もし孫策が袁紹と組んでいたら曹操を挟撃することは可能だったのか?三つの戦略的条件を考察

2026年1月29日


 

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山里さん似の炎上(三国志と赤壁)

 

三国志の物語において、天下の趨勢を決める大決戦といえば、官渡の戦い、赤壁の戦い、夷陵の戦い、といった名前が挙がるでしょう。

 

袁紹と曹操

 

とりわけ西暦200年の官渡の戦いは、三国志前半における大物二人、曹操と袁紹のまさに天下分け目の決戦でした。

 

曹操にコテンパにされる袁紹

 

史実ではこの時、袁紹は曹操に惜敗して没落。曹操はこれをもって天下に王手をかけます。いっぽう、同じ西暦200年、

 

ほっぺたに矢を受ける孫策

 

 

長江の南で大勢力を築いていた孫策が若くして急死。弟の孫権が後継者として立つことで呉の国の基礎が出来上がります。まことに西暦200年は三国志の様々なターニングポイントとなった年でした。

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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孫策と袁紹の緊急同盟は可能だったか?

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

しかし、ここで中国の地図を見ると、こう思いませんでしょうか?

 

 

力をつけ始めた曹操をぶっ潰そうと考えた袁紹

 

「もし袁紹が孫策に呼びかけて緊急の同盟を結成し、曹操軍を、北から袁紹軍が、南から孫策軍が挟み撃ちにする大戦略を決断したら、さしもの曹操も苦戦したのではなかろうか」と。そういえば孫策という人物は、軍事に優れた英雄でありながら、西暦200年という大事な年に急逝してしまったため、中原の天下統一の競争に直接加わることはありませんでした。

 

呉の勢力を率いる孫策

 

孫策と曹操の直接対決、という夢の展開を想像するだに、この「袁紹が孫策を仲間につける」シナリオは、胸が躍るイフ展開ではないでしょうか?

 

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孫策が北上して官渡の戦いに参加するための条件とは

凡人すぎた楊雍(はてな)

 

今回は、この夢のシナリオの発生条件を考えてみましょう。そもそも、袁紹が孫策に援軍を要請する可能性はあったでしょうか?私は、あったと思います。それどころか、袁紹の部将には有能な参謀たちも多数残っていたため、実際に誰かが献策したこともあったかもしれない!

 

袁紹に告げ口をする逢紀

 

「取り得るオプション」として、袁紹および彼の参謀の頭には一案として考慮されていたのではないか、くらいに思っています。援軍を求められる側の孫策も、天下取りレースに参戦できる絶好の機会となるので、自らが遠征軍を率いて官渡の戦いに出向くことには前向きになったのでは?

 

孫策の人生に一辺の悔い無し

 

 

つまりこのシナリオ実現の最大の障壁は、孫策の寿命が西暦200年で尽きてしまう点、ということになります。では、ここだけは「歴史のイフ」の力を借りて、「もし西暦200年に、孫策が急死する事件が起こらず、彼が元気なままだったら?」の仮定を措きましょう。そうすれば孫策の北上は可能だったでしょうか?

 

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官渡の戦い特集

 

 

あと三つの戦略的な条件が揃えば夢の対決は実現可能?

呉の小覇王・孫策

 

孫策の健康が維持されたとしても、北上遠征にはまだ困難が伴います。

 

すなわち、

・江南の政治体制が整っていない

・強引な江南平定が諸豪族の恨みをかっており、反乱の危険がある

・隣の荊州の劉表が大勢力であり、警戒せねばならない

 

ポイント解説をするYASHIRO様 ポイント

 

といったところでしょうか。しかし、孫策が元気であってさえくれれば、実はこの三つは何とかなりそうです!

孫策と孫権

 

そもそもこの時期、孫策の弟の孫権は、既に兄の下で内政の幹部として働き始めており、その手腕は兄も認めるところでした。

 

張昭、孫権、孫策、周瑜

 

史実では、孫策が急死したために、孫権を周瑜や張昭ら重臣が支える形で新体制が立ち上がり、これがうまく機能する、という流れとなりましたが、孫策が健康であれば、後継者としてではなく、孫策が遠征で江南を留守にする間の留守太守として、孫権を任命、それを周瑜や張昭に支えさせる体制を指示したかもしれません。

 

正史三国志_書類

 

史実でもうまくいった「孫権を中心とした江南統治」を、孫策が留守政権として指名する、こうすれば、孫策が遠征に出かけても、江南の内政は安心です。

 

むち打ちで裁かれる黄蓋

 

さらに、孫策軍には、黄蓋や太史慈といった有能な将軍も含まれています。これら勇将たちを各地の反乱の対処に転戦させれば、不穏な勢力への抑止として十分です。

 

馬に乗って単身荊州へ赴く劉表

 

また、劉表についても、対策は可能です。劉表にとっても、曹操は孫策以上に恐ろしい相手であり、もし孫策が曹操と戦って潰し合ってくれるならば、こんなに助かる話はありません。

 

劉表

 

かつ劉表自身が高齢で積極的な軍事行動を好んでいなかった時期と考え合わせると、孫策が曹操に対する義軍を起こすことを大義名分に、劉表に「相互不可侵同盟」を申し出れば、劉表は喜んで乗ってきたのではないでしょうか。

 

周瑜と孫策(断金の交わり)

 

すなわち、孫策が健康であれば、彼自身が自分の遠征中の江南を安定させる戦略として、

 

・弟の尊敬を留守太守に指名し、

・太史慈や黄蓋に適切な兵力をつけて反乱抑止に配置し、

・劉表との和解を成功させる

 

という素早い判断と外交的手腕を発揮したことは、意外に、ありそうなことと思います!

 

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孫権

 

 

まとめ:このシナリオで一番トクをするのは実は劉備?

海賊時代の孫堅と孫策

 

これらの条件を整えれば、孫策は自ら兵を率いて官渡の戦いに割って入り、曹操を背後から衝くことができそうです。ただしこのシナリオには、孫策にとっては、やや手痛い弱点もあります。

 

太史慈

 

というのも、このシナリオでは、孫権も周瑜も太史慈も黄蓋も江南の守りに残さざるを得ません。兵の数も、江南の守りに残す人数を考えると、かなり制限せざるを得ません。人材も兵力も、かなり抑えた遠征軍になってしまいそうです。つまり、この遠征軍は、孫策本人の、軍事的才能と武勇が、すべての頼りです。

 

袁紹に追い詰められる曹操

 

これですと、曹操を一時的には驚かせるかもしれませんが、曹操軍もすぐに対抗策を繰り出してくるはずです。孫策が曹操の背後を衝いたとて、それで戦況の大転換が起きるわけではなく、単に官渡の戦いが史実よりも長引き、袁紹と曹操と孫策がずるずると何年も削り合う泥仕合になるだけかもしれません。

 

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太史慈

 

 

三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

そうなると、意外なことに、このシナリオで漁夫の利を得るのは、荊州で安心して劉表に保護され、孔明や龐統を仲間に入れて、史実よりも早めに益州に侵攻できる劉備、ということになるかもしれません!

 

魏王に就任する曹操

 

曹操と孫策の直接対決という夢展開が発生するこのイフシナリオを今回は考えてみました。皆様はこのシナリオの実現性、およびこの決着、どのようにお考えでしょうか?

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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