【はじめてのスキッパーキ】どうして?スキッパーキのしっぽ(断尾)の話【第3話】

2016年4月1日


 

スキッパーキ

 

ウェルシュ・コーギーと言えば皆さんもご存知の人気犬種。

1991年に小泉今日子とCMで共演して一躍ブームになったのは

有名な話ですね。

 

いいなCM キリンビバレッジ 午後の紅茶 小泉今日子 - YouTube

ところでこのコーギー、

ルーツをたどると意外な秘密があったりするんです。

今回はその、コーギーの秘密についてお話ししていきましょう。

 

前回記事:【はじめてのスキッパーキ】船乗り犬?それとも牧羊犬?意外に謎の多い犬種だった?【第2話】

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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おまえの記事は「はじめてのスキッパーキ」じゃなかったのか?

スキッパーキ

 

「はじスキ」のクセにコーギーの話とか、タイトル詐欺だって?

 

ご安心ください。ちゃんと後で繋がりますから。

 

ところで、ウェルシュ・コーギーという犬種が

実は2種類あることをご存知でしょうか?

 

ひとつはウェルシュ・コーギー・ペンブローク。

もうひとつはウェルシュ・コーギー・カーディガン。

有名な人気犬種のコーギーはペンブロークの方です。

 

犬種としてはカーディガン種の方が古く、

紀元前1200年頃にケルト人がヨーロッパからイギリスの移住した際に

持ち込んだ犬が祖先だと考えられています。

 

一方のペンブローク種はカーディガン種から贈れること2000年以上、

西暦1107年に当時のイングランド王ヘンリー1世が招いた

フラマン人の職工がヨーロッパから伴ってきた犬が

その始祖になったと言われています。

 

その後、その子孫が交配によってカーディガン種に似た姿に

なっていったそうです。

 

両犬種は20世紀に入るまで同一犬種と考えられてきましたが、

1943年にイギリスケンネルクラブが、ウェールズ地方の

ペンブロークシャーを起源とするものをペンブローク種、

カーディガンシャーを起源とするものをカーディガン種に分けたことから、

2つの犬種に区別されるようになりました。

 

よく似た姿をした二つの犬種ですが、祖先はまったく違う

血筋の犬種であるとされています。

それぞれ諸説ありますが、カーディガン種はダックスフントに近い

系統の犬種が祖先とされ、ペンブロークの祖先となった犬は、

スキッパーキの系統だったようです。

 

……そう、ここでようやく、スキッパーキの登場です。

 

スキッパーキ

 

ペンブローク種の祖先がスキッパーキであったと明言する根拠と

なる資料は残念ながらないのですが、実は筆者はこの件について、

個人的に確信を抱いているのです。

 

それは両犬種に共通する特徴……というよりは習慣があるためです。

その習慣とは……断尾(だんび)です。

 

断尾って、なに?

スキッパーキ

 

断尾とは、読んで字のごとく犬の尾を切る習慣のことです。

身近な犬種としては、トイプードルにも断尾する習慣があります。

また、ドーベルマンはあの強面を演出するために、

断尾だけでなく断耳=耳もカットされることで知られています。

 

なぜ、しっぽを切ってしまうのか、ということについては、

その犬種によってそれぞれ違う理由があります。

 

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの場合、

元々牧畜犬として使われていたため、しっぽを家畜に踏まれて

ケガすることを予防するため、と一般的には説明されています。

 

……しかし、筆者はこの説には懐疑的にならざるを得ません。

それはなぜか……?

 

ペンブロークに姿のよく似たカーディガンがいることは

お話しした通りですが、カーディガンはペンブロークと同じく

牧畜犬として使役されていたにも関わらず、断尾の習慣がありません。

 

同じ目的で作られた、よく似た体型の犬種なのに、

片方には断尾の習慣があり、もう片方にがない、って不思議ですよね?

 

ペンブローク種がカーディガン種より古い犬種なら、

まだ理由もわかります。

新しく作出された犬種に古い犬種の習慣が受け継がれなかった、

と考えることができるからです。

 

しかし、古い犬種にはなかった断尾の習慣を、

新しく作出されたペンブローク種だけにするようになった。

これはどう考えても疑問です。

 

これは完全に筆者の想像に過ぎない話ですが。

 

もしかすると、ペンブローク種の断尾の習慣の原因は、

実はその祖先にあたるイヌ……つまりスキッパーキにあるのかもしれません。

 

スキッパーキの断尾にまつわるひどい話

スキッパーキ

 

スキッパーキの存在が確認できるはっきりとした文献は

17世紀のものだ、とは以前お話しした通りですが、

実際にはそれよりもかなり古くから存在した犬種であったようです。

 

15世紀頃には、靴職人が害獣駆除のためにスキッパーキと思われる

「黒い小犬」を飼い、お手製の真鍮の首輪をつけさせて、

自慢し合った、なんて記述も文献に残されています。

 

スキッパーキ

 

スキッパーキの断尾の習慣はこの頃に生まれた、とする説もあります。

ある靴職人がイタズラ好きなスキッパーキに腹を立て、

そのしっぽを切ってしまった……というのです。

そのしっぽを切られたスキッパーキのスタイルが他の職人たちに受け、

以来、断尾の習慣ができた、と言われています。

 

スキッパーキ

 

なんともまあ、それが断尾するきっかけになったとすれば、

ずいぶんとひどい話ですが、とにかく、スキッパーキの断尾は

かなり早い時期から行われていたことだけは確かなようです。

 

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの断尾の話に戻りましょう。

こうは考えられないでしょうか?

 

ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの祖先はスキッパーキだった。

ヘンリー1世に招かれたフラマン人の職工が連れてきた

スキッパーキには、すでに断尾の習慣があった。

そのスキッパーキの子孫となったイヌにも断尾の習慣が残り、

そして生み出されたのが、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークだった……。

 

確かなことは分からないのですが、

筆者にはどうもこう思えてならないのです。

 

断尾の習慣は現代では残酷だとして、ヨーロッパではこれを

禁止する国も増え、日本でも多くのブリーダーが断尾を止めています。

いずれ、しっぽのないコーギーやスキッパーキはいなくなるでしょう。

 

スキッパーキ

 

まあ、しっぽのないコーギーのおしり(「桃尻」と形容されますが)や

スキッパーキのおしりが可愛いのも確かなんですけどね。

 

なんとも、業の深い話ではあります。

 

スキッパーキライター 石川克世の独り言

石川克世

 

さてさて、次回「はじめてのスキッパーキ」は、

筆者の愛犬、小太郎さんの七不思議に迫ります(嘘)

果たして、小太郎さんの謎攻撃「のびのびアタック」とは!!

 

乞うご期待!!

 

 

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石川克世

石川克世

三国志にハマったのは、高校時代に吉川英治の小説を読んだことがきっかけでした。最初のうちは蜀(特に関羽雲長)のファンでしたが、次第に曹操孟徳に入れ込むように。 三国志ばかりではなく、春秋戦国時代に興味を持って海音寺潮五郎の小説『孫子』を読んだり、 兵法書(『孫子』や『六韜』)や諸子百家(老荘の思想)などにも無節操に手を出しました。 好きな歴史人物: 曹操孟徳 織田信長 何か一言: 温故知新。 過去を知ることは、個人や国家の別なく、 現在を知り、そして未来を知ることであると思います。

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