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阿部正弘の家紋鷹羽紋とはどういう家紋?

2018年3月17日


 

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洋の東西を問わず、「(たか)」は紋章としては人気があります。

日本でも「鷹羽紋」の人気が高いです。

この人気の「鷹羽紋」が阿部正弘(あべまさひろ)、阿部家の家紋です。

結婚式の貸衣装でも自分の家の家紋ではない「鷹羽紋」の着物を選ぶ人が多いという話を聞きます。

実際にかなりカッコいいデザインです。

今回は阿部家の家紋である「鷹羽紋」について調べてみました。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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鷹羽紋は「能ある鷹は爪隠す」の優美な家紋

 

鷹は姿も美しく、鋭い爪を持った猛禽(もうきん)であり、デザインとしては人気があります。

しかし、日本ではこの猛禽たる「鷹の姿」そのものではなく

羽の形をデザインしているのが非常に特徴的です。翼でもなく、本当に羽です。

 

猛禽の姿の魅力は雄大な翼と鋭い爪です。

しかし、デザインしたのは羽を重ねるか並べるかというものです。

それはデザインとしては優美なのですが、強さや畏怖(いふ)させるという部分はないのです。

この点において、目に見えるような強さをあえてアピールしないという点で

まさに「能ある鷹は爪を隠す」という感じでもあります。

 

そして、その考え方は「武」あえて外に出さず内に秘め備えているという点で、

非常に日本的な感性にマッチしたものではないかと言えます。

 

鷹羽紋は全国で3位の人気がある家紋

 

鷹羽紋は非常に人気のある家紋です。

そもそも今の人たちが、自分の家の家紋がなんであるか、

ちゃんと知っていますかという疑問はあるのですが……

それでも、鷹羽紋を家紋に持つ家の数は全国で3位です。

特に、関東と九州に多い傾向があります。

 

関東では、このあたりの武士の家紋をそのまま、自分の家の家紋にしたため、

多くなったという説が有力です。

九州では、菊池一族(きくちいちぞく)という有力な武士の影響があったのではという説があります。

 

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阿部家の鷹羽紋には3つの種類がある

 

同じ「鷹羽紋」でも種類はいろいろあります。

阿部家では本家と分家で三種類の「鷹羽紋」を使っていました。

本家であり阿部正弘の出身の福山阿部家は「丸に右重ね違い鷹の羽」です。

黒っぽい鷹の羽がクロスしてデザインされ、周囲は白抜きで黒丸囲ったものとなります。

 

白河阿部家は「石持ち地抜き左重ね違い鷹の羽」です。

真っ黒い円に線画で書かれた鷹の羽がクロスしているものです。

佐貫(さぬき)阿部家は「丸に左重ね違い鷹の羽」です。

鷹の羽のデザインは黒塗りですが本家よりシンプルですね。

 

そして他は本家の「丸に右重ね違い鷹の羽」と同じようなデザインとなっています。

文字通り左右の鷹の羽のどちらが上にきているかでも違いがあるのですが、

まるで間違い探しのような感じがします。

 

鷹羽紋は武家が好むカッチョイイデザインだった

 

鷹や猛禽のデザインはどこの国でも人気のあるものです。

獅子(しし)(とら)が動物の王であるなら、(わし)や鷹が鳥の王であるという考えもあったのでしょう。

昔の人は動物にも格付けをしておりましたし、その中でも「鷹」は格の高い鳥でした。

ですので、鷹羽紋は人気があります。

特に武門の家柄である大名、旗本(はたもと)などでは約120家が使用していたといいます。

確かにそのデザインは今見ても普通にカッコいいです。

現在の戦闘機にペイントするデザインに使ってもいいのではないかと思うくらいです。

   

【家紋豆知識】縁起を担いだデザイン黒石餅とは?

デザイン:黒石餅

 

黒石餅(くろいしもち)は大名家に石高の増加や長寿の印として、人気のあった控紋です。

家紋とは一家にひとつなのが普通ですね。ただ、家によっては複数の家紋を持つこともありました。

それを「副紋(ふくもん)」、「控紋(ひかえもん)」、「添え紋」などといいます。

 

やはり、このような複数の門を持つ者は家格のある大名家などが中心です。

そして、控紋として人気だったのが黒石餅という紋ということです。

黒石餅デザインはシンプル極まりないです。

まず、輪紋(わもん)と呼ばれるものは、要するに太いサインペンで丸を書けば完成です。それだけです。

そして、それと塗り潰せば黒石餅になります。要するに黒丸です。

 

鷹羽紋は無能に見えて狡猾な阿部正弘にピッタリな家紋

 

阿部正弘に対する批判は、多くの人の意見を聞くのは良いが自分で決断できない、

優柔不断なリーダーだというものがあります。

最近、江戸時代を見直すと同時に明治維新(めいじいしん)の再評価を行う本の中にも

そのように、阿部正弘を批判する例はあります。

 

ただ、阿部正弘はそのような弱いリーダーではなく、

かなり(したた)かな部分をもった政治家でした。

八方美人で決断力が無いのではなく、敵となりそうな人物を取りこんで

無害化してしまう政治的能力に長けていたと推測できます。

 

攘夷(じょうい)の急先鋒であった水戸斉昭(みとなりあき)への対応にその鋭さが見えます。

役職を与え無責任に攘夷を鼓舞できないように抑え込んでいきます。

一見、無能に見え、優柔不断な政治家とも思われがちですが、

その頭脳は猛禽の爪のような鋭さをもっていました。

鷹羽紋はそんな阿部正弘にピッタリの家紋であったかもしれません。

 

幕末ライター夜食の独り言

 

現代では、家紋を意識することはあまりないかもしれません。

私の家も「なんだっけ」と思いだすのに少し時間がかかりました。(丸もっこでした)

鷹の羽をデザイン化しそれを使った「鷹羽紋」はデザインとしても美しく

、猛禽の羽だけを描き、あえて武器となる爪をかかないことで、

その威厳を増しているのではないかと思います。

 

隙のない優美さのあるデザインで、個人的に「こっちの家紋の方がいいな」と

ご先祖様に失礼なことを思ったこともあります。

それくらい魅力的なデザインであると思います。

 

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