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ポツダム宣言って何?戦後日本を決定づけた降伏文書を読んでみよう

2019年9月4日


 

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近現代史を勉強した人なら、一度は耳にした事があるポツダム宣言。

第二次世界大戦末期、連合軍から日本国に出された降伏を勧める文書です。

でも、名前はよく聞く割に、ポツダム宣言に何が書いてあるか詳しく内容を知っている人は少なくないですか?

そこで、はじめての三国志では、戦後日本の方向を決定づけたポツダム宣言について分かりやすく解説します。

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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ポツダム宣言とは?

チャーチル

 

ポツダム宣言は、1945年7月26日、ドイツベルリン郊外のポツダムで、アメリカ合衆国大統領、イギリス首相、中華民国主席の名前において

日本に対して発された13カ条からなる宣言で、正式には日本への降伏要求の最終宣言と言います。

ポツダム宣言は、1400文字あまりと思いのほか短く、少しの根気があれば誰でも読む事が出来ます。

 

以下では、その内容を原文を損ねる事無く、分かりやすく説明します。

 

降伏しないと日本を破壊しつくす超過激な宣言

 

では、ポツダム宣言の序文から4条までを紹介します。

 

一、我ら合衆国大統領、中華民国主席、及びグレートブリテン国総理大臣は、数億人の自国民を代表し協議の上で日本国に対し、

今次大戦を終結するチャンスを与える事で意見を一致した。

 

ここでは、ポツダム宣言の主体がアメリカ、イギリス、中華民国の3カ国である事を明記し、日本国民に降伏の機会を与えると書いています。

 

二、アメリカ、イギリス、中華民国の巨大な陸海空軍は、西方より自国の陸軍及び空軍による数倍の増強を受け日本に対して、

最後の打撃を加える態勢を整えた。

この軍事力は、日本が抵抗を終了するまで同国に対し戦争を遂行する全ての連合国の決意で支持され、また士気を鼓舞されてきた最強の軍隊である。

 

合国軍は、日に日に増強され最高の士気を持って、日本に最期の打撃を加える用意があるという脅迫です。

 

三、決起した世界の自由なる人民の力に対するドイツの無益で何の意味もない抵抗の結果は、

日本国民の将来についての先例を明確に示している。

現在、日本に向けて集結しつつある人民の力は、ナチスに対して適用されドイツ国民の土地産業、及び生活様式を

必然的に荒廃させたのと同じように計り知れない程に強大なモノだ。

その人民の支持と決意に支えられた我らの軍事力をマックスで使用した場合、日本国軍隊は完全壊滅を避けられず、

同時に日本の国土も完全に破壊される事を理解できるだろう。

 

ここでも、ポツダム宣言は、ナチスドイツの無意味な抵抗が自由なる市民の前に撃破され、ドイツは産業も生活様式も完全破壊したぞ。

日本もこうなりたいか?みたいに、二条と(あわ)せて日本政府に脅しをかけています。

 

四、無分別な打算で、日本を滅亡の淵に陥れたワガママな軍国主義的指導者により引き続きコントロールされるか、

それとも理性的な道を踏んで降伏を選ぶべきか?日本国が決意すべき時期はすでにやってきた。

 

何の分別もなく、日本を滅亡に追いやろうとする軍国主義者の指導を受け続けるか、それとも理性的になって降伏を選ぶか?

それを日本が選ぶべき時がやってきたと書いています。

 

いだてん

 

ポツダム宣言は無条件降伏ではない

 

ここでは、ポツダム宣言の5条から9条までを紹介します。

 

五、連合国の条件は左の通りである。

我々は、右の条件から逸脱する事はなく、同時に右の条件以外の条件は存在しないそして、連合国は条件の一切の引き延ばしを認めない。

 

第五条からは、連合軍の具体的な降伏条件の提示となります。

よく、テレビドラマや映画、ドキュメントでは日本は無条件降伏したとナレーションやテロップが出ますがあれは誤りです。

日本は連合国の提示した条件を信じ「有条件降伏」したというのが事実です。

 

無条件降伏とは、一切の条件なしに敵国に降伏する事でヒトラーが自決しナチスドイツ政権が崩壊したドイツがそうでした。

連合国は、ドイツを占領して、アメリカ、フランス、イギリス、ソビエトで4つのエリアに分けて軍政を敷き、やがて東西冷戦が激化すると

ソビエトの占領する社会主義陣営のエリアとアメリカを代表する自由主義陣営で対立が生じ、有名なベルリンの壁が出来て、

ドイツは東西に分断されます。

 

六、連合国は無責任な軍国主義勢力が世界から駆逐されるまでは平和、安全、及び正義の新秩序が確立できない事を強く主張する。

そして、日本国民を騙して世界征服の暴挙に出た過ちを犯した連中の権力や勢力が永久に除去される事を望む。

 

日本国民を騙し、世界征服の暴挙に出た軍国主義の勢力が世界から消滅しないと、平和、安全、正義が樹立できないという意味です。

これは、悪いのは日本軍国主義者で、国民は(だま)されただけだよという連合国のアメとムチの政策が出てきています。

 

七、右のような世界の新秩序が建設され、日本国の戦争遂行能力が破壊された事が確認されるまで連合国の指定した日本国領内の各ポイントは、

我々が指示する基本的目標が達成されるまでは占領される。

 

軍国主義の勢力が日本から消え去るまで、連合軍は自分が指定した場所に基地や施設を置いて占領し続けるという意味です。

日本政府は有史以来、はじめて外国軍隊の占領を受ける事に動揺(どうよう)しました。

 

八、カイロ宣言の条項を履行する事、また、日本国の主権が及ぶ領土は、本州、北海道、九州、四国並びに

我々の決定する諸諸島に限定される。

 

カイロ宣言の条項を実行する事や、日本の領土が本州と、北海道、九州、四国、それに連合国の決定する諸諸島に限定されると書いています。

諸諸島には、奄美大島や小笠原や沖縄列島が含まれ、これらの地域は奄美大島(あまみおおしま)を除き、日本が独立した後も二十年以上米軍に統治されました。

 

九、日本国軍隊は完全に武装解除した上で、それぞれの家庭に復帰して平和的で生産的な生活を得られるチャンスを与える

 

日本軍は完全に消滅するという意味で、軍事力の保有を認めない事を意味しています。

 

日本国民の人権の保障と独立への筋道

 

十条からは、ポツダム宣言を受け入れれば、日本国民を奴隷化しない、ちゃんと人権を保障するという内容になっていきます。

 

十、我々は、日本人を奴隷化滅亡させ意図を持っているわけではない。

しかし、捕虜を虐待した者を含む一切の戦争犯罪人に対して厳重な処罰を加えるべきだ。

また、日本政府は日本国民の民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障害を取り除き、

言論、宗教、思想の自由、基本的人権の尊重を確立する事。

 

十条は日本のポツダム宣言の受諾にとっては数少ない明るい要素で、少なくとも日本国民を奴隷化する意図はないという点に日本政府は動かされます。

また、戦争犯罪人については、日本政府が裁けるような書き方ですが、実際には連合国が主導して極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判をやりました。

 

十一、日本国は、その経済を支持し、かつ公正な実物賠償の取り立てを可能にする産業を維持する事を許される。

ただし、日本が再軍備を可能にするような産業は例外とし、軍事に必要な原料の入手(保有するのは可)を許可しない。

日本は将来、世界貿易への参加を許される。

 

日本国が自活していくため、それに戦後賠償のために必要な産業を興す事を認めるが、軍事産業は認めないと書いています。

ただ、軍備に関する原料の所有も認めないとすると、例えば鉄や銅のような原材料も保有できないので、軍事転用ができない事が強調されています。

そして、日本の貿易は制限を受けますが、将来的には自由貿易への参加を許されると明記しています。

 

十二、これまでに書いた目的が達成され、同時に日本国民が自由に表明する意思に従って平和的な責任ある政府が樹立されたら

連合国占領軍は、ただちに日本国より撤収する。

 

占領状態がいつ終わるかについて言及しています。

日本国民が選んだ平和的で責任ある政府が樹立されたらとしています。

それは、1952年の4月28日にやってきました。

 

十三、我々は、日本国政府が直ちに日本国軍隊の無条件の降伏を宣言し、日本政府が軍隊の武装解除において誠意を持ち、

同時に十分な保障を提供する事を日本政府に要求する。

このポツダム宣言を受諾する以外の日本の選択については、迅速で完全な壊滅を持って報いるものとする。

 

これは、日本国軍隊の無条件降伏を命じた内容で、口先だけではなく日本政府の責任で連合軍が上陸しても危険がないようにせよと命じています。

ちなみに、この日本軍の無条件降伏と、日本国の無条件降伏が混ざってしまい、日本が無条件降伏したという誤りが形成されたようです。

そして、最後はポツダム宣言が最後通牒(さいごつうちょう)であり、受諾以外の選択には、日本の壊滅で報いるとしています。

 

日本の戦後ライターkawausoの独り言

 

僅か十三条のポツダム宣言ですが、詳細に見てみると戦後74年に繋がる様々な内容が含まれている事が分かりますね。

ポツダム宣言を読んで、読者の皆さんはどんな感想を持ちましたか?

 

参考文献:日本国憲法の誕生、憲法条文・重要文書

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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