短気は損気と言いますが、生まれつきの性格は簡単には直りません。カップラーメンを3分待てないとか、歩行者信号を信号が変わるまで連打するとか、世の中に短気さんは多いですが、三国志の世界には、それを凌駕する、スーパー短気な人達が存在しています。
蝿にブチ切れて筆を叩き折る 王思(おうし)
王思は、魏の曹操(そうそう)~曹芳(そうほう)年間に仕えた人物で、性格に問題はありますが、まあ細かい所に気がつく有能な役人でした。しかし、彼は、超がつくほどの短気な人物としても有名でした。ある夏の日の事です、文机で文書を書いていると筆の上に青蝿が集りました。王思は、それを手で払いますが、払っても払ってもしばらくすると青蝿が集って仕事を邪魔します。
頭に来た王思は立ちあがり、全力で蝿を追い払いますが、それでも、蝿はブンブンと筆に向かって集ろうとしました。
「このクソ筆め!全てはお前が悪いのだ!!」
王思は、筆を手に取ると地面に叩きつけ、足で踏んでへし折りました。
朕が呼んだらすぐに来い!! 曹髦(そうぼう)
曹髦は、曹丕(そうひ)の孫にあたり、司馬師(しばし)が廃位した曹芳の後に皇帝になります。性質は英邁で曾祖父の曹操に似ていたという評価もありますが、事実上は、籠の鳥というような人生でした。
また、曹髦にはお気に入りの取り巻きがいて、何か思いつくと、すぐに彼等を呼び集め、誰か遅れてくるとひどく不機嫌になりました。それでも、宮廷にいる人間はいいですが、取り巻きの一人の司馬望(しば・ぼう)は宮廷に詰めていないのでいつも、集合に遅れがちでした。
そこで曹髦は司馬望に、追鋒車(ついほうしゃ)という快速馬車と近衛兵の虎賁(こほん)を5名与え「朕が呼んだら、とにかく直ぐに来るように」と命じました。こうして、司馬望は短気な曹髦に呼ばれる度に快速馬車で宮廷に駆け付けるという日々を送る事になります。
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ゆで卵がお箸で刺せないだけで大爆発 王述(おうじゅつ)
王述(305年~368年)は東晋の人物です。虚飾を嫌う率直な性格で、当時の宰相の王導(おうどう)の人となりを周囲の人々が褒めそやすのに頭に来てしまい。
「堯(ぎょう)舜(しゅん)じゃああるまいに、全てがいいわけあるか!」
と毒を吐き、返って王導に信用できるとされ抜擢されました。ちなみに堯舜とは、中国古代の君主で理想的な名君とされています。そんな王述にも、美点を台無しにする短気さが存在しました。有る日の事です、王述が茹で卵をお箸で刺そうとすると、何度も滑ってしまい、刺す事が出来ません。
(この、クソ茹で卵め!こうしてやる!!)王述は、頭に来て、茹で卵を掴んで庭に投げつけましたが、卵はコロコロと地面を転がり止まる様子がありません。(この野郎、、そんなにコロコロ転がって箸で刺せなかった俺を馬鹿にしてるのか!)
※落ち着いて!相手は茹で卵だ!
王述は癇癪を起こし、庭に飛び出して下駄の歯で、卵を踏みつぶそうとしますが、またつるつる滑って出来ません。
「ムキーーーーーーーーッ!!」
王述は、とうとう茹で卵を手で掴んで(最初からそうしろ)口に放り込んで歯で噛み砕くと、それを吐きだしました。
「参ったか、この野郎、、俺様を馬鹿にするとこうだ!!」こうして、茹で卵VS王述の不毛な戦いが決着しました。
三国志ライターkawausoの独り言
実は短気な人には有能な人が多いようです。見切りが早く、あらゆる可能性を試す事から成功法則を体得する事も普通の人よりは早いとか・・。ただし、事業が上手くいってから、持ち前の短気さですべてをぶち壊しにしてしまうというような事も多いようで、上手く行っている時こそ、自分の短気さに注意する必要があるようです。
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