ウェルシュ・コーギーと言えば皆さんもご存知の人気犬種。
1991年に小泉今日子とCMで共演して一躍ブームになったのは
有名な話ですね。
いいなCM キリンビバレッジ 午後の紅茶 小泉今日子 - YouTube
ところでこのコーギー、
ルーツをたどると意外な秘密があったりするんです。
今回はその、コーギーの秘密についてお話ししていきましょう。
前回記事:【はじめてのスキッパーキ】船乗り犬?それとも牧羊犬?意外に謎の多い犬種だった?【第2話】
おまえの記事は「はじめてのスキッパーキ」じゃなかったのか?
「はじスキ」のクセにコーギーの話とか、タイトル詐欺だって?
ご安心ください。ちゃんと後で繋がりますから。
ところで、ウェルシュ・コーギーという犬種が
実は2種類あることをご存知でしょうか?
ひとつはウェルシュ・コーギー・ペンブローク。
もうひとつはウェルシュ・コーギー・カーディガン。
有名な人気犬種のコーギーはペンブロークの方です。
犬種としてはカーディガン種の方が古く、
紀元前1200年頃にケルト人がヨーロッパからイギリスの移住した際に
持ち込んだ犬が祖先だと考えられています。
一方のペンブローク種はカーディガン種から贈れること2000年以上、
西暦1107年に当時のイングランド王ヘンリー1世が招いた
フラマン人の職工がヨーロッパから伴ってきた犬が
その始祖になったと言われています。
その後、その子孫が交配によってカーディガン種に似た姿に
なっていったそうです。
両犬種は20世紀に入るまで同一犬種と考えられてきましたが、
1943年にイギリスケンネルクラブが、ウェールズ地方の
ペンブロークシャーを起源とするものをペンブローク種、
カーディガンシャーを起源とするものをカーディガン種に分けたことから、
2つの犬種に区別されるようになりました。
よく似た姿をした二つの犬種ですが、祖先はまったく違う
血筋の犬種であるとされています。
それぞれ諸説ありますが、カーディガン種はダックスフントに近い
系統の犬種が祖先とされ、ペンブロークの祖先となった犬は、
スキッパーキの系統だったようです。
……そう、ここでようやく、スキッパーキの登場です。
ペンブローク種の祖先がスキッパーキであったと明言する根拠と
なる資料は残念ながらないのですが、実は筆者はこの件について、
個人的に確信を抱いているのです。
それは両犬種に共通する特徴……というよりは習慣があるためです。
その習慣とは……断尾(だんび)です。
断尾って、なに?
断尾とは、読んで字のごとく犬の尾を切る習慣のことです。
身近な犬種としては、トイプードルにも断尾する習慣があります。
また、ドーベルマンはあの強面を演出するために、
断尾だけでなく断耳=耳もカットされることで知られています。
なぜ、しっぽを切ってしまうのか、ということについては、
その犬種によってそれぞれ違う理由があります。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの場合、
元々牧畜犬として使われていたため、しっぽを家畜に踏まれて
ケガすることを予防するため、と一般的には説明されています。
……しかし、筆者はこの説には懐疑的にならざるを得ません。
それはなぜか……?
ペンブロークに姿のよく似たカーディガンがいることは
お話しした通りですが、カーディガンはペンブロークと同じく
牧畜犬として使役されていたにも関わらず、断尾の習慣がありません。
同じ目的で作られた、よく似た体型の犬種なのに、
片方には断尾の習慣があり、もう片方にがない、って不思議ですよね?
ペンブローク種がカーディガン種より古い犬種なら、
まだ理由もわかります。
新しく作出された犬種に古い犬種の習慣が受け継がれなかった、
と考えることができるからです。
しかし、古い犬種にはなかった断尾の習慣を、
新しく作出されたペンブローク種だけにするようになった。
これはどう考えても疑問です。
これは完全に筆者の想像に過ぎない話ですが。
もしかすると、ペンブローク種の断尾の習慣の原因は、
実はその祖先にあたるイヌ……つまりスキッパーキにあるのかもしれません。
スキッパーキの断尾にまつわるひどい話
スキッパーキの存在が確認できるはっきりとした文献は
17世紀のものだ、とは以前お話しした通りですが、
実際にはそれよりもかなり古くから存在した犬種であったようです。
15世紀頃には、靴職人が害獣駆除のためにスキッパーキと思われる
「黒い小犬」を飼い、お手製の真鍮の首輪をつけさせて、
自慢し合った、なんて記述も文献に残されています。
スキッパーキの断尾の習慣はこの頃に生まれた、とする説もあります。
ある靴職人がイタズラ好きなスキッパーキに腹を立て、
そのしっぽを切ってしまった……というのです。
そのしっぽを切られたスキッパーキのスタイルが他の職人たちに受け、
以来、断尾の習慣ができた、と言われています。
なんともまあ、それが断尾するきっかけになったとすれば、
ずいぶんとひどい話ですが、とにかく、スキッパーキの断尾は
かなり早い時期から行われていたことだけは確かなようです。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの断尾の話に戻りましょう。
こうは考えられないでしょうか?
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの祖先はスキッパーキだった。
ヘンリー1世に招かれたフラマン人の職工が連れてきた
スキッパーキには、すでに断尾の習慣があった。
そのスキッパーキの子孫となったイヌにも断尾の習慣が残り、
そして生み出されたのが、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークだった……。
確かなことは分からないのですが、
筆者にはどうもこう思えてならないのです。
断尾の習慣は現代では残酷だとして、ヨーロッパではこれを
禁止する国も増え、日本でも多くのブリーダーが断尾を止めています。
いずれ、しっぽのないコーギーやスキッパーキはいなくなるでしょう。
まあ、しっぽのないコーギーのおしり(「桃尻」と形容されますが)や
スキッパーキのおしりが可愛いのも確かなんですけどね。
なんとも、業の深い話ではあります。
スキッパーキライター 石川克世の独り言
さてさて、次回「はじめてのスキッパーキ」は、
筆者の愛犬、小太郎さんの七不思議に迫ります(嘘)
果たして、小太郎さんの謎攻撃「のびのびアタック」とは!!
乞うご期待!!