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第13話:袁術くん「部下をやる気にさせる正しく叱る方法」を紀霊から学ぶ

2018年12月3日


 

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犬を叱る袁術

 

組織の中で経験を積むと、部下やチームを率いる責任ある立場になります。この際に、信頼を失うことを恐れて、部下を注意したり、叱ることができないとリーダーとしては問題です。

 

この記事を読み終わる頃には、あなたは人生をポジティブに歩むことができる方法をひとつ手に入れています!

 

※このお話は、三国志に登場する袁術(公路)が、21世紀のビジネスシーンで支持されている様々な「自己啓発」のやり方を学び、実践していく物語になっています。やや、21世紀風のセリフ回しになっている部分はご了承ください。

 

関連記事:第1話:袁術くん、ポジティブになるために「リフレ―ミング」を学ぶ

関連記事: 第2話:袁術くん、将来に希望を持つために「自己肯定感」を高める

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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袁術くん、紀霊と今後について話す

紀霊

 

袁術くんは、四世に渡り三公を輩出したという超超名門である汝南袁氏に生まれました。

父の袁逢は三公の中の司空に就いたことがありましたが、すでに病没し、この世を去っています。

 

新しく袁術くんの勢力下に入った新入りの孫堅との会談があった数日の後、袁術くんは部下の中で特に信頼している武将の紀霊を呼びました。

 

紀霊とは、袁術くんが独立する以前から親交があり、軍事面で募兵のやり方や、兵の訓練、兵法についてなどをアドバイスを受けていました。袁術くんが都・洛陽から離れ、荊州に拠点を構えることになった際に、将兵を束ねる役目を紀霊にお願いしていました。

 

「紀霊です。御邪魔いたします」

 

「お勤めご苦労。どうだい? 将兵の様子は」

 

「そこそこさまになってきましたが、何せ実戦経験が不足していますな。兵は、実際の戦場で学び、修羅場をくぐり抜けていくことで精強になっていくものです。孫堅軍のように……」

 

「えーと、それは、僕たちの戦いを孫堅殿に任せ過ぎだと言いたいのですか?」

 

「他の将校の中には、そのことを危惧している者も少なくありません。董卓攻めの際も孫堅殿の独断専行が目立ちました。しかもその時の武功を笠に着て、豫州刺史を自称しているとか」

 

「あー、その件に関しては行き違いがありまして……」

 

「このまま孫堅殿が自由気ままに動き回るようだと、我が軍の兵の士気や統率にも悪影響があります。後将軍様(袁術)から、一度ビシッと叱りつける必要があるかと」

 

「僕がですか? 僕が孫堅殿に対して怒るのですか?」

 

「怒るのではありません。叱るのです」

 

「え? 怒るのと、叱ることは同じことですよね」

 

「全く違います。天と地の差もあります」

 

「そうなんですか!? それはぜひご教授いただきたい」

 
 

 

叱ることと怒ることは何が違うのか

怒る袁術と冷静な袁術

 

「組織を維持していくためには、適度な緊張感が必要不可欠です。このくらいやっておけば十分だろうと、誰もが努力を惜しむようになると、組織は少しずつ力を発揮できなくなっていきます」

 

「気持ちが緩んでいる状態ですね」

 

「しかも、ミスをしても誰も叱らないようだと、さらにその傾向が強まるのです。多少手を抜いても問題ないと思い込むようになりますし、上司も自分の働きに注目していないという勘違いが起こります」

 

「つまり、それを正すために叱ることが必要だということですか」

 

「そうです。叱るということは、相手を自分自身の問題に本気で向き合うきっかけを作り、健全な方向に成長を促すことができます。これが正しく叱る目的です」

 

「怒っても同じ結果になりそうですか?」

 

「いえ、怒るという行為は、怒りの感情を相手にぶつけることです。感情に支配されているので、相手の人格までも否定してしまう言葉を発しがちになります。おまえはだからダメなんだ! 何度言ったらおまえはわかるんだ!? といった感じですね。言われた方はどう感じますか?」

 

「反省よりも、ショックの方が大きいですね。自分はダメなんだという自己肯定感の低下に繋がりますね」

 

「納得のいかないような理不尽な内容であれば、上司に対して激しい嫌悪感を抱くようにもなるでしょう。結果として問題はまったく解決されず、逆に人間関係のトラブルという二次災害を招くことになるのです」

 

「そう考えてみると、叱ることと、怒ることは意図がまったく異なりますね。当然のように結果も正反対になっていくわけですか」

 

「ただ、叱ることについても、誰かと比較して叱ることや、過去について叱ることは、怒ることと同じように、相手の人格を否定する危険性がありますので注意が必要でしょう」

 

「確かに僕も、本初(袁紹の)と比べてここが劣るから改善するように、と叔父に叱られた時には、反発心を覚えました。過ぎ去った過去の話をほじくり返して叱られても、同じ気持ちになるでしょうね」

 

袁術祭り

 

 

正しい叱り方

袁術と孫堅

 

「それでは紀霊殿、正しい叱り方のポイントはどこにあるのですか?」

 

「まずは、相手の成長を願う気持ちを持ち続けることです。そして相手を尊重する気持ちも大切です。そうすれば感情的になって怒ることはなくなります」

 

「それでも、叱ることに感情的になりそうです」

 

「叱ることに感情が含まれるのは仕方のない話です。ただし、フォーカスされるのは、相手の能力ではなく、相手の行動です。訓練のやり方が間違っている! と叱られるのであれば、ではどうすればいいのかという方法を模索することになります。しかし、おまえには兵の統率もできないのか! とか、おまえは教わったこともできないのか! と叱られると、精神的なダメージは深刻になります」

 

「相手の能力を否定するような言葉は、相手の人格の否定に繋がるわけですね」

 

「より自分自身の問題に冷静に向き合うように促すためには、褒めることも盛り込むことは有効です」

 

「叱っている最中に、褒めるのですか?」

 

「指示を待たずに抜け駆けしたのは反省すべき問題点だが、今回の戦いで最前線に立ち、最も果敢に戦った姿は立派だった。とても感謝している。といった感じですね。努力は努力として正しく評価することで、相手が問題点を受け入れやすくなり、改善していこうとするやる気を高める働きがあります」

 

「紀霊殿は、その手法が孫堅殿に効果的だと考えているのですね」

 

「差し出がましいとは思いましたが、孫堅殿をこのまま放置しておくと、新たな火種になりましょう。荊州牧の劉表を独断で攻めることも十分ありえます」

 

「そこは僕も憂慮しているところです」

 

「一度、孫堅殿にお会いになり、正しい叱り方で問題点を明確にしつつ、自己解決を促していくべきだと思います」

 

   

 

まとめ

紀霊

 

「それが、孫堅殿は一度、長沙に戻った後、劉表殿と話し合いに行くと兵を率いて北上しているのです」

 

「なんと! それでは戦になりますぞ。劉表とて孫堅殿を日頃から良くは思っていないのです。兵を率いて進行してきたとなると、衝突は必至」

 

「まあ、そうですよね…… ここは僕が直接孫堅殿の陣中を訪れ、正しく叱る必要がありますね」

 

「それがよろしいかと思いますが…… あの孫堅軍の精強さをもってすれば、劉表が拠点とする襄陽はすでに陥落しているかもしれません」

 

「ちょっと待ってください……、おお、ちょうど孫堅殿にお付けした戦目付役が戻ってきた様子。早速、状況を確認してみましょう」

 

「襄陽の城を包囲した孫堅様、敵の策略にかかり戦死でございます。これによって孫堅軍は総崩れ、敗残の兵は間もなく南陽に戻って参ります」

 

 

結論

 

・叱ることと怒ることの違いとは

 

  • 叱ることは、相手を尊重し、その成長を願って間違っている点を指摘すること。
  • 怒ることは、自分の感情を相手にぶつけるだけで、問題解決になりにくい。

 

・正しい叱り方

 

  • 相手の人格や能力などを否定することはせず、間違った行動にフォーカスして叱る。
  • 褒めることも盛り込みながら、相手が自分自身と冷静に向き合う機会にする。

 

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