆に妖怪を引っ張ると、妖怪は次第に弱っていき、死んでしまいました。
「おお、こんな妖怪を即座に退治できるなんて、太守殿には神通力でもおありか?」
部下達は、諸葛恪の能力を怪しんでいると、諸葛恪は、、
「これは、傒嚢といい、白澤図にも掲載されている木の精で、こうして突然現れては人を引きずり込もうとする。しかし、逆に引っ張って縄張りから引き離すと、すぐに死んでしまう私はそれを知っていただけで、特に神通力ではない」と答えました。
よく分りませんが、呉では迂闊に山にも入れないようです・・
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番外 毛がすべすべの可愛い妖怪
ある時、曹操が狩りをしていると、大きさは小鹿位で、大きな足、白い毛はすべすべしているという可愛い動物を捕まえます。しかし、その動物の名前は、誰も知らないのでした。
その近くに、度朔君(とさくくん)という神様の楼閣があり、そこから、「家の子が帰ってこない」とシクシク泣く声がします。曹操は、ハハンと思い、翌日朝、数百匹の犬を周辺に放つと、犬は楼閣に飛びこんでいきました。やがて窓を破って、驢馬位の大きさの妖怪が飛び出しますが、犬に咬まれて絶命しました。
前後の話は割愛していますが、どう考えても曹操酷い・・
三国志ライターkawausoの独り言
このように呉には、妖怪の話が色々伝承されているようです。口をきく大亀、古木、頭だけで飛び回る妖怪や、人を引きずり込もうとする子供の姿をした妖怪などバリエーションも豊富ですね。個人的には、曹操が捕まえた可愛い動物がその後どうなったのか大変に気になります。
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