正史三国志が引く魏略には、現在の感覚で言えば、ほぼ世捨て人と言えるような、仕事に就かず、粗末な家に住んで過剰な施しを受けない極端に清廉な人々が出てくる。
それは、例えば焦先(しょうせん)、扈累(こるい)、寒貧(かんぴん)という人物がいるが、この三者は共通して身寄りがなく老齢であるという事で、毎日、米、或いは雑穀5升を郡なり県なりから支給されている。
三国志の時代の五升とは、今で言う1リットル程度で、多くの場合精米されていない。つまり食べられるのは、この半分程度で500ミリリットルになる。
いかに食の細い年寄りでも、これだけでは足りず、彼らは日雇い人夫の仕事をして足りない食糧を補っている事が史書から分かる。
野垂れ死にも珍しくない時代だったのではあろうけど、極めて不十分ながら社会保障が存在していた事を示す記述。
そうじゃないと隠者なんて生存できないからね。
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