新撰組の土方歳三、豊臣秀吉の軍師である黒田官兵衛・・・・・・これらの人々に共通しているのは、ナンバー2というポジションだったことです。
彼らは主人と見た人間を引き立てて見事に大出世させたり、天下人にまですることに成功します。
そのような人物は中国の後漢(25年~220年)末期にもいました。今回は後漢末期に実力がありながら自分は大将にならずに、常に相手を引き立てていた影の立役者である韓遂です。今回は韓遂が最初に起こした反乱について解説します。
「韓遂 後漢書」
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拉致されて反乱軍に加入
中平元年(184年)に黄巾の乱が起きると、涼州でも戦乱が激しくなりました。涼州は後漢の領土になっているのですが、異民族が半数以上を占めているので外国と変わりありません。
黄巾の乱が鎮圧されると、すぐに「義従胡」の北宮伯玉と李文侯が反乱を起こします。義従胡というのは『後漢書』によると羗族の別の一派です。だけど、風習に関しては大差は無かったようでした。ちなみに、義従胡という言葉は漢王朝に忠誠を誓う異民族という意味です。
北宮伯玉と李文侯は役人を殺害すると、金城にいる地元名士である辺章と韓遂を拉致して軍政を一任します。ここで韓遂は初めて登場しますが彼が巻き添えにより、戦乱に身を置くことになったのは驚きです。しかし筆者はこの話は信じていません。拉致してきた奴にいきなり軍を任せるなんて、あり得ない話です。たぶん最初から韓遂と辺章は反乱軍と裏でつながっていたのでしょう。
『後漢書』はこの反乱について、「辺章・韓遂の軍」「北宮伯玉の軍」と表記が一定しません。おそらく別々に行動をとっており辺章・韓遂が主力、北宮伯玉・李文侯が別動隊という感じだったのではないでしょうか。
皇甫嵩・董卓を破る
朝廷も黙って見ているわけにはいかないので、黄巾の乱の平定に尽力した皇甫嵩を派遣します。だが黄巾軍のような寄せ集めの軍とは違って、相手は反乱軍とはいえ騎馬戦術に巧みな連中。皇甫嵩は敗北して免職にされました。
仕方なく今度は西方の地理に慣れている董卓と周慎を派遣します。最初は討伐軍が連戦連敗で圧倒的に不利な状況に追い込まれます。ところが兵糧輸送用のロバが、みんな鳴いたので、縁起が悪いと思った反乱軍は撤退開始。そこを討伐軍が反撃に転じます。
董卓と周慎は途中で別れて2方向からの追撃を開始。徹底的に反乱軍を追撃して本拠地まで追い詰めます。しかし討伐軍はとんでもないミスを犯しました。勢いに乗じて追いかけたものだから、自陣と補給基地に、かなりの隔たりが出来たのです。種を明かすとロバが鳴いたから撤退したというのは、反乱軍が流した真っ赤なウソでした。討伐軍と補給基地を切り離すための作戦です。
だまされた、と気づいた周慎でしたがすでに遅く反乱軍の攻撃にあって敗北しました。周慎はその後、史書には姿を現さないので、おそらくこの時に死んだ可能性は高いと思います。別行動をとっていた董卓も急いで逃げ帰りました。こうして討伐軍は敗北して反乱軍の勝利に終わります。
反乱プロデューサー 韓遂の誕生
反乱軍の勝利に終わったので、このまま洛陽まで進撃か?
普通ならばその考えなんですけど、普通じゃないのが韓遂です。中平3年(186年)に韓遂は仲間の北宮伯玉と李文侯、辺章を殺してしまいます。理由は歴史書が何も語らないので分かりませんが、おそらく反乱軍内部の勢力争いでしょう。
軍事権を握った韓遂ですが、彼は自分が大将になることはありません。その後も王国・馬騰・馬超を大将にして、自分はその補佐に回ることに徹しました。まさに反乱プロデューサーです。しかし、それはまた別の話です。今回はここで筆を置こうと思います。
三国志ライター 晃の独り言
筆者はゲームも好き(マニアというレベルではない)でゲーム批評サイトを見たりします。最近気付いたのですが、プレイステーション2の「真・三國無双3」は評判が良くないようです。筆者が最初に買った無双シリーズであり、やりやすかった思い出があるのですが、どうやら無双ファンの間では「プレイしずらい」と評判が底辺のようでした。
理由は敵との一騎打ち、経験値をためていくことで武器が進化など・・・・・・無双らしくない制度があったようです。生粋の無双ファンからは黒歴史扱いとなっています。当時の無双ファンは「真・三國無双3」を購入してがっかりしたので、さっさと売ってしまい、中古で「真・三國無双2」を購入したようです。
このためなのか、「真・三國無双4」は原点回帰していました。筆者はやりづらくて、お気に入りのキャラクターだけをクリアしたら売りました。話していたら、また無双シリーズがやりたくなってきた・・・・・・
※参考文献
・高島俊男『三国志 人物縦横断』(初出1994年 後に『三国志きらめく群像』ちくま文庫 2000年)
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韓遂が好き、または自分も「真・三國無双3」が好きという人はコメントをください。
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