「どうしても同じミスを繰り返してしまう」、「わかっているのについ余計な一言を言って怒りを買う」という傾向が強いのであれば、低い「メタ認知」が原因かもしれません。
この記事を読み終わる頃には、あなたは人生をポジティブに歩むことができる方法をひとつ手に入れています!
※このお話は、三国志に登場する袁術(公路)が、21世紀のビジネスシーンで支持されている様々な「自己啓発」のやり方を学び、実践していく物語になっています。やや、21世紀風のセリフ回しになっている部分はご了承ください。
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袁術くん、荀彧から献帝擁護の提案を受ける
袁術くんは、四世に渡り三公を輩出したという超超名門である汝南袁氏に生まれました。
父の袁逢は三公の中の司空に就いたことがありましたが、すでに病没し、この世を去っています。
新たな拠点、揚州の寿春で再出発した袁術くんは、陶謙の遺志を継いで徐州の牧となった劉備と手を結び、袁紹・曹操・劉表らと対抗することになりました。
そんな最中に袁術くんと同じく豫州出身の荀彧が寿春を訪れました。現在の荀彧は戦乱を避けるため豫州潁川を離れ、曹操のもとに身を寄せています。曹操は「わしの子房(高祖の軍師・張良の字)だ」と喜んで重用していると聞いていました。
「左将軍様(袁術)、ご無沙汰しております。潁川の荀文若(文若は荀彧の字)でございます」
「ずいぶんと時を経たけど、若々しさは変わらないね。孟徳(曹操の字)は、呂布殿との激戦を繰り広げているとか。キミも心労が絶えないだろうに」
「兗州牧様(曹操)は、不義を見過ごせぬ御方。徐州を攻めたのも、陶謙の野心を見抜いたからです。養父を殺し、州を奪おうとした呂布も同様。しかし、そちらはひと段落しました」
「決着がついたということかな」
「ええ。兗州より呂布勢は完全に撤退しました。今は徐州の劉備に匿われている状態です」
「あの呂布殿が敗れたか。しかし呂布殿と劉備殿が結託したとなると、さらに孟徳は手こずることになりますね」
「そちらはもはやさほどの脅威も感じておりません。問題は西です」
「西? 東の次は西とは、孟徳は相変わらず忙しい男だな」
「帝が長安を脱出いたしました。現在は洛陽を目指しております。李傕らは執拗に追撃している様子。ここは左将軍様の御出陣の出番かと」
「帝を救出する兵を送るということですか? 以前、同じように朝廷の指示で兗州刺史に任命された金尚殿に援軍を出したところ、孟徳から奇襲を受け、その隙に背後から劉表殿に南陽を獲られた苦い経験があるからな……」
「あれは、兗州牧様の領地に侵攻されたから防衛したまでのこと。そもそもあの策略は冀州牧様(袁紹)のご提案です」
「しかし、そうは言われても、同じ失態は繰り返したくないし」
「左将軍様、メタ認知をもっと高くお持ちになられるべきです」
「メタ認知? 何ですかそれは、ぜひくわしくお聞きしたい」
メタ認知とは?
「メタ認知とは、高い位置から自分を見つめることのできるもうひとりの客観的な自分の認知のことです。日頃の認知活動を、さらに冷静にかつ的確に認知するのです」
「いかに客観的に自分を見つめることができるのかということですか」
「いかにも。高いメタ認知によって、人間関係は良好になり、目標をいかに達成するべきかという計画性の精度も上がります。環境へ順応することにも効果的です」
「どうしてですか?」
「客観的に自分を見つめることができるので、自分が相手にどう思われているのか、どう接していくのがいいのか、適度な距離感はどれくらいなのかの判断が適切にできるようになります。自分の能力も的確に見ることができますから、どのようなミスが起こるのかを予測し、どのような計画が無理のないものなのか設定することができるのです」
「なるほど……」
「メタ認知が低いと、協調性に乏しくなります。自分が正しいと思い込み、周囲の空気も読めなくなるのです。その場の感情を相手にぶつけることにもなりますので、人間関係も悪化していきます」
「客観的に自分を見つめることで、僕の行動は何か変わるのかな……」
「左将軍様、今、最も大切なことはなんでしょうか?」
「そうですね。とりあえずこの地に住むことに慣れることかな」
「左将軍様のお役目は? この天下の荒廃ぶりを見て何もお感じになられないのか」
「いや、それはもちろん気にはなっていますよ」
「そのためには朝廷を正常に戻すことが大事。それが左将軍様にとって最も大切なお役目ではないでしょうか」
「確かにそうですが…… メタ認知はどうすれば高めていくことができるのですか?」
メタ認知を鍛える方法
「メタ認知はセルフモニタリングによって鍛えることができます。セルフモニタリングとは自分自身を見つめ直すことです。なぜ自分はそう思うのか、なぜそんな言動をとったのか、その理由を自分に問いかけるのです」
「帝の救出が大事なことはわかっているのですが、孟徳が信じられない。僕が洛陽に向けて兵を出している間に、この寿春を攻めてくるとも限らない」
「なぜそのように思われるのですか?」
「孟徳は本初(袁紹の字)と結んでいるからだろう。本初は僕の勢力が大きくなることを嫌がっているからね」
「大切なのは、兗州牧様と対立を続けることではなく、帝を窮地からお救いすること。そうであれば、兗州牧様と手を組むのがよろしい」
「え? そんなことが可能なの? 本初との関係はどうするの?」
「冀州牧様との関係は長くは続きません。いずれ真っ向から激突するのは明らかです。冀州牧様は北の公孫瓚を倒し、河北を平定したら間違いなく南下して中原を制圧しようとするでしょう。その暁には現在の帝を廃し、新たな帝を擁立して傀儡化する腹積もり。それを阻止することができるのは、兗州牧様と左将軍様が手を取りあい、帝を擁護することではないでしょうか」
「そこまで考えたことはなかったな。荀彧殿はメタ認知が高い。何か工夫していることはあるのですか?」
「私は毎日、日記をつけるようにしています。自分の言動や思いについて記しているのです。そしてその理由を改めて自分に問いかけ、改善策を練ります。ミスについても同様です。それで自分のミスのパターンは把握することができ、どう対処すべきなのか、迅速に判断できるようになりました」
「なるほど、改善策や対処方法も記していくのですね」
「メタ認知を鍛えるためには、モニタリングと併せて、自分をコントロールすることが大切です」
まとめ
「わかりました。帝を救出する兵を出しましょう。萇奴に一万の兵を率いさせ、洛陽に向かわせます」
「左将軍様ありがとうございます! 兗州牧様は、曹洪殿に兵を率いさせ、洛陽に向かう予定です。両軍が合わされば、李傕など恐れるほどのこともありません」
「して、帝を救出したとして、洛陽は焼け野原。どこにお迎えする気なのですか?」
「私たちの故郷、豫州がよろしいのではないかと考えております。左将軍様の揚州とも接しており、兗州とも接しておりますので、何かと便利ではないでしょうか」
「なるほど。それはいい考えですね」
結論
・メタ認知とは
- 自分を客観的に見つめること。認知を認知する。
- 高いメタ認知によって、その場の状況に合せた的確な判断ができるようになる。
・メタ認知の鍛え方
- 自分の言動や思いを振り返り(セルフモニタリング)、その理由を見つける。
- 日記をつけて自分のミスのパターンを把握し、その対処法も記す。